5-6 王太子殿下との結婚式(本編完結)
いつもお読みいただきありがとうございます。
とうとうこの日が来た。
嬉しくて楽しみにしていたけれど、家族との別れのちょっと寂しい日。
晴れ渡る青空。
まるで、私たちの門出を祝福してもらえているよう。
王都の大聖堂には、王族や貴族だけでなく、国内外からも多くの来賓の方が集まっていると聞いている。
こんな盛大な式になるなんて・・
益々緊張が高まる。
「シャル。本当に綺麗よ。私の自慢の娘だわ。」
「お母様。私も大好きです。
今まで本当にありがとうございました。
お母様をお手本に私も頑張ります。」
お母様が涙を浮かべながら、私のベールを整えてくれた。
鏡の中には、純白のドレスを着た私が幸せそうに写っている。
胸元には『ローゼンベルクカット』の最高級のダイヤモンド。
お父様が領地で採れた最高のダイヤモンドを使い、特別に作ってくれたものだ。
しかも、私の結婚を知った昔なじみの職人の方が何人もかかわってくださり、最高級に仕上げてくれたものだ。
本当に私は幸せ者だ。
「こんなに立派になって・・・」
お父様はそれきり、言葉を詰まらせ、目元を押さえている。
「お父様。今まで本当にありがとうございました。
でも、もう式が始まります。泣かないでください。」
私も涙が出そうになってしまう。
「だってな・・・シャルは私の可愛い可愛い娘なんだ。」
そんな言葉に胸が温かくなる。
「最後のお願いです。今日は、笑顔で送り出してくれませんか?」
「・・・そうだな。可愛い娘の頼みだものな。
幸せになるんだよ。シャル。」
お父様はそう言うと大きく息を吸った。
「では、行こうか。」
大聖堂の扉がゆっくりと開かれる。
高い天井、色鮮やかなステンドグラス。
荘厳なパイプオルガンの音が響いてくる。
赤い絨毯の先には、アル様が立っていた。
白い礼装に身を包み、まっすぐこちらを見つめている。
その瞳が少し潤んでいるのが分かった。
それを見たら、更に私の胸も高まってきた。
お父様と腕を組み、ゆっくりと歩き出す。
一歩、一歩、ゆっくりと歩く。
歩くたびに、これまでの出来事が胸に浮かぶ。
家や領地での出来事。
学園での出来事。
断罪のあった日のこと。
守ってくれた友達。
支えてくれた家族。
関わってきたたくさんの人たち。
全てが、今日につながっている。
アル様の前まで来ると、お父様は優しく笑って私の手をそっと取った。
そして、アル様へとゆっくりと差し出す。
「娘を……よろしくお願いします。」
こらえきれず一粒涙が落ちた。
それを見た、アル様は深く頭を下げた。
「・・必ず、必ず幸せにします。」
うれしさに私の涙も一筋流れてしまう。
アル様の隣に立った。
幸せに打ち震える。
「シャル。世界一綺麗だ。」
アル様は私を見て、そう囁く。
「アル様も素敵です。私今最高に幸せです。」
神官の声が静かに響いた。
「これより、王太子アルフォンス・ヴァレンシュタイン殿下と、シャルロット・ローゼンベルク嬢の結婚の儀を執り行います。」
誓いの言葉が読み上げられる。
「あなたはこの方を生涯の伴侶とし末永く共にあることを誓いますか。」
アル様が迷いなく答える。
「誓います。」
その声はとても強く、優しかった。
次は私。
「誓います。」
声は少し震えてしまったけれど、しっかりと答えた。
そして、指輪の交換となった。
アル様が私の手を取り、優しく指輪をはめてくれた。
私もアル様の指に指輪をしっかり通す。
「これでやっと、正真正銘私の妻だよ。」
言われて、私の胸もいっぱいになる。
「これからもよろしくお願いします。アル様。」
「こちらこそ。」
静かな大聖堂に神官の声が通る。
「誓いは結ばれました。」
その瞬間、大聖堂に温かなそして大きな拍手が広がった。
ふと、客席を見た。
お父様とお母さまはハンカチを握りしめながら私に微笑みかけようとしている。
エド兄様は、私を応援するかのように笑顔でうなずいている。
リリーは、ハンカチが意味をなさないほど、泣いている。
レオンとそのご両親も、笑顔で大きな拍手をしてくれている。
そして、王座の席では、ミハイル王とセリーヌ王妃が温かく見守ってくれていた。
「シャル。」
アル様がそっとベールをあげた。
「これからは、ずっと一緒だよ。」
「はい。一緒です。」
そして、二人で誓いのキスを交わした。
客席からは祝福の拍手が鳴りやまなかった。
こうして私は、アル様の隣に立つことになった。
王太子妃として。
そして――
愛する人の妻として。
大聖堂の扉が開く。
眩しい未来へ。
二人で歩き出した。
それが、私たちの新しい人生の始まりだった。
これにて本編は完結です。
今までお読みいただき本当にありがとうございました。
この後、お礼とちょっとしたお知らせを出したいと思います。
一度、完結表示を出させていただきます。




