クリスマス企画 後編
遅れてすいません。
本当でしたら昨日に更新するはずでしたが、誤ってデータが消えてしまって一から書き直していました。
書いてて切ない気分でした(泣)
それではどうぞ!!
「全くもう……二人揃って周囲を気にせずにあんな事をするなんて一体何考えてんですか? その所為で俺は変なとばっちりを食らいましたよ」
「う……。申し訳ありません、天城」
「……ごめんなさい修哉君」
羽瀬川と紫苑さんが俺を間に挟んで変な言い争い後、俺は二人を連れて学校から出た。そうでもしなければ妙に殺気立っていた男子達が俺に襲い掛かりそうだったから。
そして今現在、俺は人がいなさそうな路地裏で二人に説教中。二人は自分がやった行動に反省し始めており、さっきまで言い争いをしていた様子が全く無くてシュンとしている。
「特に紫苑さん、元生徒会長で俺達の先輩である貴方が後輩相手に何みっともない事をしてるんですか。少しは自覚して下さい」
「……返す言葉も無いわ」
後輩に説教される先輩ってある意味凄い構図かもしれないが、騒ぎを起こした元凶である故、言うべき事は言わなければならない。
「言っておくが羽瀬川もだからな」
「……はい」
更に落ち込む様子を見せる羽瀬川だが俺は更に続ける。
「二人とも、もうあんな騒ぎを金輪際起こさないで下さい。良いですね?」
「「…………………」」
釘を刺す俺に無言で首を縦に振る羽瀬川と紫苑さん。だけど今までの経験からして絶対に起きないとは限らないから、万が一の為のペナルティも加算しておこう。
「もしまた同じ事をしたら、二人とは暫く口を聞きま――」
「「それは嫌!」」
え? 何? 何かペナルティを言ってる最中に二人がすぐに顔を上げて俺に詰め寄って来たんですけど。
「天城、もうしませんからそれだけは……」
「修哉君にそんな事されたら私……」
「え、え~っと……」
涙目になりながら上目遣いで見てくる二人に俺は何を言えば良いのかと戸惑う。いつも強気な二人がこんな弱弱しく懇願してくるなんて初めてだから。何か逆にこっちが悪い事をした気分になって来る。
それと不謹慎だが、あのような仕草をする二人を見て思わず可愛いなって思ってしまった。一体俺は何を考えてるんだろうか。
「あ、あくまで二人がまた騒ぎを起こした時の場合です。そ、それともうこの話は終わりです」
いつまでも説教を続ける気は無いので話しを打ち切ろうとする俺。
「あとそれと、二人とも何故か俺と一緒にクリスマスを過ごすとか言ってましたが、どの道俺は店の手伝いがあるから断りますよ」
「「そんなぁ……」」
俺の気のせいだろうか、何かこの二人急に息が合ってるような気がする。
けど落ち込んだ二人を見るのは流石に忍びないので、
「まぁ……店が終わった後は父さんと二人だけのクリスマスを過ごすので、二人が遅くても良いなら一緒に――」
「「参加するわ(します)!」」
妥協案を提示するとすぐに承諾してくれた。
「そ、そうですか。なら店の営業時間終了後に……ん、あれは」
ふと路地裏を通りかかる二人の姿を見た俺は思わず視線を向けた。
修哉が視線を向けた二人とは、
「大丈夫か綾? 良かったら俺が持つぞ」
「ううん、平気だよ。それにこれ以上は賢君に持たせられないよ。ただでさえ賢君の方が荷物が多いんだから」
数日前に小学生カップルとなった六年生の鬼灯賢と宮本綾だった。二人は両手に買い物袋を持っており一緒に歩いている。
「にしても、あの店員少しムカついたな。誰が仲の良い姉弟だ」
「あはは……まあ仕方ないよ。だってアタシ、皆と違ってかなり背が高いから」
先ほど商店街で買い物をしていた際、店員が錬と綾を姉弟と勘違いしていた事を賢が不快な顔をする。その事に綾は苦笑しながら無理もないと思っていた。何しろ賢と綾の身長差は約15cm。言うまでもなく賢が下で綾が上。二人が恋人同士の様に歩いても、周囲からして見れば仲の良い姉弟としか認識出来ないのは無理からぬこと。
「………今はまだ無理だけど、近い内に絶対に追い抜いて俺と綾が恋人同士だって証明してやる」
「な、何もそこまでしなくてもアタシ自身は……」
