六話
とっっっっっっっってもおっっっっっっそい更新申し訳ありませんでした!
どういう風にキャラを動かそうか迷った結果がこうなりました……。
本当にすいませんでした。
「なぜ、王子がここに……?」
「少し、あなたたちと話し合いたいと思いましてね。」
俺がそうつぶやくと、王子はさわやかな笑顔で言った。それに、すこし見惚れてしまう。かっこいい……はっ! まて、中身まで女になるつもりはない! そんなのは断じてごめんだ!
自分の中の変化に少し驚きつつ、俺は話をつづける。
「な、なんだよ? 何の話だ?」
「いや、先ほど、我らの手では負えないものを倒したのは、あなたたちだと聞いたので。」
「だから何の話?」
「おい、閣下が赤面……あれ?」「どうしたよ?」「うん? めっちゃ無表情やん。」「冷めた目つきがいいなぁ…はぁはぁ」
「うるさい、黙れっ」
いつにない真剣な顔をした閣下の声を聞いて、みんなが一斉に黙る。俺は何を思っていた? 少女のような夢の恋? ならもう恋は終わった(そもそも中身は男だ! ……だよね?)。これはただの話し合いじゃない。交渉だ。ブラックな商売漫画を読んでいるから大体わかってくる。
キーワードは「戦争」「我らの手では負えないもの」「倒した」だ。つまりは、戦力が欲しい。それも、何よりも強い軍隊。つまり、あの化け物を倒した戦力、俺たちのことが今一番欲しいんだ。
それを予想すると、俺は続きを言うように聴いた。
「すまないな。で?何の話だ。」
「単刀直入に言うと、あなたたちの戦力を買いたいのです。」
「却下だ」
とてもキリッとした顔で聞いてきた王子に、俺は即答した。しっかりとした理由はあとに言うが、あえて言うなら王子が鬱陶しいからである。
王子は驚いたような顔を一瞬して、また先ほどまでのキリッとした顔に戻った。
「まあまあ、そんな早く決断せずに、報酬等を聞いてから決めてほしいです。
まず、旅をしているあなたたちには居場所を与えましょう。高級なふかふかベッドや高級な料理、一人一部屋を提供しましょう。そして、快適な生活もです。
そのために、名声も提供しましょう。今でも十分かもしれませんが、勇者の軍団として全国、いや全世界に知らしめてみせましょう! どこを歩いてもあなたたちは英雄です。
そして、最後にお金ですね。一生遊んで暮らせる位のお金を与えましょう。きっと世界中の高価なものを買い揃えることができるはずです! ……その代わりに、君たちの戦力を提供して欲しいのです。悪い話じゃないでしょう?」
長ったらしく喋った王子は、それでも綺麗な顔をしていた。今の話は結構黒い話なんだが……王子補正というものだろうか?
はぁっとため息をついて、答えようとした時に王子はまた口を開いた。
「あと、どうみてもあなたたちの服装はおかしいですねぇ……もしかして、異世界から来られたのですか?」
みんなが一斉にぴくりと反応した。つまり、他にも異世界からくるものがいると……? だが、確証はない。そのため俺は違う形で聞いてみた。
「……もし、そうだとしたら?」
「アハハ、おとぎ話のお話ですよ! 異世界から人が来るなんて話は! ……でも、もしそうなら、この世界から元の世界へ帰る方法を、探してあげましょう。」
その言葉を聞いて俺はニヤッと笑う。今の話によると、異世界から異世界人が来るというのはおとぎ話であることがわかる。そして、帰してくれる(・・・・・・)こともできるみたいだ。故に、俺はみんなの方に振り返ってこう質問した。
「では、諸君らに聞こう。諸君らはあの、元の世界に帰りたいか? 友人、親友、両親、親族……いろいろ居るだろう。そして、その人たちはきっと心配しているだろう。だが、君たちはあの世界ではどう生きていた? 働き詰めて苦しいのに加え、上司、同僚からの嫌がらせの日常。親から、いつ家庭を築いてくれるのか? と言われて何も言えない日々。いい加減働いて欲しいと言われても、面接等で落とされ、働きたくても働けない毎日。
それでも、帰りたいか?
