表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
223/261

18の9

「神影さん!ずっとここにいたんですか?」


真島彩花が近づき、話しかけてきた。


「…外は冷えますよ」

「そうですよ!だから、一緒に中に入りましょうよ!」


僕は空へと煙を吐き出した。


「…そう言えば、真島さんでしたよね?吸血鬼の噂話をされたのは…」

「はい!神影さんも興味があるんですか?さっきもその話になったんですけど、みんな信じてくれないんですよ〜」

「…そうなんですね」

「そうなんですよ!たしかに、噂話なので〜私だって本当なのかどうかなんて知りませんけど…火のないところに煙は立たないって言うじゃないですか!」

「…そうですね」

「みんなして酷いんですよ〜!まぁ、橘さんが苦手だから、そう言う話をしちゃった私も悪いんですけど…」


話し出したら止まらないな…


「…それで、どのような噂だったのかお聞きしてもよろしいですか?」

「はい!なんか〜ここのホテルを経営してる人が吸血鬼の眷属だ〜とか吸血鬼だ〜とか、ホテルに泊まった人達から血を吸って吸血鬼にしてるとか〜色々書かれていましたけど…」

「…そうなんですね」

「本当だったらどうします〜?私達、吸血鬼にされちゃうんですかね?」

「…どうでしょうか。純潔じゃなければ吸血鬼にはならないと聞いたこともありますが…」

「それ…どういう意味ですか?」

「…深い意味はありませんよ」

「私が純潔じゃないって言いたいんですか!」

「…いえ。深い意味なんてありませんよ。純潔な人なんて、そうそういないのではないですか?」

「これでも私は純潔ですからね!」

「…そうですか。真島さんは純潔なのですね」

「って!何を言わせるんですか!ち、ちが!違くないけど…あの、その…」

「…別に人それぞれですから。気にする必要もないと思いますが…」

「…そういう神影さんはどうなんですか?私も教えたんだから、教えてくださいよ!」

「…どうでしょうか。純潔とはけがれなき清らかなことを指す言葉ですよね?そう言う意味では純潔とは言えないかもしれませんね」

「…どういう意味ですか?」

「…そのままの意味ですよ。言葉など受け取る相手次第でどのような意味にも変わるものです。真島さんが受け取った意味のままでよろしいのではないですか?」

「私は…よくわかりません」

「…そうですか」


僕は空へと煙を吐き出してから、

タバコの火を灰皿で揉み消した。


「…外は冷えますね。中に入りましょうか」

「は、はい」


真島彩花と一緒にホテルの中に入った。

部屋へと戻りながら、話しかけてくる。


「神影さんはご飯を食べなくてよかったんですか?」

「…そうですね」

「いつも食べませんよね?何か理由があるんですか?」

「…どうかされたんですか?」

「え?」

「…僕が食事をしないことについて気にされているようですので…どうして気になるのでしょうか?」

「そ、それは!そ、その神影さんのこと知りたいって…思うことは…ダメなことですか?」


どうしてそんなに気になるのだろうか?

いちいち説明しなければならないのだろうか?


「…そうですね。アレルギーってあるじゃないですか」

「は、はい。人によってはあると思いますが…」

「…アレルギーがある方はアレルギー症状がでる食べ物を食べたりしませんよね?」

「そ、そうですね」

「…それと同じだと思えば、気にはならないのではないですか?」

「神影さんはアレルギーがあるんですか?」

「…いえ、ありませんよ。ですが、人それぞれ体質も違えば価値観も違いますよね?アレルギーだってそうです。ある人もいればない人もいる。そのように考えれば気にする必要もないのではと思いまして…」

「…結局、どうしてなのかは教えてくれないんですね」


僕はため息をついてから真島彩花に尋ねた。


「…真島さんはどうして食事をされるのですか?」

「え?それはお腹が空きますし…食べたら美味しいじゃないですか!生きる為には必要なことですよね?」

「…そうですね。ですがそれだけですか?」

「え?うーん、どうですかね?」

「…真島さんは生きる為にと考えて食事をされているんですか?」

「いや…食べてる時はそんなこと考えたことありませんけど…」

「…そうですか。僕のことを知りたいと言いましたね?でも真島さんは自分のことをどれだけご存じなのですか?」

「え?じ、自分のことは自分が一番わかってると思うんですけど…」

「…そうでしょうか?自分のことは自分で見ることはできませんよね?他人から見ることによって気付けることもあるのではないですか?本当に自分のことを全て理解していると言えますか?」

「そ、そう言われると…どうでしょう?」

「…そうですか」

「え?結局、どういうことですか?全然、わかんないんですけど!」

「…そういうことですよ」


真島彩花は悩んだ表情でえ?え?と言い続けている。

では、失礼しますと言ってから、

僕は部屋の中に入った。


「リンちゃんおかえり〜」

「…灰皿持ってきてくれたんだな」

「んー?ああ!受付の人が持ってきてくれたんよ!部屋ん中はダメだけど、ベランダならいいってさ〜」

「…そうか」

「リンちゃんコーヒー飲むっしょ?受付の人にさ!コーヒー飲むんすよって話したらいっぱい持ってきてくれたんよ!めっちゃいい人だよな!」

「…そうだったんだな」

「リンちゃんはメシ食べなかったんしょ?ちゃんと受付の人に話したん?」

「…ああ、話したよ」

「そっかそっか!俺からも一応、話しといたけどさ!多分一人分いらないと思うんすよね〜ってさ!」

「…そうか。ありがとな」

「いいっていいって!リンちゃんこの部屋の風呂見た?めっちゃでかいんよ!3人ぐらいなら余裕で入れそうなデカさでさ!めっちゃすごいんよ!」

「…そうか」

「リンちゃんどうする?先に入る?」

「…橘から入れよ。僕はコーヒーを飲みながら、タバコでも吸おうかな…」

「んー?そっか!じゃあ、そうするわ!」


僕はポットのお湯を沸かし、コーヒーを入れる。

コーヒーを入れた紙コップをベランダに持っていき、

椅子に座りながら、タバコに火を灯した。

空へと煙を吐き出す。

タバコを吸いながら、真島彩花に話しかけられたことを思い出して、苦笑する。

帰るまでここで過ごしてもいいかもしれないな…

そんなことを考えてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