第三章 四
その穴の直径は六尺(180cm)ほど、僕なら十分に立って歩ける。中はどうにか壁が見えるほどの暗さだが、細かいところは分からない。
穴は真っ直ぐにいく道と、上へと通じる穴がある。とりあえず上に行ってみよう。
相変わらず風がロバロの唸り声にのように聞こえる。多分、縦穴に通じる穴が空いているのだろう。壁の突起を利用して登り、部屋をのぞいて見ると、大小たくさんの壺と棚が置いてあった。
初めて人の生活感のあるモノだが、長い間触られた形跡がなかった。
さらにもう一つ上の部屋には、薬研や石臼などの道具がいくつか置いてあり、壁から水が流れ出ている。
「この道具は見たことあるな……どこだったか……」
そうだ、薬師オババの小屋で見た道具と同じものだ。という事は、ここには薬師が住んでいたのか。
今度は穴を真っ直ぐに進んだ方向へと行ってみると、少し広い空間になっているようだった。
相変わらず耳には唸り声がこびりつき、幻聴を聞いているのではないかという気がしてきた。
中はかなり暗く、灯りがなくては何も見えない。
火打ち石は持っているが、火をつける物がない。
先ほどの部屋に戻り、何かないか探してみると、壺の中に薬草らしき植物を見つけた。
これを壺の中で少しづつ燃やせば、何とか行けそうだ。
ほんの数間進むだけで、ずいぶん苦労させられる。迷宮の中が明るいのは、本当は凄いことなのだと実感するなあ。
その部屋は、少し天井が高くなっていて二間四方ほどの広さだった。寝わらが積んであったので多分寝室として使っていたのだろう。そしてさらに奥に道が見える。
そこでふと気がついた。
風の音は外で鳴っている。そしてここはさっきの壺の部屋よりも奥にある。にも関わらず、唸り声がさっきよりも大きく聞こえるのは何故だ?
僕は奥へと続く道へ小走りで進んでみた。
やっぱり、さっきよりも大きくなってる!
この声はホンモノだ!本物のロバロの唸り声が聞こえてたんだ!
一度、二度と曲がり角を曲がると、徐々に明るさが戻ってくる。それに従い地面にも緑が生え始めてきた。
ロバロの声はもうすぐそこから聞こえている。
僕はすでに灯り代わりの壺を置き、いつでも刀を抜ける状態にあった。
「ルルディ!」




