五話
大変長らくお待たせしてしまったことを、お詫び申し上げます。
更新スピードが遅くて、本当にごめんなさい…。
RPGに良くある街並みの中でも、良く見かけるようなレンガでできた家々が、とても珍しいため、皆してはしゃいでいた。
「おお!すげぇ!」「な、なんじゃこりゃぁあああ!」「マジ、感動!」「おいおい…ガチで泣くなよ」
っとまあ、中には泣きだす者が居るほどすごいものだということだ。向こうではたぶん、ヨーロッパあたりにしかもうないだろう光景だから。
それにしても町の人たちの行動は皆早くて、もう商売を再開している店だってある。しかし、その中でも俺が興味を示したのは、この世界の料理だ。野菜にレタスなんてものはないだろうし、どんなものが同調理され、どんな味のものが出来るか知りたかったからである。しかし、皆が居る。このまま俺が店へと向かえば、皆が付いてくるだろう…。
う~んう~んと考え込んでいると、前方から、白髪のおっちゃんといった感じをさらけ出した人が現れた。というか、この人は…
「あの、このたびは我等の町を救っていただき、誠にありがとうございます!」
「あんたは、あの時の…」
そう、彼は俺が戦いに向かう時、危険だなんだと騒いでいた町人であった。
「あの時、正直町をつぶされる覚悟は出来ておりました。しかし、あなた方のおかげで町に被害が出ず本当に助かりました。」
「っていうか、村長なのか?」
「ええ、まあ。あの時約束されておりました旅館は、現在、準備中なので、後ほどご案内します。日が傾き、空を赤く染める時にあの中央にある大きな噴水にてお待ちしますので。」
「ああ、それまでは色々回っても良いか?」
「いろんな店があるし、気になるからさ。」
俺と中田がそう言うと、村長はとても良い顔で「はい、どうぞごゆっくりしていって下さい」と言ってくれた。そのとき、会計係であるアーヴィングが村長に、そういえばと思い出したような感じで質問した。
「あの、このお金は使えますか?」
会計が手にしているそれは、金色のメダルであり、表には二対の龍が、裏には草で包まれた美しい女性の姿が刻まれていた。百円のようなギザギザは無く、しかし、鉄臭いメダルだった。それを見た村長は目を見開き、ビックリした様子で「これは…」とそのメダルを見続ける。何なんだ?と疑問に思いつつそのメダル――金貨はどこから出したという他にくだらない疑問も浮かべた。ま、十中八九腕時計のホログラムからだと思うが…。
そうこう考えていると、村長が言った。
「これは、金貨です。我々ではとても手に入れることのできないもの…。」
「ええっと、普通の定食一つでおいくらなんですか?」
更にアーヴィングが訊くとうーんと唸りながら「銅板六枚ですね」と村長は答えてくれた。どうやら俺たちが、この世界のお金について全く知らないというのがばれたようで、親切に細かいことまで教えてくれた。
「普通、銅貨十枚で銅板一枚、銅板十枚で銀貨一枚、銀貨十枚で銀板一枚、そして、銀板五十枚でその金貨が一枚なんですよ。」
「…で、一回の食事に銅板四枚…。」
正直、言葉を失う俺だった。銅貨一枚を十円とすると、一食六百円相当である。つまり、会計の持っている金貨一枚で五十万円の価値があるということだ。しかし、ふと気になった事があり、その疑問を会計にこそこそと小さい言葉で訊く。
「なあ、会計。」
「はい?」
「お前の持っている全財産はおいくら?」
「…カンスト…」
「もういい、分かった。」
はっきり言ってくれる。この会計はどうやらとてつもなくお金持ちであった。というか、廃人並みじゃねえか?それ。
「…なあ村長さん。その金貨を両替できねえか?」
唐突に中田が訊く。まあ、普通の料金でなければ色々ややこしくなってしまうしな。俺はそう理解し、村長の方に向く。しかし、村長は困った顔でうむむと唸り始めてしまった。
何かいけなかったのだろうか?と思いつつ、次の言葉を待つ。すると
「…いいでしょう。ですが、うちでは到底無理なので、あそこで両替してもらいます。少しデメリットもありますが…。」
そう言って手で奥にある、いかにも戦士たちの集いといった風なボロく、しかし存在感のある建物があった。看板も立てかけてあり、描かれているのは青い盾を後ろに、二つの剣を交わらせた絵だった。
それを見てから「俺たちにとってのデメリットとは?」と訊く。
