第一話 「それはまるで陰キャラ系ラノベラブコメ主人公VS陽キャラ系少女漫画主人公の如く」そのニ
五月十四日
昼休み、誰もいない屋上で昨日購入した半額パンをかじる寂しいぼっち飯。独り暮らしなので母親や、ましてや彼女いない歴イコール年齢の俺にお弁当を作ってくれることはない。
そんな時、なんの前触れもなく扉が大きな音を立てて開くと、「こんなところにいた。探したわよ井伊!」つんつん委員長が腕を目立たない胸の前に組み仁王立ち。
「どうしたんだよ委員長?」
「井伊あんたいい加減にしてよね!」
指を突き立て決めポーズする委員長。学年で一、ニを争う人気の美少女なので様になっている。文武両道で成績は常に十位以内、スポーツも万能。ファッションセンスもあり、それで誰にでも優しくお高く止まってないのが校内のカリスマと呼ばれる理由。
何だけど………、どういうわけか俺だけは目の敵にする。
「なにが?」
「昨日掃除当番またサボったでしょう⁉ 女子達からクレームがきているのよ」
「すまん、忘れていた」
「部活辞めてから気が緩み過ぎだよ。学校は集団生活なんだからね。一人で競技に挑むアスリートとは違うのよ」
「……気をつける」
うるさいな。だが我慢だ。
島津はクラスのリーダーだから言うまでもなく干渉してくる。そんなに学校で良い子ちゃんになりたいのかね?
俺が直せば済むことなんだが、かったるさが先行してこうして毎回衝突するのがお約束。
「待ちなさいよ。まだ話は終わってない」
「なんだよ」
「もう何回も何回も風紀と規則を破って、流石に堪忍袋の緒が切れたわ。井伊直助! 私と勝負しましょう」
「勝負?」
爽やかな風で委員長の綺麗な長い髪が踊っていた。
「今度の中間テスト、成績順位が下がったら今後私の指示に絶対服従」
「もし上ったら?」
「これまでの行いじゃあ100%ありえないけど、食事ぐらいは奢るわよ」
「それは幾ら何でも横暴だぞ。大体お前にそこまで指図される覚えはない」
「うるさい。部活で貴重な青春を無駄使いして学業をおろそかにした報いよ」
「あ〝? 全く割に合わないぜ。そうだ、キスをしてくれるのならやってもいいぞ」
陸上の事で馬鹿にされたせいなのか、ちょっとムッとした俺は、やりたくないから委員長へ無理難題を吹っ掛ける。
「キキキキ、キス⁉」
「そうだ。それ以外受け付けない。だからこの話はな——」
「いいい、良いわよ。受けてたとうじゃないの!」
「いいのかよ?」
「はん、元脳筋に這い上がる力なんてあるわけないじゃない。どうせ泣き付くのが関の山」
「どうなってもしらねえぞ」
俺と委員長の意地がぶつかり、賭けが成立してしまった。勝負である以上全力で叩き潰すぞ。
続きは明日の十七時三十分の予定です




