どうしてこうなった・・・ 06
side アレス
僕がシャルより先にその広間にはいってまず最初に目にしたのは、こちらに向かって飛んでくる女の子でした。
・・・・えっ うわわわ!危ない!
ドォォォン
いてて、女の子受け止めたはいいけど後ろの壁に激突しちゃったよ。女の子は大丈夫かな。
「君?だいじょ・・・う・・ぶ・・か・・・・・・い」
あぁ、神様、貴方は僕を見捨てたのでしょうか? 僕が受けとめた女の子は僕のもう一人の幼馴染でした・・・
陶磁器のように艶やかで白い肌、髪は人形のように質が良い綺麗な空色だ。緑色の透き通った二つの瞳に整った眉。鼻筋はしっかりと通っていて、唇は血色が良く、透明感の出た桜色。そしてなにより人並み以上ある豊かな膨らみをもつその胸部。とても魅惑的な女の子アイシャ=ラウルが僕の腕の中にいました。
「いってぇな、くそっあんにゃろー絶対ぶっころす!!!」
「あ、ああ、アイシャ!?」
そう彼女は感情が高ぶると言動が乱暴になるだけでそれさえなければとても可愛らしい保護欲あふれる子なんだけど・・・・言動がね・・・
「あぁ? ってアレスじゃん! あたしのピンチに来てくれるなんてアレスはやっぱりあたしの王子様だね!」
「は、ははは・・・と、ところでアイシャ?なんでアイシャがここに?ルルス街にいたんじゃ?」
「えー? 教えてほしいの? どうしよっかなぁ? でもアレスなら教えてあげちゃう♪ 学園長のクソ爺にこの山の調査しろって昨日伝心獣で言われて仕方なくさー、こっちきたんだよねー、そしたらさー・・・・・あーー!!! そうだあんにゃろー!ブッコロス!!」
「ちょっ、アイシャさん!?落ち着いて!?」
「アレスがそう言うなら落ち着くわ!」
ははっ、アイシャさん・・・そのあんまりくっつかれるとね、色々当たっちゃうんだけどね!
「はっ、戦闘中に惚気るとはいい度胸じゃねぇか?」
殺気を感じて僕はアイシャを抱えたまま横に跳び転がった。するとさっきまでいたところは炎で焼かれていた。
「君は一体だれだ」
「あぁ?「狂炎のトキ」って呼ばれて有名なんだがなぁ」
「君が・・・、君に一つ聞きたい事がある。この山にいたはずの山賊達を殺したのは君か?」
そう言って僕はトキを見た。トキの風貌は髪目ともに赤で痩せていて身長も僕と同じくらいで大きいようだ。だが何よりトキが普通ではないと感じるのはその目が狂気を含んでいる事だ。人の事などゴミとしか思っていないようなその目がとても不愉快だ。
「はっ、山賊なんざいても良いことなんてないだろうが? だから慈悲深いこの俺が有効活用してやったんだよ」
「有効活用? 君は一体ここで何をしようとしていたんだ?」
「てめぇもここが何かを知らずに来たってわけか! だがそう簡単に目的なんざ言うわけねーだろうが、だがヒントをやるよ。俺は全てを喰らうためにきたんだ、よ!」
言葉が終わると同時に巨大な火の玉をこちらに撃ちだしてきた。
「【スプラッシュ】」
アイシャが僕の腕の中で水魔法を唱え、火の玉と同じ大きさの水の玉を作り火の玉と相殺した。
「アイシャ、ありがとう」
「アレスのためならもうなんだってするんだから!」
ははは・・・変わらないなぁ・・・
「でもアレス気をつけて、アイツかなり強いよ。さっきまで戦ってたけど下級魔法なら無詠唱で攻撃できるし、あたしの言詠唱と同程度だから相当きついし、何より火魔法使うとアイツに全部吸収されちゃうんだ」
「吸収?一体どういう・・・」
「それはこういう事よぉ」
そう言ってトキはファイアーボールを作り出し自分自身に向かって撃ちだしたんだ。
「なっ!」
「アレス!気をつけて!あいつは火魔法を吸収した分だけ次に攻撃する火魔法の威力が倍増される!」
くっ、僕は「神剣」を取り出し構えた。この「神剣」には魔法を斬る事ができる!その力に頼るしかない!
