無菌野(ステライル・フィールド)と欠陥の周波数
人工重力の重みが、鉛の金床のように俺たちを襲った。螺旋の階段で1時間近く浮遊した後での暴力的な変化により、俺たちはハードライトの床に膝をついた。
俺たちの前では、軍医総監が微動だにせず立っていた。彫刻された大理石を模した白いアーマーには、歯車も目に見える関節もない。彼が手にする銀色のカドゥケウス(杖)は熱を放射してはおらず、周囲の空気そのものを平滑にするような、抑圧的な「秩序」を放っていた。
彼の背後で、軌道エミッターが唸りを上げている。セルリアンブルーの球体が膨張し始め、同心円状のリングが光をぼやけさせるほどの猛スピードで回転している。地球規模の麻酔がチャージされつつあった。南米、そして俺たちが知るすべてのもののパージ(浄化)まで、あと数分しか残されていない。
『治療を遅らせることはできない』彼の声が俺たちの心に響いた。穏やかで、悪意の欠片もない。それは宇宙的無関心の擬人化だった。『生物学的異常の切除を今開始する』
「診察はキャンセルだ!」ヴァレリアが唸った。エンジニアは力みによるうめき声とともに無理やり立ち上がり、プラズマライフルを肩に構える。
彼女は引き金を引いた。数千度に過熱された企業のプラズマの3本の連続したビームが、機械の彫刻された胸に向かってプラットフォームを引き裂く。
しかし、ビームは標的に届かなかった。
軍医総監の50センチ手前で、プラズマは見えない障壁に衝突した。爆発は起こらなかった。敵の力場はエネルギーを反射したのではない。「修正」したのだ。白熱するプラズマは無害な光子へと分解され、力のない光のため息のように空中に霧散した。シールドの数学的マトリックスはあまりにも完璧であり、熱的カオスをゼロの(無効な)方程式へと変換してしまったのだ。
ヴァレリアは粉々になったバイザーの奥で目を丸くし、後退した。「奴のシールドは物質じゃない! 半径1メートルの範囲に物理法則を強制してるんだ!」
グリッスルは物理法則など知ったことではなかった。斧を奪われたオークは、自分自身の解剖学的構造を武器として使った。脚に移植されたリヴァイアサンの骨の密度が、暴走トラックのような威力で敵に向かって突進するために必要な推進力を彼女に与えたのだ。
「お前の数学をぶっ潰してやる!」グリッスルが吠え、鉄筋コンクリートを粉砕するほどの威力を持つ右ストレートを放った。
緑色でタコだらけの拳が、見えないフィールドに激突する。その結果生じた音は轟音ではなく、真空中で腱が切れるような、不穏で空虚な破裂音だった。
無菌状態の障壁は1ミリたりとも屈しなかった。グリッスルの運動エネルギーは、無限の摩擦を持つ壁に直面したのだ。反動のショックは即座だった。オークは加えた力の2倍の力で後ろに弾き飛ばされ、ソリッド・ライトの床を滑ってプラットフォームの縁に激しく衝突した。彼女は血を吐き、立ち上がろうとしたが、右腕が脱臼したような角度で力なく垂れ下がっていた。
力任せの生物学は失敗した。熱力学も失敗した。残されたのは「病気」だけだ。
歯を食いしばり、前進する。肝臓の寄生体が俺のシステムを黒いアドレナリンで満たし、同時に俺は黒水晶の腕を再起動した。ヨーロッパの魔法の紫色の輝きが、ミスリルのメスの血まみれの刃と混ざり合う。俺は完璧な感染ベクター(媒介者)だ。魔法のエントロピーと、有機的なカオスの融合。
「ここは俺のクリニックだ!」俺たちの間の虚無を飛び越えながら叫んだ。
『バベルのコード』をメスの先端に直接チャネリングし、障壁に向かって外科的な突きを放つ。
刃がシールドに触れた。ほんの1000分の1秒、感染の紫色の筋が目に見えない測地線ドームに沿って広がり始めた。数学的秩序が躊躇ったように見えた。
軍医総監が白い大理石の頭をわずかに傾ける。
『耐性病原体を検知。殺菌を強化します』
彼は銀色のカドゥケウスを回し、その基部を床に打ちつけた。
シールドの周波数が瞬時に変わった。障壁は受動的な防御ではなくなり、細胞焼却炉と化した。目も眩むような白い光が俺のメスを伝い上がり、黒水晶の腕を直撃する。
