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12.鈴を探します


「とにかく貰いに行きますよー」


 列にならんだコクバは、自分の順番に回ると枝を受け取った。


「はい、これお姉さんの分だよ」


 二本あるうちの一本を、コクバから受け取る。


 枝の先端には、万華鏡のようにキラキラ輝く火玉の精霊が付着していた。



「これを持ってね、こうやって地面を照らしていくの」


 コクバが、動きのお手本をみせてくれた。これを真似して鈴を探していく。


「このお面と合わせると、キツネ族のモンスターが踊っているようにみえるでしょ?」


「そ、そうですね……」


「お姉さん、もっとキツネになりきって」


「そうですね、こーん」


(何度もするの恥ずかしいのだけど、大丈夫……?)


「はい。よくできました、こーん」


(よかった。コクバの機嫌を損ねないで……)


 フィーネは鈴探しを続行する。


 同じ地点でだいたい十五分くらい探し回って見つからない場合、少し離れた地点を探せば良いとのこと。


 それでも、鈴をみつけるのは至難の業のように思えてくる。


 王都は人も多いし、お祭りとなれば尚のこと。


 時々、フィーネの口からため息が出ていた。


「見つかりません、こーん」


 コクバは集中力を切らしていた。


「ひとつ聞きたいのだけど、毎年これやってたの?」


「そうだよー。いつもはすんなり見つけていたんだけどー。どうしてだろう、今年はまったくみつからなくてちょっと焦りが出始めていてー」


「例えばですが、発見しやすい地形とか噂とかあるのかな……?」


 きつね火祭りに参加したことがないフィーユは、当てずっぽうな意見を言っているに過ぎないのかもしれない。


 それでも、コクバから誘ってくれたものだから、最後までちゃんと成し遂げたい。


 そんな思いで地面を照らし続ける。




「鈴探しで今まですぐ見つかっていたのは、むしろこっちが聞きたいくらいですよ、こーん」


「これまでの鈴探し、ずっと強運だったの……?」


「そうですよー。毎回何故か数分から十数分で、鈴が見つかってました」


「うーん……そうとなれば、今回は対策してきた可能性が……」


 ひょっとしたら、あるのかな――。


 フィーネが持つ木の先端にいる精霊は、退屈そうに欠伸ををしている。


 例えば、精霊のやる気次第で発見率が変わるとか、何かそういうギミックが仕掛けられていたりするかもしれなくて。


 まずそこから疑いの目をかけてみる。


 とはいえ、素人目だから憶測が外れていることも十分あり得る。 



「一旦ここから離れた地点を探してみませんか。人だかりで酔いそうになってまして……」


「ふえっ、お姉さん大丈夫なの?」


「今はなんとか平気だけど、もっと広々としたエリアってないかな……?」


 実際、人の熱気は凄かった。頭をいったん冷やして、鈴のありかの考察をちょっとしておく必要がありそうだと思うのだけど。


「ひと休みできそうな場所ですか? ――あっちのほうにあるよ、こーん」


 コクバはフィーネの右腕を掴み、全力で引っぱっていく。


(いきなり腕がっ……)


 戸惑いながら、コクバの案内に従う。



 見た目だけなら頼りなさそうだけど、鈴探しは頼りになる。


 移動中に鈴を発見してしまう可能性もあるので、一応だが足元は警戒しておこう。



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