「へぇ?てめぇ面白いもん持ってんじゃねぇか? そいつがありゃ俺の目的も更に近づくなぁ、はははっ!今日の俺はついてるぜぇ! さぁてそろそろ死んでもらうぜぇ、俺の二つ名の由来を記憶して死んでいけよぉ?
炎に踊らされ狂って死ね【ファイアストライク】」
トキの頭上に炎の形をした槍が100本作られ、トキの言葉の終わりとともに100本すべてが僕とアイシャに向かって飛んできた。
「アイシャ!頼む!」
「分かってるわ!土よ我らを守り賜え【フォールストーン】」
アイシャは僕達の周囲に岩を召喚し炎の槍に備え、僕は「神剣」の効果である絶対防御結界を僕とアイシャの周りに発動し2重の防御にした。
ズガガガガガガン
「くっ! アレスごめん持ちそうにないかも!」
「くそっ! ここまで威力が高いなんて!」
アイシャが発動していた岩に亀裂が走り、岩が崩れ去ってしまったが僕の絶対防御結界のおかげでなんとか持ちこたえた。だけどトキの魔法が終わると同時に僕の結界も消えてしまった。
「ははは、よく持ちこたえたな! だがまだまだ甘いんだよ!」
そして僕が見たのは僕とアイシャなんて軽く覆ってしまうほどのとても大きな火の塊が僕らに向かって飛んできている状況だった。ははっ まいったな、僕の旅は始まったばかりなのにまだここで終わるわけには行かないのにここで終わってしまうのかな?・・・ごめんシャル・・・
ドォン
轟音。いやそれは発砲音というものなのだが今この場でそれを理解できたものはいない。ただこの場にいる者達がただ一つだけ理解できた事があった。
アレスとアイシャを骨すら残さず燃え殺すはずだった火の塊が凍っていたという事実だ。
そしてこの事実を受けとめ、いち早く冷静に動く事ができたのはやはり長年の経験からだろうか金髪蒼眼の男、アレスだった。
「やっぱり、シャルはすごいや・・・っと」
僕は横で呆けてるアイシャを抱えてその場を離れた。
「ひゃっ? ア、アレス?これ一体どうなって・・」
「アイシャ、僕言ったでしょ?シャルも一緒だって」
そう言って僕は目の前にいる、左手に白い銃をもち黒を纏った、僕の大切な友を見上げた
「てめぇ、一体何者だぁ?俺の魔法を凍らせるとは一体何をしやがった」
「・・・・・貴様に渡すわけにはいかない」
「っ! へぇここに何があるか知ってるってわけか、ははは、そうかてめぇも裏の奴だな?なおさら生かしちゃおけねぇなぁっ!
炎よ、敵を蝕む毒となれ【ファイアブレイズ】」
炎がシャルに纏わり、炎の勢いがましシャルが見えなくなるほどの火柱が立った。だけど僕はまったく心配なんかしない。だってシャルは僕が敵わない僕の目指す強さを持ってる人なんだからね。
炎の奥から光が立ち、光はやがて火柱を覆い、僕が気づいた時には火柱は氷となって轟音と共に氷は砕け散りその中では怪我一つないシャルがフードから顔をだし立っていた。
「っ!てめぇ、「黒」だったのかよ! 通りで道が開くわけだ・・・ちっ、そろそろ時間か、今は退いてやるがてめぇとは必ずケリをつける! てめぇの名を教えろ」
「シャル=ウォーカー」
「・・・・くははは! そうか・・・ウォーカーか・・・お前とは必ず出会う事になるぜ。俺の名はトキだ。よく覚えておけよ。いつかてめぇを焼き殺す名だ!」
炎がトキを覆い、炎が消えた時にはトキはもうそこには居なくなっていた。ふぅ、とりあえずシャルに助けられたね・・・
side シャル
俺が吐いている間にアレスはさっさと広間に向かいやがった。まぁさっき誰かが戦ってるとか言ってたし、俺はそういうの無理なんでアレスに任せとこう。うむ
ドォォォン
おぉ、やってるやってる。まぁアレスなら勝つでしょー、あいつチートだし。でもまこっそり様子見だけしてみるか!
