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第25話

久々の更新ですがハッキリ言います。今回凄く短いです。

「………ま、神代が非常識な行動をするのは今に始まった事じゃないな。それよりも」


 今は羽瀬川と話す事が先決だ。神代のおかげで竹刀は俺が手に持ってるから、もう羽瀬川に使わせない。


 そう思いながら消沈気味の羽瀬川に、俺は近付いて話しかけようとする。


「羽瀬川。意気消沈してるところ悪いが、俺の話しを聞いてくれるか?」


「……………………」


 話しかけても反応がなく、顔を伏せている羽瀬川。神代に武道についての指摘をされた事が相当効いたんだろう。


 羽瀬川は一流の剣道家を目指そうとしているから、恐らくさっきまで俺を剣道で叩きのめそうとしていた事に反省しながら自己嫌悪してると思う。根っから真面目な奴だからな、羽瀬川は。


 本当なら俺も神代と同じく追求したいところだが、今の落ち込んでいる羽瀬川を見てそんな事する気は失せた。いくらさっきまで羽瀬川の行動に怒っていた俺でも、追い討ち染みた真似はしたくないからな。もしやったら人として最低だし。


「えっと……何もそこまで落ち込むことは無いと思うぞ? 元はと言えば俺がお前を怒らせてしまったし……」


「……そうであっても、わたくしは剣道家として最低な行為をした事に変わりありません」


 やっと口を開いてくれた羽瀬川だったが、自分を追い詰めるように自虐的な発言をする。


「本当に申し訳ありません、天城。正直言って、わたくしは貴方の顔を見ることが出来ないくらいに自分が恥ずかしいです」


「いや、何もそこまで自分を責める必要は無いぞ。だからもう――」


「斯くなる上は、すぐ貴方に土下座して侘びねば」


「人の話しを聞けよ!」


 勝手に話しを進めて土下座しようとする羽瀬川に、俺は突っ込みを入れながら無理矢理立たせて、羽瀬川の両肩をガシッと掴む。


「ちょ、ちょっと天城!? 何を……!」


「いいか? よく聞け羽瀬川。確かにさっきお前のやった事は剣道家として最低な行動だったから、神代がそれを指摘してお前は心底反省している。だがな。いくら自分がやった事とは言え、そこまで自虐的になる必要はない。自分が仕出かした事を反省さえしてくれれば、俺はそれ以上何も求めない」


「…………………」


「だから俺に土下座なんてしなくていいから。寧ろやらないでくれ。逆にコッチが申し訳ない気持ちになってしまう」


「………ですが、わたくしは……」


「ああ~もう! 俺が良いって言ったらもう良いんだよ! ったく! お前はホントに超が付くほどのクソ真面目というか、融通のきかない石頭というか……」


「どう言う意味ですかそれは!?」


「そのまんまの意味だ! と言うかお前は中学の頃から全然変わってない! 少しは俺の話しに合わせる様に機転をきかせろ! そんなんだから周りから堅物女って言われるんだぞ!」


「そ、それとこれとは関係無いでしょうが! 第一、そんな事を貴方にとやかく言われる筋合いはありません! 天城だって――」


 負けじと言い返す羽瀬川に俺は掴んでいた羽瀬川の両肩を離して更にヒートアップする。


 よし。このまま続けていれば、羽瀬川はすっかり元に戻るだろう。


 自虐的になってる羽瀬川を何とかする対処として、途中から態と関係無い話をして爆発させ、さっきまでの事をどうでもよくさせる為にスッキリさせようと言うのが俺の作戦だ。こうでもしないとコイツはいつまでも尾を引くから、こっちとしても良い迷惑だからな。だから後々の為にガス抜きさせるって訳だ。クソ真面目な羽瀬川にはコレが一番だってのは過去に証明済みだし。


 そして5分ほどヒートアップした会話が続くと、今の羽瀬川は落ち込んでいる様子は全然無かった。


「「はあっ……はあっ……」」


 言いたい事を言い終えた俺と羽瀬川は息が上がっている。これって地味に疲れるんだよな。


「……全く。貴方と話していると、何かもうどうでもよくなってきましたわ……はあっ……はあっ……」


「そ、そうかい……はあっ……はあっ……」


 どうやら上手く行ったようだ。


 これでまともに話が出来そうだと思っていた俺は息を整えながら元の話題に戻そうとする。


「なら此処はお互いに許すって事で手を打たないか? いつまでもこんな事をしてたら切りが無いからな」


「………分かりましたわ。それが互いの為ならば」


 ふうっ。一先ず解決したな。


 さて、やっと紫苑さんについて説明する事が出来る。羽瀬川にはちゃんと誤解を解かないとな。

一先ず落ち込んでる羽瀬川を元の状態に戻す話でした。

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