筆舌に尽くしがたい痛みだった。それは熱による火傷ではなく、アルゴリズムによる拒絶反応だ。シールドは俺の義手のルールを書き換え、腐敗した魔法を消去し、その過程で俺の人間の肉を石灰化しようとしていた。胸骨に強烈な衝撃を受けて弾き飛ばされ、仰向けに倒れてヴァレリアの足元まで滑っていった。
右手は水ぶくれになり、左の水晶の腕の光は不規則に点滅し、断末魔の苦しみを味わっていた。感染は、絶対的な『治療』によって追い出されたのだ。
凍りつくような煙を咳き込みながら、床に手をつこうとした。横たわっているグリッスルと、弾切れのライフルを震える手で握りしめているヴァレリアを見た。
どんな武器も、どんなエネルギービームも、どんなウイルスも、そしてタイタンのような怒りの力でさえ、あの機械の純粋さに触れることはできなかった。力場は密閉された空間であり、俺たちの「不完全さ」が存在することを許さない場所だったのだ。
軍医総監の背後にある軌道エミッターの唸り声が、耳を聾するほどのピークに達した。透明なドームの上の夜空が歪んで見える。隔離パルスの準備は完了した。俺たちの汚れた世界は、宇宙の漂白剤で洗い流されようとしていた。
『患者に鎮静剤が投与された』最終的な発射命令を下すためにカドゥケウスを掲げ、軍医総監が宣言した。『10秒後にパージを開始する』
冷たく容赦のない絶望が、俺の神経を麻痺させ始めた。俺たちは限界で手術を行ってきたが、どんなに優秀な外科医でも患者を失うことはある。地球は手術室で死亡宣告を受けようとしていた。
だがその時、俺たちの敗北の沈黙が破られた。
プラットフォームの無菌の空気を、しゃがれた、高く、恐ろしく調子外れな音が切り裂いた。
苦労して頭を巡らせる。
ルナだ。
エンパスは登攀の後もずっと床にうずくまっており、気圧と下層での音波戦のせいで耳から血を流していた。だが今、彼女はうずくまっていなかった。
彼女は音波の杖を支えにし、傷ついた手で酸化した金属を握りしめていた。乾いた血の跡が顎と鼻を汚していたが、その目に恐怖の色はない。恐ろしいほどの数学的明晰さを反射していた。
かつては他人の痛みを感じるだけだった少女が、たった今、機械自身の痛みを解剖したのだ。
「お前は完璧じゃない……」ルナの声はかすれていたが、広大な軌道プラットフォームに奇妙な権威を持って響き渡った。
軍医総監はカウントダウンを止めなかったが、大理石の仮面は彼女に固定されたように見えた。
『残り9秒。あなた方の恐怖は非論理的です』
「お前のシールドは……」ルナはよろめきながらも一歩前に踏み出し、顎を上げた。彼女の杖の先端のクリスタルが、今まで見たこともないような強さで輝き始めた。それはカオスや静電気のメロディーではない。単一の音符だった。純粋で、特異で、身の毛がよだつような音符。
「お前のシールドは、頑丈な壁じゃない。私たちが投げつけるものを拒絶するために、常に自分自身を再調整し続ける方程式よ。お前は私たちの『力』を読み取り、正反対の『公式』で答えている」
彼女はもう一歩踏み出した。杖の唸り声が大きくなる。
「私はこの10分間、床に寝転がって……お前の『沈黙』を聞いていたわ。お前がどうやって計算しているのかを。お前の無菌状態の拍子を」
『残り7秒』エミッターの唸り声がプラットフォームを揺らす。
「完璧な方程式は閉じていなければならない。でも、もしお前が拒絶するようにプログラムされていない音を導入したら……もしお前の構造的欠陥とまったく同じ共鳴を与えたら……ガラスは割れるのよ」
血とすすにまみれた小さな戦士がその全身を伸ばし、宇宙の殺菌の頂点に挑む。彼女は音波の杖の基部をハードライトの床に打ちつけた。それに続く音符は、軍医総監を攻撃したのではない。その音符は彼を「包み込んだ」。
「アーサー!」自身が放つ力の圧力で目から涙を溢れさせ、空気を引き裂き始めた音波の歪みで髪をなびかせながら、ルナが叫んだ。「メスを準備して! 周波数を見つけたわ! 私がフィールドを壊す!」
最後の手術が今、始まろうとしている。俺たちのバイタルサイン・モニターがたった今、蘇生のリズムを刻み始めたのだ。