んん? アレスの野郎、女の子を抱きしめてるじゃないか!! 許すまじ! いっつもいっつもあいつばっか女の子にもてやがって! いやまてよ。アレスが壁に激突してるって事は相手は結構強いのか? うーむ、
アレスと女の子がピンチになった時に俺が颯爽と駆けつける ⇒ 女の子の意識がこっちに向く。 ⇒ 俺が女の子を優しく支えイチャイチャ ⇒ その間にアレスと敵が闘いアレスが勝つ ⇒ 隙を見て俺がアレスをぶったおす
あれ、これナイスアイディアじゃね。アレスがいなくなれば世の男性が喜ぶし! 俺も念願の彼女ゲット!? くくく、アレスよ、俺のために死んでもらおう。
あぁ! アレスの野郎! 俺のマイハニーにめっちゃ抱きつかれやがって! 許せん・・・・っておい、なんだよあのすげぇ魔力籠った【ファイアーボール】はよ。
「君は一体だれだ」
「あぁ?「狂炎のトキ」って呼ばれて有名なんだがなぁ」
んななななっ、あいつがあの「狂炎のトキ」だってぇぇええ!? 北の戦武帝国「セクメト」の一個師団を一人で壊滅させて姿を眩ませたあの狂炎だ・・と・・・
よしプラン変更だ。俺が助けに入った後は女の子と二人で逃げよう。アレスよ俺のために散ってくれ。
「てめぇもここが何かを知らずに来たってわけか! だがそう簡単に目的なんざ言うわけねーだろうが、だがヒントをやるよ。俺は全てを喰らうためにきたんだ、よ!」
あぁん? あの赤トカゲ野郎全部食べるだと? あれか俺の果実ちゃん全部独り占めってか? あぁん? ゆ る す ま じ
上等だゴラ、赤い果実ちゃんのためなら狂炎がなんだ。全部ぶっとばしてやるわぁぁああ!
ってオイ!そんなバカでかい【ファイアーボール】撃っちゃこの洞窟崩壊しちゃうでしょぉぉぉおお!!
あぁったくっ! 「イシス」!頼むぜ!
ドォン
ほっ、あっぶねぇ上手くいってよかったぜ。
「てめぇ、一体何者だぁ?俺の魔法を凍らせるとは一体何をしやがった」
あぁ? 何をってそりゃ前持って「イシス」に氷の魔法弾をマガジンに入れておいたんだよ。それにてめーには俺の赤い果実ちゃんは渡さないからな!
「・・・・・貴様に渡すわけにはいかない」
「っ! へぇここに何があるか知ってるってわけか、ははは、そうかてめぇも裏の奴だな?なおさら生かしちゃおけねぇなぁっ!
炎よ、敵を蝕む毒となれ【ファイアブレイズ】」
ちょっ、喋り終わると同時に魔法ふっかけてくんじゃねーよ! うおおお! 熱っ!やべーちょーあっついんですけどぉぉぉぉおお!
そうだ!「イシス」にまだ氷の魔法弾が入ってたはず! ええいがむしゃらに撃ちまくれぇぇぇええ!
ふっふっふ、上手くいったぜ。さすが俺だ!・・・・・怖かったぞチクショウ。あぁ目に汗が・・・グスン
「っ!てめぇ、「黒」だったのかよ! 通りで道が開くわけだ・・・ちっ、そろそろ時間か、今は退いてやるがてめぇとは必ずケリをつける! てめぇの名を教えろ」
ナンデスカー、黒で悪いですかー、そうなんですかー、ケッ、帰れ帰れ!
「シャル=ウォーカー」
「・・・・くははは! そうか・・・ウォーカーか・・・お前とは必ず出会う事になるぜ。俺の名はトキだ。よく覚えておけよ。いつかてめぇを焼き殺す名だ!」
変態の名前なんか覚えたくねーよ!この火トカゲめ!
ったく、おっそうだそうだ、俺のマイハニーちゃんとご対面しないと~♪
やっと、ハーレムその1が・・・!