「綾が良くても俺がダメなんだ。俺が綾の恋人だって証明しないとナンパする奴等が絶えないからな。それに……綾は凄く可愛いし」
「……………(///)あ、ありがとう」
賢の台詞に顔を赤らめる綾に、賢自身も言ってて恥ずかしかったのか少し顔を赤らめながらそっぽを向く。
「そ、その、なんだ……お前もちょっとは警戒しろよ。いざって時に守れないから」
「う、うん……そうするよ。アタシ、賢君の彼女だしね……」
「「…………………」」
二人は無言で歩いているが、甘ったるいラブラブな雰囲気を出している。
「な、なんか急に外が暑くなってきたな。は、早く行くぞ」
「そ、そうだね」
そして賢と綾は早歩きで目的地へ向かうのだった。
「な、何か途中からラブラブオーラ全開だったな……。賢君も随分とまぁ……錬が見たら絶対に嫉妬してる雰囲気だったし」
「あ、あの男の子……あ、あんな恥ずかしい事をよく平然と言えますわね。小学生なのにやりますわね……」
「……………」
賢君と綾ちゃんが二人で歩いているところを思わず尾行した俺達だったが、余りのラブラブな雰囲気にこっちも暑くなりそうだ。羽瀬川は賢君の台詞を聞いてて顔を赤らめており、紫苑さんは……何故か無言だった。
「……紫苑さん」
「え? な、何かしら?」
無言の紫苑さんに声を掛けると、少しドモリながらもこっちを向く。ひょっとしてまだ先日の事を引き摺っているのだろうか。
「言わなくても分かってると思いますけど、あの二人の間に割り込もうなんてしないで下さいよ」
「分かってるわよ。と言うかそんな無粋な真似なんてしないわ」
釘を刺す俺だったが、紫苑さんの意外な返答に俺は少し驚く。
「じゃあ何で無言だったんですか?」
「…………見てて羨ましいと思っただけよ………私も修哉君にあんな事言われてみたいと何度思った事か(ボソボソ)」
「ん? 何か言いましたか?」
「何でもないわよ」
途中からボソボソと呟いていたので聞こえなかったから尋ねようとしたが、紫苑さんは答えてくれなかった。
「それじゃあ私達はAMAGIの営業終了時間になったら修哉君の家に行くから。羽瀬川さんもそれで良いわよね?」
「え、ええ。わたくしもそのつもりですので」
「そう。なら今夜のクリスマスパーティーの為のお買い物に付き合っても良いかしら? 買い物ついでにちょっと話したい事もあるし」
「良いでしょう。と言うかわたくしも佐伯先輩と話しをしようとおもっていましたので」
「えっと……一体何を話すのかを訊いても良いでしょうか?」
物騒な話になるのかと思って俺は確認の為に訊いてみたが、
「安心して修哉君。羽瀬川さんとは今後の事を話すだけだから」
「そうです天城。ですからお気になさらず」
「………………」
妙に息の合った感じで二人は教えてくれなかった。何かこの二人、急に仲良くなった気がするのは俺の気のせいだろうか。
けどまぁ、この様子じゃ二人は絶対に答えてくれなさそうだな。本人達がああ言うなら大丈夫だろう。
「まぁ二人がそう仰るなら……。じゃあ俺はこれで」
そう言って俺は路地裏から出て、すぐに自宅へと戻るのであった。
修哉がいなくなった後、紫苑と愛美はクリスマスパーティーをする為の材料を買いながら話していた。
「羽瀬川さん、言っておくけど私は貴方に譲る気はないから」
「それはこちらの台詞です。わたくしだって佐伯先輩に天城を渡しません」
「そう………ふふふ」
「? 何がおかしいんですか?」
「いやいや。まさか後輩である貴方とライバルになるなんて予想外だな~って思ってね」
「わたくしとしても予想外ですよ。学園の“高嶺の花”と呼ばれている貴方が天城に好意を抱いているなんて……」
「別にそんな風に思ってないわ。高嶺の花なんて周りが勝手に言ってるだけよ。私は普通に修哉君に恋する乙女なんだから。と言うかどうして羽瀬川さんは修哉君の事が好きになったの? 私としてはそっちが気になるわ」
「………佐伯先輩が天城を好きになった理由を教えてくれたら話します」
こうして二人はお互いに修哉が好きになった理由を話しながら買い物を終えるのであった。
クリスマスと言うより、主に恋愛話になってしまいました。
クリスマスイベントがなくてすいません!!