それに村長は、答えてくれた。
「あそこは『旅人の酒場』といい、いろんな強い者達が集い、日々戦いに出るものがいっぱいいるのです。なので、その金貨を両替をするだけでも、色々目立つでしょうな。」
「なるほど…。」
「んで、どうする閣下。」
中田がこちらを見て訊く。相変わらず美人である。中身が男なのに…。そんなことを思いながらどうするか考えていたが、俺はにやりと笑い答える。
「行こうか。俺たちは例え目立とうとも、それを利用してみせよう!さあ、行くぞ同志諸君!」
「うはぁ、まるでバラ〇イカの姉御だよ」「うん。美少女だけど男だもんな(中身が)」「閣下マジ閣下」「おおい!なに鼻血出してんだ!」
少し周りが五月蠅いが、まあついて来てくれるだろう。そう分かっていたので、先頭を歩き始めた。立てかけてある看板のすぐ隣に扉があり、開けて入るといくつもの視線がこちらに来た。そして、
「おぅい、譲ちゃん来る店間違えてないか~」
「ワハハハハハ!!良い体してんじゃねぇか!」
等というとてつもなく下品な言葉や笑い声が響く、が、その奥のカウンターにいる一人の老人の眼だけは違う眼付だった。しかし、笑い声はざわめきへと変わってしまう。なぜならば、私の裏には三十五名の部下達が居るからである。
すると、老人が一言いった。
「……合格。」
それだけ、たったその一言だけで酒場は静かになる。どうやらここは、あの人が仕切っているっぽく、他のクズは逆らわないようにしているのだろう。しかし、好都合である。
中田と二人、代表として老人のもとへ行き、両替できるかを訊く。
「すいません。この金貨を銅貨に両替できますか?」
「うむ、出来るが、カードを出せ。」
「カード?」
中田がそう返す。すると老人は手前の棚に置いてあったのであろう、自分のカードを取り出し、見せてくれた。その中身には名前と年齢、階級が書かれている。…訂正、様に見える。なぜ「様に見える」なのかというと、字が読めないのだ…。
するとそこへ、会計が来て「あっ」という呟きと共に説明してくれた。
「これは所謂ステータス表ですよ!といっても、階級と名前、年齢、所属しているグループだけですが…。」
「ふむ、すまない。で、それを作ることは出来ますか?」
老人に俺がそう訊くと、首を縦に振ってくれた。そして、詳しい説明もしてくれるそうだ。
「まず、名はこの新たなカードに触れれば出てくる。そしてその下に年齢と所属しているグループ名等、いろんな文字が出てくる。その一番下の色のついた一本の線は階級、つまりは君達の出来る仕事の目安を現している。これはいろんな依頼を受け、達成することにより、各『酒場』で階級を上げてもらえる。ま、あんた達は最低ランクのG…そういや言っていなかったな。階級は低い順からG、F、E、D、C、B、A、S、SSとある。そしてGがまだ初めての奴か普通の住人だとかが多く、とても死に安い。Fは初心者ランク。Eはやっと慣れてきた者達、DからCが凡人の限界だ。そしてBは天才たち、または努力をしてきた者達の階級でベテランの戦士という階級だ。Aはその中でもとびきりの者達の事を差す。Sは…この世に十組しか席は無くそのどれもが一人だけだ。まあ、中には、何人かのチームで一つの席を埋める者たちもいる。しかも、国王からの直々なる依頼も受けられるクラスだ。そして、SS。これに関してはもう、人外というべきか…。ありえぬ存在だ。
次に色の紹介だ。Gは白、Fは橙色、Eは青、Dは黄色、Cは緑、Bは茶色、Aは黒、Sは赤、SSは紫だ。特に意味はなく、強くても黒までの奴しかいない。先ほど言ったように、赤は貴重なほど少ないからな。
最後に、隊長さんっぽいあんたにだけ、このカードを渡す。」
長々と詳しく説明してくれたが、良く分からない。これは後で中田に聞くとして、最後の言葉を俺は気になって仕方が無くなったので聞く。
「なぜだ?どうして他の奴にも配らない。」
「それはな、このカードはここでは貴重だからだ。王都に行きゃあるんだが、ここからとても離れている。」
「なるほど…」
「閣下、ここは貰うべきだ。両替を早く済ませたいしな。」
