第三話「委員長が水着に着替えたら……」その一
七月二十八日
テーブルに置いてあるスマホの着信音がまた鳴る。うるさいな。
俺はベット代わりに使っているソファーで背伸び。かったるいけど、『なんかよう?』LINEを開き登録してある中でたった一人の女子へメッセージを送る。
『井伊反応遅い。幾ら夏休みだからってたるみ過ぎだよ』
『すまん、寝ぼけていた』
寝汗で俺のシャツがぐっしょりになっていたのでそこら辺に脱ぎ捨てる。
電気止められているからエアコン使えないのが原因。
『規則正しい生活していればそんなことにはならないわよ。どうせ徹夜でゲームやっていたんでしょ?』
『いんや、スマホで映画鑑賞。サメの惑星メトロポリスってのが微妙過ぎて消化不良』
『あー人類に取って代わったB級サメ映画か……いやいや、だからって井伊のくせに既読スルーしないでよ。私とやり取りできるだけで光栄なんだからね』
なんかイケメン王子達が傅く女王様のスタンプが送られてくる。
『へいへい、女王様は男子に人気ですもんね。おいらみたいな底辺相手してくれてありがとうございます。どうぞ構わず陽キャラ男子達とアオハルを堪能したらいかが?』
『うちの下心丸見え連中はどうもねぇ。男は盛りのついた猿だからあしらうのも飽き飽きしているのよ。特に開放感ある夏はね』
『さいですか』
うざ。
夏休みに入るも毎日委員長から来るLINEがうるさい。キスが日課なので無視すると怒る。面倒だからやめようと提案すると激怒。でも素直に従うつもりはないから戦争は継続中なのだ。
『だからこうして毎日LINEしている男子はあんただけなのよ。感謝してよね』
『西郷や大久保じゃなくて色気が足りない委員長じゃ全然有り難みがねぇよ』
『おもてに出ろや』
更にケンカ売っているのかワレと凄味の効いたネコのスタンプ。
カースト最上位グループであるのこり二人と違い、暇さえあれば言い合っているので、委員長から全然女を感じないから仕方ない。異性よりどちらかというと男友達枠。
『どうせ、今日も宿題早くやれって説教するつもりなんだろ?』
『それもあるけど、本題は別。あのさ今度海行くんだけど井伊も来る?』
『いかない』
『即答かよ』
遅い朝飯、昨日買った半額パンへかぶりつく。ただ食パンなのでトースター使えないのは痛い。
『陰キャラぼっちは日を浴びると灰になる。誰がリア充イベントに参加するか。虚しいだけじゃん』
『でも、あんた前までスポーツマンでしょ? 元リア充じゃん』
『ノー。群れるの嫌いだから筋金入りのぼっち。個人競技なめんな。それに八月に入ったら知り合いからバイト頼まれているから無理だわ。詳しい話はしてないが海鮮系らしい。多分工場だろうな』
俺が陸上選んだ理由もチームプレイが必要ないからと、極力意味のないコミニケーション取りたくないからだ。このスポーツ、対人というより自分のタイムが宿敵だからな。
『そっか。女子達だけで行くからボディーガードがほしかったんだけどね』
『第一ヒョロヒョロの俺じゃ駄目だろ。他のクラスメイト誘え。いつも教室でつるんでいるメンツいるだろ?』
『女にいや人間に興味なさそうな井伊のほうが安心するの。人生諦めている感じねぇ』
なんでやねんっと、サメがツッコミ入れているスタンプを送る。
残念ながらそこまで人生に絶望してねーぞと。




