表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

着替え

私と瞬が付き合い始めてから数日。


やってきたよ。

あの憎たらしい発育測定が!


何が憎たらしいって、私は中学のときからほぼ身長が変わらない。毎年毎年誤差の範囲で伸びたり縮んだり、それでもって152センチで止まっている有様だ。


なのになんだ。体重だけは増えるのって嫌がらせなんだろうか。こんな嫌な気持ちしかしない発育測定、嫌い!


「嫌い!」

「…ふっ」


今の今まで私の発育測定に対する愚痴を聞いてくれていた瞬が笑った。


「笑うところじゃないよ瞬!こっちは真面目なんだから」

口を尖んがらせて言った。

「瞬はいいよ、背が高いんだもん。」


瞬は惚けたような顔をして言う。

「うちは歩花くらいの身長が一番好きだなぁ」

「なにそれ」

「ちょうど収まる」

「どゆこと」

「だから、抱きしめやすいってこと」

「はっ!?」


またこの人は耳まで真っ赤になりそうなことを言いなさる。この間ふいに瞬に抱きしめられたことを思い出した。


「前ギュッてしたときも、なんていうのかな。包みこめる抱きまくらみたいな心地良さ?っていうの?あーいう…」

「いい!いいから!恥ずかしいからやめて!」

「えーなんでー」


瞬ってば、不満そうな言い方しながら顔が笑ってますけど。


「とにかくね!私は発育測定が嫌いなの!」

「はいはい」


ニコニコして言う瞬。果たして理解してくれただろうか。








発育測定といえば、まずジャージに着替えなければいけない。


(あ…)


そういえば私、着替えるの初めてかも。

まだ体育の授業は行われていないから今日が初ジャージだ。


そして、瞬が着替えるところを見るのも初めてになるのでは。部活動体験のときに瞬はジャージになったけど、更衣室で颯爽と着替えたようなので私は見ていない。


(って、何意識してんの)


アホか、と自分をツッコんだ。同級生の女子の着替えを意識だとか笑えない。


(でもちょっと…)

気になる。


あのボーイッシュな瞬がどんな下着を着けてるんだろう…。ていうか、下着着けてるのかな。(ひどい)そもそも胸なかったらどうしよう…。(さらにひどい)

とても女性に対してとは思えない脳内の考えを一度蹴散らして、チラっと瞬の席を見た。瞬はもう着替え終わっていた。残念。


(…残念?アホか!)


と、アホみたいな葛藤を繰り広げているうちに周りのクラスメイトが着替え終わり始めた。

(やばっ)


まだ三分の一くらいしか着替えていなかった私は焦って、無駄に机をガタガタさせながらの着替えとなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