中田が、そう言いながら周りを気にしていたので、ふと気になり、周りを確認する。…いろんな男からの欲望が混じった眼差しが俺と中田を見続けてきた。なるほど、早くここから避難しなくては。そう思った俺は「それじゃあ、頂きます」といいながら貰う。すると、表面に、まるで魔法が掛けられたかのような感じで文字が浮かび上がった。それに驚きつつも、いつの間にか両替された銅板を手に、足早にここを去る。が、やはりと言うべきか…
「なあ譲ちゃん達。そこの男どもより、俺達とお遊びをしないかい?」
なんていう奴らが居る。というか居た。目の前に。しかし、私達はそれを無視しながら扉へと進み、隊員達と酒場を出る。それでも、付いてくるのだった。
いい加減苛立たしくなり、
「ねえねえ…」
「うるさいなぁ。私は今、忙しいのだ。全員、銃を握れ。」
にやりと笑いながらゴムの銃弾が装填された銃を、うるさいハエ共に向ける。同時に、後ろにいた隊員達もニヤリと笑いながらひき抜き、その銃口を向ける。相手は見たこともないものを向けられ困惑するが、私は容赦なく鉄槌を下す。幸いココは店の外だ。銃声でビビられるかもだけど、こいつらをどうにかしない限り、解決しないと判断したのだ。
「ファイオル」
乾いた音が響き、男の右腕に命中する。一瞬、何が起きたか分からないと言いたげな顔をし、すぐに苦痛に歪みだしたが、どうやら私達はどSのようだ。
腹も膨れるくらいに喰らったそいつは、動かない。といっても、ただ気絶しているだけだった。しかし、俺は妙に思った。そう、ここにはほとんど人が居ないのである。騒ぎにならなかったのは良いのだが…。
しかし、良く耳をかっぽじって聞くと、どこかで騒いでいる声が聞こえた。
「なあ、何か聞こえるな?」
「ああ。中田、これはなんだ?」
「う~ん…皆はどう思う?」
「俺は祭りかと。」「ゲームの?」「アホ、ありゃ違う祭りだ。」「俺は王都からの支援だと思うよ?」「確かに。」「あんなデッケーのが来るんだ。それだろう。」「俺っちはパンティー祭りかと」「「「「「それだ!」」」」」
「…グルフはどうだ?」
少し疲れ気味な感じをさらけ出し、こめかみを指でもみほぐしつつ、俺はグルフに聞く。すると、うむ、とうなずいて、答えてくれた。
「ワシも、王都からの支援、援護かと思う。しかし、それだけじゃあここまで騒がんさ。」
「確かに…。」
「わいはパンt…いや、同じ意見や。」
「大和、後で覚えとれ。」
「え?ちょちょちょ!同じ意見やと言ったやん!何でや?」
「パンツ祭り?」
「うんそれに同意…ちゃうちゃう!無言で拳銃持つんやめて!怖い!」
「はぁ~…俺はさ、援護に一票だけど、こうも考えられないかなと考えてる」
「なんだサリバン。言ってみろ。」
「有名人も参戦しようとしたってさ」
「「「「「な~る」」」」」
そこまで意見を出し合っていると黄色い歓声が近くで聞こえた。女性特有の叫び声だ。すると、ウェルキンが「閣下」と意見を出した。
「今の歓声からするに、その有名人は男性の可能性が高いかな。例えば若い騎士団長辺りとか。」
「確かにそうだな。その可能性が高い。」
「だがよ、その可能性が高くても、俺達ゃ関係ないよな。」
「宗治…お前も後で覚えとれ。」
「はぁ?なんで?こいつと同じようなことは言ってないんだけど!」
「俺はたぶん、王子らへんでないかと。」
「いや、そりゃねぇだろ咲人」
「じゃが、それもありうる。」
そうして議論を交わしていると、先ほどからよそ見をしていたアライブが大きな声で言った。
「閣下!とても将軍ではなさそうな奴が手を振っています。どうやら、王族の内、誰かが来たのかもしれません!」
「…そうか、御苦労さんアライブ。皆、ここは一時退くぞ。さっきから歓声の声が近くで聞こえてきているからな。付いて来い!」
「「「「「イエッサー!」」」」」
しかし、俺たちはもう少し早く行動に移すべきだったのかもしれない。なぜならば、一斉に行軍し始めた俺らの前に、ぬっと男が出てきて止められたからである。その男は、傷は付いていて、しかし高級感をキープし続けているような純白の鎧を身にまとい、私こそが騎士という様なイケメンな顔立ちで、王冠っぽいのを被っていた。そう、つまりは、
「あなた達、少し止まって欲しい。」
「お、王子?」
「はい。私はクスタンブルグ王国第二王子、エルガート・クスタンブルグ・クリントンです。」
その男は、王子様、だったのだ。
誤字脱字誤文等の指摘も待っています。
読んで下さり、ありがとうございました。




