47話 久しぶりの共同クエスト①
「どうだの二斗よ。こっちでの暮らしはなれたかのぉ」
人間って不思議なもので、異世界に来ているといううのにだんだん新鮮味が感じられなくなってきている。これが人間のさがか。つまり適応してきているってことだ。
王様は、髭をいじりながら告げる。
「初めてきた頃よりははるかに慣れてきております。それに.....現世でこんなに楽しい時間を過ごせたことなかったので」
俺は過去を思い出し、目に涙を浮かべる。見かねた王様は優しい口調で
「過去のことをほじくりだすようなことはワシはしないから安心せいのぉ。今が楽しいそれでいいんでないかのぉ」
今ここに居て楽しい......か。昔の苦い思い出を無くすことはできないが新しい思い出を増やすことは生きている限りできる。ありがとう王様。
「ありがとうございます王様」
膝をついて、深々とお辞儀をする。心の荷がスッと降りたような感覚があった。
それでなと王様は話を切り出す。
「最近クエストに行っておらんのじゃろう。どうじゃリストとセリナ二斗の三人で行ってきてはどうか」
「はっ。お言葉に甘えさせていただきます」
俺は王室を出ると、セリナの部屋に出向き事情を説明した。セリナとリストの合意を得て、早速街中へと出かける。
◇ ◇ ◇
「へぇーここがクエストの受付所」
第一声を発したのはリストだった。リストにとって始めての場所なので舞い上がっているようだ。目をキラキラさせながら所内を見漁っている。
「なぁ二斗。クエストってなんだ」
そこからか。俺は意表を疲れたかのようにため息を溢すと丁寧に説明をする。
「よし教えてしんぜよう。クエストとは依頼者のお願いを聞いてそれを達成したとき報酬としてお金や物資がもらえるといういわゆるお金を稼ぐ仕事に近い」
「その変なしゃべり方やめなさい。馬鹿っぽく見えるわよ」
話に割り込んできたのはセリナで毒舌を発している。
「そんなこと言わないでよセリナ。俺はこれでも大真面目なんだよ」
「どうかしら。職業ニートの貴方に真面目と言える資格があるようには思えないのだけれど」
ぐぬぬ。言い返す言葉が無い。俺は口をモゴモゴとさせていると、
「ちょっと。私を忘れてはいない」
正直に言おう。忘れていた。
「それで理解できたのか」
「クエストについてはなんとなくわかった」
彼女は機嫌を損ねたのか、口を尖らせている。




