第一話「それはまるで陰キャラ系ラノベラブコメ主人公VS陽キャラ系少女漫画主人公の如く」その一
高校生活二年目の春。
俺の名は井伊直助。元陸上部、今はただ学業を淡々と事務処理しているオタ系陰キャラだ。
半年前、一年生ながらレギュラーで活躍していたあの頃に比べたら俺は無気力化する。そう、アウトドア派からインドア派にクラスチェンジ。
理由は選手生命を終わらせるに十分な致命的な怪我。何よりも周囲の期待にキレて心が折れていた。監督にマネージャーで残らないかと声をかけられたが惨めなので断る。
それからの俺は練習に明け暮れたあの頃とかけ離れた日常生活を過ごしていた。グレないよりはいいだろ? 誰にも迷惑かけてないしさ。
ただ張り合いのない毎日、無駄に過ぎていく月日が辛かった。
若干スレていたので、気が合わないクラスメイト間で揉め事を起こすこともあった。
——そして進級したニ年目の春、その何もかも合わない女とまた同じクラスになる。
四月九日
新しいクラスに漸く慣れた頃——
「ちょっと待ってよ伊井、今日は日直でしょう!? なんで日誌何も書いてないのよ!」
「……委員長か。素で忘れていた。すまん。今やるよ」
それは帰り支度を適当に済ます俺の前へ仏頂面で立ち塞がる。
島津成明。カースト最上位陽キャラグループの一人兼クラス委員長。そして天敵。限りなくルーズな俺に対し全て卒なくこなす真面目の権化だ。
中等部から合わせて四回連続同じクラス。腐れ縁だ。でも向こうはどうか知らないが、今まで俺は陸上以外興味なかったから口うるさいクラス委員長の認識以外はない。
「はぁ……全くしっかりしてよね」
「申し訳ない」
適当に返す。この手の輩は言い返したら十倍返しがデフォーなので逆らわないのが攻略法。ポジティブ元気キャラで人徳半端ないから下手すると女子による援軍まで呼ばれて死んでしまう。
小学生の頃にやらかした轍は二度と踏むまい。