だが、ここで帰りたいという者に文句等は、俺は言わない。理由としては、それでもあっちは平和だったからだ。幸せが溢れていて、とても楽で、そして自分の存在を覚えている者たちがいる。故に俺は引き止めようとはしない。
……さて、ここで先ほどの報酬等の詳細をまとめて、諸君らに問う。高級で、とてもいい居場所が獲得できる。それは、俺たちがここに住めるし、先ほどまでの旅をしなくてもいいということだ。
だが、次からの報酬についてはほぼ無効だ。なぜなら、お金はアーヴィングがたんまり所持しているし、名声だって先ほどの戦闘で少しではあるが手に入れた。
でも、やはり落ち着ける場所がない。……さて、諸君らに聞こう。この案にノルか、ノラないか」
「……閣下、選択肢ってもう決まってなくね?」
「……ワシは……孫等おらんからのう……」
「ま、俺もサリバンとグルフみたいに、すでに決めてしまったんだがな。」
「咲人と同じ意見だよ」
「僕ももう、決まっているよ。」
「わいもや」
「お、俺もっす」
「閣下、みんな閣下と同じ意見だと思います」
「さて、もう答えようか。みんなで、さんはーい!」
『だが断る!』
「…………はぁ」
私たちが一斉に断ると、王子はため息をついてこちらを見た。少し困っているようだ。だが、俺たちは戦わないぞ、という俺たちの姿勢を見て、少し笑っていた。何がおかしい?
すると今度は、残念そうな顔に変わり「あぁ~あ」と言い出した。
「私としてはここで断っては欲しくなかったです。まあ、また会うかもしれませんし、その時に気が変わったなら、いつでも私の城へと来てください。では。」
あの、しつこい王子がなんとも綺麗なお辞儀をして、あっさりと帰っていく。俺はそれにあっけを取られるが、片手を上げ腕を回して立ち去ることにした。
「全員、移動するぞ。だんだん騒がしくなってきている。」
「……ええ、そのようね。分かったわ」
田中が答えると、俺とみんなが移動の準備をし始める。といっても、重火器をしまって拳銃を装備するだけであるため、すぐに準備は出来た。が、今俺が気にしているのはそんなことではなかった。もちろん、女言葉を使い始めやがった田中のしゃべり方のについてではない。
「田中……なぜ即答しなかったんだ?」
そう、面倒ごとが起きるときにいつも頭を使っていろいろ回避する田中が、何か考えごとしながら返事を返してきたからである。これは、あの王子について何か考えているようだ。そう思い、俺は問いてみたのだ。田中は顎に指を添え、考える素振りをしながら言う。
「さっきの言葉に少し引っかかってね。まるで襲撃するよ? みたいに言っているようだったから……」
「なるほど。じゃとしたら、狙うのはおぬしら二人のうち片方じゃな……。」
聞いていたグルフは頷き、そういった。確かに、女性は男性よりも弱いと聞くが、なぜ俺まd……あ、今女だった。ふむ、ならばどうやって身を守ろうか……。銃でか……? だが、ここはファンタジーの世界だ。魔法の一つや二つあるだろう。どうしようか……。
考えているうちに、あとで考えようという結論が浮かび、それを採用する。そして、俺たちは歩き出すと、今後どうするかを話し合うことにした。
「さて、どこへ向かおうか……?」
「アーヴィングなら、オススメの場所がわかるんじゃないの?」
「う~ん、そうですねぇ……ここから西北西の方向に小さな街があります。そこには宿もあったしいいと思いますよ?」
「どのくらい時間がかかるんや?」
「だいたい……日が沈む頃ぐらいです。」
「夜にならなくて済んだだけでも儲けもんだ。」
宗治が言うとみんなが同時に二回頷く。相変わらず無駄に訓練された無駄のない無駄な頷きである。と、感心している場合ではない。それならば早くいかねぇとっ!
「よし、なら全員カーゴで移動するぞ! さっきと同じように分かれて乗ってくれ。」
「「「「「「イエス! マム!」」」」」」
いい声でみんなは返事し、俺たちはカーゴに乗ってアーヴィングの言う小さな町へとむかったのだった……。
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