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PURGEー92 もやもや!!

 音尾が次警隊に戻ってくることが決定し、同時に黒葉への行為がありのままに露見した翌日、青年『春山 黒葉』は疲労から来た深い眠りから目を覚まそうとしていた。


「ンッ、ンンーーーー!」


 寝ぼけ気味に目を閉じたまま手探りで目覚まし時計を探す黒葉。しかしそんな彼の手に、次の瞬間柔らかい何かが掴まれた。


「アッ……」

「え?」


 黒葉が違和感のある感触に寝ぼけていた眼を開くと、自身のすぐ隣で寝転んでいる音尾の胸を鷲掴みにしている様子が見えた。


「おはよう、黒葉君」

「え? ええ! 音尾さん!?」


 思わず手を放した黒葉は、目の前の音尾が元から一糸まとっていない姿であることに気が付き、更に目を丸くしてしまう。


「音尾さん! なんて格好を!?」

「黒葉君……」


 混乱する黒葉に、音尾は彼の手を自ら掴んで引き寄せ、再び自身の豊満な果実を掴ませた。


「ちょっ!」

「黒葉君……私……あのキスの時から、なんだかうずくの」

「う、うずく?」

「胸の奥で、何かが沸き上がって来て、抑えられない。だから……」


 音尾は黒葉の上に跨るような態勢になり、シーツに隠れていた綺麗な素肌を露見させる。


「ちょちょ! 音尾さん!」

「私、もう我慢出来ない……」


 音尾は火照った顔つきを黒葉に近付け、もう少しで唇が重なるかに思われた二人。しかしそんなとき、奥から部屋の扉が開く音が聞こえて来た。


「黒葉君……何をして!」

「エッ、その声は!」


 黒葉が音尾の奥にいる声に目を向けると、そこには二人の状況を見て声を失っている信乃の姿があった。


「し、信乃さん! いや、これは……」


 黒葉が何とか弁解しようとすると、信乃は扉を閉め、目線を下に向けながら近づいて来る。


「信乃さん?」


 説教をされるのではないかと汗を流す黒葉だったが、なんと信乃は、突然自身の衣服を脱ぎ始めたのだ。いつも着ている服が床に落ち、シンプルな真っ白の下着姿になる。


「な、何を!」

「私だって、負けない……」


 信乃はそこから背中に手を回し、残っていた衣服すらも床に落として音尾に負けない美しい素肌を晒してしまった。


「ま、待って」


 困惑する黒葉を余所に、信乃はベッドに上がって黒葉に跨る音尾に負けじと左側から抱き着いて来た。心音や吐息、何より柔らかい感触が、黒葉の左腕に強く感じさせた。


「おおおぉぉぉぉ!(柔らかいものが! 信乃さんの!)」

「私だって!」


 音尾は信乃の攻めの姿勢にムッとし、自分も負けないとばかりに反対方向から黒葉に抱き着く。信乃よりも大きなものの感触を黒葉に与え、彼の思考は結界寸前になっていた。


(やばいやばいやばいやばい、両方から凄い刺激が! ダメだ、これ以上は!)

「黒葉君……」

「私と彼女」

「「どっちがいいですか?」


 至近距離にまで顔を近づけて問いかける二人。黒葉は彼女達の上がった息と表情。余りに大きな魅惑の

追撃についに理性が外れ、大声を上げた。


「おれは、俺はアアアアアアアァァァァァァ!!」


 二人を抱き寄せそのままあれやこれや……などとなりかけたその時、黒葉はいつものベッドの上で一人目を覚まして起き上がった。


「……あれ?」


 目の前の光景はいつもの自分の寝室。信乃の姿も音尾の姿も見当たらなかった。


「俺、また邪な夢を……」


 黒葉は自身の邪念を朝から恥じつつ起床を迎え、朝の身支度を済ませてリビングに向かった。すると料理をしている最中の信乃が足音に気付いて振り返り、目が合った。


「し、信乃さん!」

「お、おはよう……ございます……」


 黒葉の顔を見た途端に、何処かよそよそしく眼を背ける信乃。黒葉も今朝の夢の事もあって赤面しつつ眼を背けた。


「あ、お、おはよう……」

「す、座ってて。すぐに黒葉君の分も作るから」


 信乃は料理に集中しようと目線をフライパンの方に戻すも、脳裏にはこの前覗き見た黒葉と音尾のキスシーンが思い浮かんでしまう。


(あんな……あんな事……私より先に、されるなんて!)


 恥ずかしさと悔しさにフライ返しを握る手が強くなる信乃。一方の黒葉は席に着くと、隣には黙々と朝食を食べているレニの姿もあった。


「あ、レニちゃん、おはよう」

「お、おはようございます……」


 信乃に続き、レニも何処かよそよそしい。彼女の脳裏も、信乃と同じような内容が流れていた。

 リビング全体に気まずい雰囲気が流れる中、黒葉はある事に気が付いて問いかけた。


「あれ、そういえばリドリアは?」

「既に朝食を終えて、出かけていきました。走り込みをしたいとのことだそうで」


 その話題になっている当の本人は、現在シェアハウス近くの道をジョギングしている最中だった。思考を無にしたいリドリアだったが、その脳裏には黒葉と音尾のキスの映像が何度も浮かんでくる。


(ああもう! スッキリしたいのにドンドンもやついて来る!)


 リドリアは息が上がりながら足を止め、脳裏に浮かぶ光景を否定する。


「アタシ、なんでこんなにイラついてんのよ? 黒葉が何処で何をしていようと、アタシには関係ない事じゃない! あぁ、もやもやするぅ……」


 疲労で息が上がっていたリドリアは、次に歩き出した途端、道端で躓いて態勢を崩してしまった。


「しまっ!……」


 このままでは転倒してしまう。羽を伸ばして飛行するにも間に合わないかに思われたリドリアだったが、転ぶよりも先に何者かに肩を掴まれ、支えられたために事なきを得た。


「咄嗟だったから触っちまった。すまん」

「あぁいえ、私こそ転びそうになったところを助けていただき、ありが……え?」


 リドリアは自身を助けてくれた人物の顔を見て目を丸くし、身体が固まってしまった。


「う、嘘……」

「どうした?」

「将星……隊長?」


 リドリアを助けてくれたのは、彼女が憧れていた次警隊三番隊隊長、『将星 ラン』だったのだ。

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