プロローグ・目覚めた先で探すのは ~消えゆく声の儚さに~
序 章
プロローグ・目覚めた先で探すのは ~消えゆく声の儚さに~
「……ん……」
微かな吐息が零れ、瞼が揺れるのを見て、室内に緊張感が走った。
すぐに看護要員の神官が一人、知らせるために部屋を出る。
「……ぁ、いん……くん……?」
数度、瞬きを繰り返して何かを、誰かを呼ぶように唇が動く。
呼ばれて急ぎ駆けつけたウスニーの目の前で、視線がぼんやりと彷徨う。
「……インス……」
呼びかけに、ぱちりと一度瞬きして、インスは自分を見下ろすウスニーを見上げた。
「……ウスニー、さん……?」
「漸くお目覚めか?」
不思議そうなインスに、にやりと笑って見せたウスニーは、直後に飛び起きようとしてふらついたインスを抱き止める。
「っ!? バカ!! 急に動くな!! お前、自分の身体がどうなってるか……!!」
「アイン君は!?」
苦言を呈するウスニーを遮って、インスは詰め寄る勢いで問いかけた。
「は? アイン? いきなり何のことだ?」
「……ぇ……?」
眉を顰めたウスニーの返答に、インスは驚いて一瞬息を飲んだ。
〈……このまま……消えて、無くなってしまっても……〉
夢の中で聞いた、アインの声が甦って、ゾッとする。
まさか……
まさか……本当、に……?
「いいから。横になっていろ。病巣がないせいで、外科的手術も内科的処置も、魔法による治療も意味がないとは言っても……」
「っ! アイン君を……!!」
最後まで話を聞かず、またも掴みかかったインスが声を上げる。
知って、いますか? と口に出したら、どうなる?
もし、誰だ? と返されたら、どうすればいい?
「だから、今はそれはいいから!!」
「なんで……!?」
いいって、どういう意味ですか?
今はって! それはって……!!
あんなに、傷ついて、苦しんで……!
何がいいというのですか!?
「だから何が!?」
宥めようとするウスニーの声も殆ど聞こえていないのか、何かを必死に叫ぶインスに手を焼く。
「……どうして……!!」
「ちょっ!! 暴れるな!!」
振り払って部屋から飛び出しそうなインスを力づくで押さえ込むが、ますます暴れて手が付けられない。
インスがなぜ、これほど動揺しているのかが全く分からなかった。
「いいから! 落ち着け!!」
「アイン君は!!」
なぜ、そんなに落ち着いていられるのかが分からない。
まさか、本当にアインは、自分の存在を……?
「はなっ……して……っ。……わた、……しは……っ!!」
「……っ!」
舌打ちしたウスニーが素早く呪文を唱える。
「アイン君を……っ!?」
「風霊捕縛」
風の蔦草がインスの身体をベッドに縛り付け、ついでに口も封じて黙らせる。
「落ち着け、バカ者!!」
抵抗するインスに一喝し、軽く頭を叩いて大きく息を吐いた。
番外編第8弾、開幕です!
目覚めたばかりのインスが激しく動揺し、飛び起きようとする緊迫したシーンからのスタートです。
必死に叫び暴れるインスと、状況が掴めず彼を押さえ込もうとするウスニーの対比が印象的でした。
インスが夢の中で響いた声の正体は何なのか、そしてなぜ彼がそこまで絶望的な恐怖を感じているのか……。
やむを得ず魔法でベッドに縛り付けられてしまったインスですが、果たしてこの波乱の幕開けの先に待つものは?
次回もお楽しみに!
【今後の連載スケジュールについて】
続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!
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活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!
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また次回もどうぞよろしくお願いいたします!
【第8弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】
【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】
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