20話 セリナの課題②
「話っていうのは?」
まず、口を開いたのは俺の方だった。手伝うことに対しての不満はそうそうないのだが。美少女と二人きりだぜ。不満をいうやからはどうかしてるぜ。
「そうね......サポートすることについてかな?」
首をキョトンと傾ける仕草をみせる。
質問を質問で返すんじゃない。そういいかけたが、話が進まないのでやめておいた。
「お店を作ることだろ。王様に頼むのが手っ取り早いけどな」
なにせ王様ならお店の一つや二つ直ぐ建てられるし。至極全うな事を俺は行った気になっていた。すると、セリナは突然立ち上がり口調を早くしまくし立てる様に言う。
「父上には迷惑をかけたくないの! 私たちで解決したいの」
そうか。俺の意見は彼女の意思を無視して一方的に押し付けていたんだ。俺は反省をする。
「それじゃあ、お金を貯めないとな」
世の中結局お金が物を言うんだよね。これはあくまで俺の考えです。
「そうね。クエストをして、お金を貯めることが必要ね」
セリナも同意の意思を見せる。
「そこで提案なんだが」
俺は椅子から立ち上がり、だらしのない前髪を後ろへと捲り上げる。
「王宮に預かっている者と一時的にPTを組む。そして大人数クエストをする。達成した報酬を山分けをする。どうだろうか」
「そういうことね、それなら皆が幸せになれるものね」
納得したのか笑みが零れる。
「二斗は案外頭いいのね。ありがと」
「ああ」
最初の一文は余計だが、彼女のなりの感謝の伝え方なんだろう。きっと。
俺はセリナの部屋を後にする―王宮で寝るのは二日目だな。
ーー
この生活にも慣れがでてきたためか、早めに起きた。(さてと、クエストにいきますか)気合十分。朝から俺はテンションが高かった。テンションが挙がらない方がおかしいくらいに。
「王宮で預かっている人たちは、どこに?」
セリナに問いかけてみる。王宮の中を一通り案内されていたが、そのような人たちも一度も見たことがなかった。
「地下の訓練所にいるわ」
訓練所か。ハロワの職業訓練みたいなものかな。俺は訓練受けてなかったけど大丈夫だったのだろうか。この際気にしても仕方がない事だが。
セリナの後を着いていくと、螺旋階段の下の隠し通路を下っていく。こんなところに隠し通路があったなんて。
「着いたわ」
なんだここ。見慣れないゲームがたくさんある。ゲーム機は1台に着き一人あり、ヘッドフォンを着けてなにやら動かしている。近づいて、画面を見てみる―モンスターを倒している映像が映っていた。
「ここでは、冒険者としての必要な戦闘経験を積むためにゲームをさせているの」
戦闘経験なんて、ゲームでは無理な気がするが。
「試しにやってみてもいいか」
「ええ」
俺は椅子に腰掛けヘッドフォンをしゲームを始める。オンラインゲームにはまっていたころを思い出すなあ。ギルドのメンバーとバカやって楽しかった。パッドで動かす系なのね。うむ、確かに臨場感があってゲーム自体は楽しい。だが、所詮ゲームをやっているだけだな。
「これが終わった後は?」
セリナは困った顔をしている。
「これで終わりよ。後は、お任せしている」
それじゃあ、だめだな。社会の役に立てるスキルが何もない。路頭に迷ってしまうのも納得がいく。
「おーい、聞こえるか!」
ゲームをやっている人たちに大きな声で呼びかける。「なんだ」周りは事情をつかめていない様に見える。
「いまから、お前たちと一緒にクエストをしようと思う。報酬は皆で山分けだ!」
「やりますよ!」
「うおおお」
良し、つかみは充分だろう。俺達は、大人数を引き連れて、クエスト受付所へと向かう。
ーー
クエスト受付所へと着いた。報酬が一番良いクエストはどれだ。
「二斗、これはどうかしら」
彼女は足早にこちらへと向かってくる。
セリナが見つけてきたクエストにはこう書かれていた。
お金に困った冒険者諸君へ
内容:モンスター1000匹討伐
報酬;100万GC
依頼人:キグナス
地図:××××
というか、依頼人キグナスだし。安心できるクエストだな。
「いいんじゃないか」
俺は、セリナを見て頷く。
「そうでしょ」
少しうれしそうにしている。
ーー
こうして、俺達は街の外れの草原へと向かった。
モンスターがわんさかいやがる。かたっぱしからやっつけるか。
「お前ら、一斉に攻撃だ!」
何時間ぐらい掛かったのかは分からない。終わったころには陽はすっかり落ちていた。
あの後、100万GCを30人で山分けをした。これでまともな生活が出来る様になるだろう。そう願いたい。
「二斗。助かったわ」
感謝の言葉を彼女は告げる。
「根本的な解決になったのかはわからないけれど、一文無しよりはましになったと思う」
「そうね」
セリナの課題はこうして無事終えることが出来たのだった。




