≪第五章≫
★第五章
・「クソ、クソォ! あの悪魔が、戦姫がいなけりゃうまく行ってたのに! こんな失態、母上に、あの方に知られたら……!
ううう、怒られるのは、嫌だああぁ!」
ジュリアスとアインのいうあの方とは魔神様です。
・ツァディーへ訴えかける声
女神様です。何故ここに来て聞こえてきたのか。
〝神の真意〟、この場所が深く関係しています。
・ツァディーの見た未来
分岐の鍵となる光。
ルーカス、イリア、ノエルの事です。
ここでいうバッドエンド二つの内容は以下。
①ノエル陣営の勝利、術式改変成功。
ルーカス達が命を落とすバッドエンド。
唯一生き残ったイリアは拘束される。
アインの精神支配により、ノエルはいいように転がされて……行き着く先は破滅です。
②ノエルがアインの手に掛かるバッドエンド。
イリアを神聖核に惑星延命術式は再起動するものの、最早後はない。
打開の術は失われ、アルカディアに未来はないので詰み。
・自分たちは無意識のうちに〝それ〟の支配下に置かれていた
ツァディーは自分達がアインの精神支配を受けていた事に気付きました。
・「大丈夫か? また、無理してないか?」
決戦の日、ルーカスがイリアに掛けた言葉。
一夜を共にしたので、体調を気遣う意味も含まれています。
この後さりげなくイチャつくルーカス。
奥手でヘタレていたのによくここまで成長して……。
・「君の〝力〟は女神の代理人である僕の前では使えないからね。その魔術器が、どこで作られた物であるのか、忘れてはいないだろう?」
ルーカスの力を封じたノエル。
女神の代理人。ここもキーワードです。
腕輪の開発にはホドの技術者が協力したそうです。
コードの発行は教団=ノエルが行っていて、それを王国の上層部が管理している形ですね。
・アイゼンの神秘【戦車】
アイゼンは最初【皇帝】持ちの予定で、ノエルのもう一つの神秘が【戦車】となるはずでした。
神秘の意味を加味しての割り振りだったのですが、やっぱり皇帝は使徒の頂点であるノエルの方が相応しいな、と変更。
それぞれの能力的にも変更してよかったと思います。
・フェイヴァの神秘【運命】
フィジカルお化けと言わしめた、驚異的な戦闘能力を作り出すとんでもない能力。
ただまあ、これフェイヴァが宿してるからこそなんですよね。
近接戦闘能力は作中一かもしれません。
彼の出自は第二部で明らかになりますが、そこが関係しています。
ついでに身体へ害をなす魔術や現象の干渉を拒む効果、呪いや毒の無効化もある。
なんと規格外な。
ノエルの皇帝の能力〝遵守〟に対しては効果がイマイチ適用されませんでしたが、それでもいち早く動けるようになっています。
・強化術が得意なロベルト
この設定は当初からあったものの、ようやく活かせました。
その上、魔術阻害なんて秘技も持っていた。
ロベルトも騎士学校を首席で卒業しているので、かなり優秀なお人です。
・ノリノリなハーシェルの詠唱
元ネタというか、執筆の時に聞いていた曲の影響もあります。
LHのルクセンダルク大紀行、愛の逃避行。
ブレイブリーデフォルトのリングアベルの歌ですね。
ロックでリズミカルな曲にあの歌詞はインパクトが凄い。
・豪胆なアーネスト
被弾を恐れず「負った傷は治せば済む話です」と、捨て身とも思える攻撃を繰り返すアーネストにはベートも引いていましたね。
・魔術阻害、十一の楔
数字はドイツ語です。
結点に打ち込む楔が十一であるのはセフィロトになぞらえています。
・アルタイル
飛ぶ鷲。
わし座の中心にある一等星。
星に関連したネーミングにしようと考えていたら、するりと出て来たのがこれでした。
・vs使徒戦
大筋プロットには「激闘の末、使徒を抑え込む。アイゼンとアインも下し、ノエルに迫る」としか書いていなかったので、組み立てに苦労した部分です。
ルーカスvsアイゼン、イリアvsアインはまだ良かったけど、王国騎士vs使徒は本当に難産でした。
・寝返るツァディー
わざわざ遠回りしなくても、ノエル達に事情を話してしまえば良かったのでは?
