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ニートの俺は異世界に行くことになりました  作者: miyapon
第1章 異世界 ~グランド王国~
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19話 セリナの課題①

 

これからどうしようか。セイント軍とガルカス軍の戦いはセイント軍の勝利で幕を閉じた。街の様子もだいぶ落ち着きを取り戻したように見える。ギザルにやられた女性を助けないと。


「セリナ、回復を頼む」

「わかったわ」


 女性の息遣いが聞こえてくる。どうやら助かったみたいだ。


「助けていただきありがとうございました」 


 深々と頭を下げる。


「いえ、私はこれくらいしかできないから」


 セリナの表情はとても穏やかなものだった。人を落ち着かせる雰囲気を持っている。それが彼女の魅力でもある。


「キグナス、また会えるだろうか?」


 キグナスは、後ろを向いたままこちらには振り向かない。右手の拳を上へ突き上げる。


「また、どこかで会おう。それじゃ!」

「あんたに会えて、俺は楽しかったよ!」

「キグナスさん。短い間だったけど、ありがとう!」


 セリナと、俺は見送るように手を振る。


ーー


 街には、夕日が見え隠れてしておりあれからだいぶ時間がたったようだ。先ほどのような騒ぎがまるでなかったの様に静かになっている。


「セリナはこの先どうする?」


 俺は、この世界で何がしたいのだろうか。それが分からないでいる。セリナに聞けば何かヒントになるかもしれない。


「私は―自分の今までやってきた事をもう一回見つめなおす必要があると思うわ。それで、もしよかったら......」


 セリナは恥かしいのか下を向いて、もぞもぞとしている。頬は桃色に色づいている。


「良かったら何だ?」


 返答を待つこと数十秒。意外と長く感じる。


「一緒に手伝って欲しいの」


 小さな声で答える。だがその目には真剣さがこちらにも伝わってくる。そうかこの子は自分の信念を決して曲げない芯の強い王女様なんだ。

 

 俺は、生まれて初めて困っている人を手伝ってあげたいと思えた。このままだと多分、現世と同じくニートになってしまうだろうしな。


「わかった。俺は君を全力でサポートするよ」

「ありがとう」


 夕日をバックにした、彼女の笑顔は今まで見た中で一番美しくかわいかった。


ーー


 俺達はこの事を報告するために王様の元へと向かった。


「王様聞いていただいて欲しいことがあり、誠に勝手ながら帰って参りました」

「父上、どうかお許しを」


 王様は目を瞑り頷いている。


「わかった。仕方がない、申してみよ」


 セリナは立ち上がり経緯を話す。


「革命軍との戦闘になったのは、ご存知かと思います。セイント軍のキグナス様のお陰により街の被害も少なく済みました。また、ガルカス軍ボスのギザルの身柄はセイント軍へと引き渡されました。私は今回革命軍がなぜ出来上がってしまったのか、それを知ることが出来たのです。それは、こちらで身元を知らない人を一定期間預かった者たちが、就く場所もなく路頭に迷ってしまったのが原因だったのです」


 王様は驚きを隠しきれずないのか前のめりになるようにして聞いている。


「それは、誠か!」

「はい、父上」


 セリナを王様は怒るのだろうか。穏便に済ませよう。


「王様。俺はセリナのした事は間違っていないと思います。ただ預かったものたちへの後方的支援が少し足らなかったのです」

「二斗の意見はもっともだな。しかし原因が分かった所でどうする。対策は考えてあるのか」


 いつもより、眉間にしわが寄り厳しい表情へと変わっていく。


「ございます。私は、二斗と協力して働く場所を提供するサービスを始めます」

「サービスとな。具体的にはどうするのだ」

「お店をたくさん増やします。雇う側、雇われる側それぞれが均一になるよう監視いたします」

「なるほどな。こちらも出来る限りの援助をさせてもらおうではないか」

「感謝いたします。父上」

「二斗もサポートを頼んだぞ」

 俺は、背筋を伸ばしコクリと頷く。

「はい! 任せてください」


ーー


 王室を後にした俺達はロビーで立ち止まる。


「二斗、これからのこと私の部屋で少し話さないかしら?」


 セリナから提案されることは滅多にない。余程自信がないのだろう。


「わかった」


 彼女の部屋へと足を踏み入れる。壁はピンク色に染まっており大きすぎる豪華なベッドが一台。丸椅子と机が窓側にある、いたってシンプルな作りをしている。可愛い部屋だなと正直思った。女の子の部屋に入ったのは初めてだけど王女さんだから、一般人とは少し違うかもしれないな。


「どこでもいいから座って」


 俺は丸椅子に座ることにした。奥の部屋でセリナは何やら準備をしている。


「紅茶とコーヒーどちらがいいかしら?」


 俺は紅茶をあまり好んでは飲まない。しかも、相当な甘党である。砂糖とミルクが入っていない物は決して口をつけない。


「コーヒーで頼む。砂糖とミルクは入れてくれ」

「わかったわ。少し待っててね」


 部屋には、コーヒーのミキサーで豆を挽いている音だけが響く。なんか夫婦になったみたいな気分になるな。そんな事ありえないんだけどね。


「お待たせ」


 そう、この色だよ。見事なカフェオレに仕上がっていた。


「ありがとう」


 カップを受け取る。一口口の中に入れると、コーヒーの香りがフワッと広がる。


「おいしい」

「そう。よかったわ」


 ベッドに座っている彼女と対面し早速本題へと入る。




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