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第29話

久々の更新です。

「もう本当に信じられなかったわ! 女の子が苛められてるっていうのに証拠が無ければ動く事が出来ないなんてふざけんじゃないわよ!」


「は、はあ……それはまた……」


 オカマのローズさんの相談を受けた後の夕食にて、今日も家に来ている紫苑さんが綾ちゃんが通ってる小学校へ突撃した事について憤慨しながら説明していた。高嶺の花と謳われてる紫苑さんが余りに憤慨な顔をしてる事に俺は少し戸惑っている。何しろここまで怒るところを見せるのは久しぶりだったから。


「やれやれ、綾ちゃんが苛められてる証拠が必要だなんて……。まぁ学校側の言い分は分からなくもないけど、本当に嫌な世の中になったもんだ」


 俺と紫苑さんの向かい席にいる父さんは、紫苑さんの話しを聞きながら複雑そうな顔をしている。


 因みに父さんは今回の綾ちゃん苛めの件について、すぐに解決出来ないと思っていたようだ。父さん曰く、今の時代は証拠と言う決定的な物が無ければ周囲は認めようとしない、と。それを聞いた俺は最初、警察の捜査じゃあるまいしとバカバカしく思っていたが、紫苑さんの結果を聞いて呆れながらも認識を改めざるを得なかった。


「しかし向こうがそう言ってる以上、私や修哉の証言でも無理そうだね」


「だったらいっそ、俺と紫苑さんで未だに綾ちゃんを苛めてる悪ガキ共を今度とっちめるしか無さそうだな」


「そうね。もう学校が当てにならないから、ここは私たちで何とかするしか――」


「ダメだよ二人とも」


 俺の提案に紫苑さんが乗ろうとすると、急に父さんがダメ出しをしてきた。


「何でダメなんだ? もうコレしか方法は無いだろ」


「そうですよ、小父様。綾ちゃんを苛めてる子たちがもう同じ事を繰り返させない為にも、ここは私たちが鬼になるべきです」


「確かにそうすれば解決するかもしれないよ。でもね、それとはまた別の問題が起きてしまう」


「別の問題?」


「……………あっ!」


 父さんが言った一部をオウム返しにする俺に、隣にいる紫苑さんは少し考えた後に気付いたような顔をした。


「確かに小父様の言うとおり、それだけで根本的な解決にはならないわ。そうした後には――」


「そう。紫苑ちゃんが考えてるように、綾ちゃんを苛めてる子達を二人が諌めたとしても、今度はその子達の親が黙っていない。『自分の子が苛めたと言う証拠が無いのに、どうしてこんな事をした?』と言うような感じで、ね」


「…………」


 父さんの説明を聞いた俺は静かに納得して、後々の事を考えた。


 確かに悪ガキ共にお仕置きをするのは簡単だ。でも父さんの言うとおり、悪ガキ共の親が絶対抗議してくると思う。さっき父さんが言ったような事を、な。そうなれば今度は俺や紫苑さんを訴えるだけじゃなく、父さんや紫苑さんの両親にも迷惑が掛かってしまう。特に紫苑さんの父親である京一郎おじさんは佐伯グループの社長と言う有名人だから、その肩書きに傷をつけてしまう恐れがある。いくら企業とは全く関係のない個人的な事とは言え、有名人の娘が何の罪も無い子供に手をあげた等と世間が知ったら確実に問題視されてしまう。


「だから証拠が必要なんだよ。苛めた子達の両親が納得出来る決定的な証拠を見せなければ、真の解決にはならない」


「けど父さん。今そんな物の為に悪ガキ共を放っておく訳にはいかないだろう。こっちが何かしらの釘を差しておかないと、悪ガキ共は綾ちゃんが抵抗しないのを良い事に、益々図に乗って取り返しのつかない事になってしまったら――」


「分かってるって、修哉。だから今度は父さんが明日、綾ちゃんの学校に行ってくる」


「え? 父さんが行くって……」


「どうするんです? いくら小父様が行ったところで、結果は変わらないと思いますが……?」


「向こうが証拠が必要と言うなら、作れば良いのさ。二人とも、夕飯を食べた後で良いから、ちょっと手伝ってくれる?」


「? 手伝えって……一体何を作るの?」


 俺の問いに父さんは答えた。


「学校に提出する為の書面を作るのさ。綾ちゃんがこれまで苛められていた経緯の書面をなるべく細かく、ね」







「修哉ぁ……テメェのせいで俺は昨日の放課後に東山から地獄の補習を味わったんだぞ。どうしてくれるんだゴラァ!」


「………お前は昨日から一体何を言ってるんだ?」


 紫苑さんと一緒に、父さんの書面作成を手伝った翌日の朝。


 いつも通りの時間に教室に来て早々に錬に絡まれ、さっきから訳の分からん事を言って来る始末だ。補習を受けたのは分かるんだが、何故コイツが東山先生の補習を受ける羽目になったのかは全く分からなかった。


「気にしないで天城君。鬼灯君の自業自得だから」


「? 何が自業自得なんだ? 出来れば教えてくれ」


 簡単に済ませて言う沢井に俺が説明を求めると、近くにいる江藤が言おうとする。


「それはねぇ。昨日の昼休みに天城君が授業始まる直前まで愛美ちゃんと話し込んでいたから、遅すぎると思った錬君が迎えに行こうとしたところ、つまんない授業って言ったところを東山先生がバッチリ聞いちゃって」


「………錬、お前東山先生の前でよくそんな事が言えたな。命知らずにもほどがあるぞ」


 江藤の説明を聞いた俺は内心呆れを通り越して逆に感心してしまった。


 何しろ英語担当の東山先生は栖鳳学園で一番怒らせたくない先生だ。普通はガタイが良くて厳しい先生が恐いと思われるだろうが、東山先生は全く違う。あの先生は一般男性な体格をして普段温厚で優しいが、怒った時の顔はそりゃもう威圧感たっぷりな笑顔を見せて従わざるを得ない状況にまで持って行く。たとえノーと拒んだところでも結局はイエスとしか答えられなくなる。


 それ故に東山先生を絶対に怒らせてはならないと言う一種の暗黙のルールが出来ていた。東山先生の恐ろしさを知った、教師に対して反抗的である生徒が特に。


「元はと言えば修哉が羽瀬川と長く話し込んでたのが原因だろうが!! お前が遅かったせいで俺は、俺は……!」


「……話が長引いてしまったのは認めるが、それでお前に責められる謂れは無いと思うぞ」


 江藤の言うとおり、錬の自業自得だから俺は何とも言えない。俺の為に迎えに行こうとするのは結構だが、余計な一言さえ言わなければ東山先生の補習を受けずに済んだものを……ホントに後先考えない奴だ。


「それはそうと天城君。昨日は用事があって聞けなかったんだけど、結果はどうだったの? 愛美ちゃん許してくれた?」


「………ま、まぁちょっとしたトラブルがあったが、一応許してくれた」


「? トラブルって、何かあったの?」


「ああ、それは……ん?」


「あ………っ!!」


 ふと、教室の戸が開いてる先に話題の中心となっていた羽瀬川がいたので俺が振り向くと目が合った。けれど羽瀬川は昨日の事を思い出したのかすぐに顔が真っ赤になって、逃げるかのように隣の教室へ向かう。

何かもう、内容がグダグダになりかけてます。

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