と思われるでしょうがそれをした場合、この時点ではノエル達に信じてもらえず、そればかりかツァディーは即刻アインに抹殺されます。
戦闘が佳境に入ったタイミングで行動するのがベストだったのです。
・ルーカスの危機に輝くペンデュラム
想い人からの贈り物がピンチを救う。
こういう展開、熱いですよね。
ペンデュラムはイリアの想いと力が込められた特別な魔術器です。
・ルーカスに眠っていた【世界】の神秘、破壊の力の根源
エターク王家の破壊の力、正体は魔神の権能。
かつて魔神が侵略して来た際、【世界】の使徒が奪ったものです。
長い時の中で忘れ去られていますが、アポストロス達はそもそも魔神に対抗する為に女神が戦う力=神秘を与えた存在です。
エターク王国はタヴの子孫が興した国であり、王家はタヴの血筋。
紅眼は封じた魔神の力の影響で、血によって男子のみが封印=世界の神秘を継いできた。
といった背景があります。
【世界】の聖痕は心臓に刻まれる。
だから人知れずに、また【世界】の使徒に関連する記録が意図的に消し去られているのもあって、エターク王家が紅眼を守る明確な理由は忘れられていきました。
神秘を継いだ者以外も力の片鱗を扱えるのは、抑えきれない力がタヴの血脈に変化をもたらしたためです。
・世界を呼び覚ました〝歌〟
ゆりかごの替え歌です。
・変化を見せるイリアの詠唱歌
滅光煌閃翔の詠唱が変わっています。
イリアの心境の変化、使命の為に歌うのではなく、望む未来を掴む為に紡ぐという意思の表れ。
・余裕たっぷりのノエル
【皇帝】の神秘の能力は反則ですね。
絶対遵守のギ〇スとしか思えない性能になっていました。
一回限りという制限はないですが、効果を発動させるためには
①命令者を視界に入れている事。距離が近い程よい。接触していれば尚良し。
②命令者は揺るぎない意思を以って能力を行使する事。感情で気持ちが揺れているとダメ。
この二つが最低必要です。
・「あらら、ノエル様ってば大胆。妬けちゃうなぁ」
無言の時間、ノエルがイリアに何をしたか?
黙らせるために唇を奪いました。
そしてディアナは……。
眠らせると見せかけて、死の呪いをかけています。
・シャノシェリvsテット
この対戦カードは大筋プロットでも決まっていて、双子が使徒になる流れも予定調和。
使徒の神秘がもたらす能力を考えるのは何気に苦労しました。
ある程度はタロットのアルカナになぞらえているのですが、恋人や節制は抽象的なので特に。
サポート系の方向性は最初から定まっていたのですが、蓋を開けたらとんでもバフになっていたー。
・女神様と……。
シャノンが暗闇の中で邂逅しました。
ここで出て来たのは完全に予定外です。
今後の流れに微調整の必要が。
・シャノンの親和
ノエルの遵守に逆らう力をルーカスへ与え、イリアの命を繋ぎました。
・真の裏切り者
ツァディーではなく、アインこそが裏切り者。
不審な行動で匂わせてはいたのでやっぱりか、と思った方も多い事でしょう。
ここから先の展開はノエルとって地獄でしかないですね……。
・【審判】の秘奥〝復活〟
ツァディーに未来を視せられたシン。
自らの命と引き換えにイリアの命を救う選択をします。
この先に訪れる明るい未来の為に。
・アインの凶刃に倒れるツァディー
枝分かれする未来、どの道筋へも代償なしには至れない。
選択の結果、自分の命が危険に晒される事をツァディーは知っていた。
自分が救済される保証がない事も。
けれど未来を拓く為に、いえ、ノエルの為にツァディーは選択しました。
ノエルにとって最高の未来=ハッピーエンドなんですよね。
シン、ツァディー、そしてイリアの三人の犠牲は未来を拓くために必要だった。
・リシアへ託された宝剣エスペランド、フェイヴァに護衛の任を命じるイリア
どっちもフラグ。
ですがイリアは「私が戻るまで」とも言っています。
・滅びへと向かう世界
結界が揺らぐと、クリフォトとの境界線が失われて融合が進む。
すると、門を介さなくても境界線を越えてあちらから魔獣が侵入してきます。
都市を襲った魔獣の群れはこれです。
空が赤黒く染まっているのは、クリフォトの瘴気の影響。
・神聖核、女神のゆりかご
神聖核となる儀式は、【女教皇】と女神の血族に伝わる〝歌〟をコードに成立する。
タイトルの〝終焉の謳い手〟はここにも掛かっています。
〝終焉〟のワードはこの先もちょくちょく出てきます。
・次はどんな演目にしようかしら?
第五章、そして第一部の〆です。
世界はある意味救われていますが、仮初の一時しのぎにしかなりません。
過去のトラウマから立ち直り、二度と大切な人を失う事のないよう誓いを立てて戦い続けた果てに、愛する人を犠牲にするしかなかったルーカス。
自らの幸せすら切り捨てて全てを犠牲にする覚悟で邁進してきたのに、裏切られ、志破れて愛する人を喪失したノエル。
イリアを想う二人は、彼女の愛に守られた世界でどのような選択をするのか——。
物語の行く末は、第二部を楽しみにお待ちください。
……以上で完結記念の語りも〆と致します。
ここまで長々と目を通して頂きありがとうございました!
途中端折った箇所もあるので気持ち的にはまだまだ語り足りませんが、終焉の物語をより深く知って、解像度を高める一助となれば嬉しく思います。