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80 地底からの召喚 その2

 「ようこそ!地底王国へ!」

 五〇代半ばにみえる頭髪が寂しくなったおじさん科学者・マグナ博士が私たちの前に立っていた。

いつもの地底研究所の指令室の大画面には巨大ロボットと思しきものの映像が映っている。


 望海ちゃんやトラミちゃん、橋本君などの地底に来たことのあるメンバー以外は見慣れない光景にきょときょとしています。


 「叔父様!何をやっておられるんですか?!!!!」

 実は地底王国の姫で、マグナ博士の姪にあたる楓さんが博士に突っかかっていきます。


 「もちろん、画期的な巨大ロボットが完成したのだよ!!あの画面を見たまえ!!」

 マグナ博士が大画面を指さしながらドヤ顔になる。


 「それでもクラスごと召喚する必要はないでしょ!」

 「ふっふっふっふ!そうでもないのだよ。何しろ超絶に画期的な巨大ロボットが完成したのだから!!48体合体高性能巨大ロボがね!!!」

 さらにドヤ顔になるマグナ博士を見ながら、楓さん以外のほとんどのメンバーは目が点になっており!楓さんはコメカミがぴくぴくとひきつりそうになっている。


 「…なるほど…。それで四八人の操縦者が欲しくってクラスごと地底に召喚を掛けたわけですね…。」

 「その通り!!だが、それだけではないぞ!乗務員でスーパーユニット『TGT48』を結成するのだ!!」

 私の言葉に対し、マグナ博士が叫ぶと、効果音と共に背景が光る。うん、セリフに備えてわざわざおもしろすぎる演出をされているのですね…。


 「…ちなみにですけど、『TGB48』というのは…。」

 「地底王国ガールズ部隊…略して『TGB48』だ!!見た目も可愛い女の子たちがロボットの操縦も出来て、歌って踊れるという究極のユニットだ!!」

 またしてもマグナ博士の叫びと共に効果音と共に背景が光ります。


 「マグナ博士。今は休憩時間だからここには二〇人くらいしかいないし、何人かは男性なんだけど…。」

 「ぬかったわーーー!!!」

 私の指摘にマグナ博士が完全に固まってしまう。

 …ええと…、人数や男子が混じっていることは一目でわかりそうなものですが、妄想に夢中になっておられて全然気づいておられなかったのですね…。


 「よし!それではさらなるクラスごと召喚を!!」

 「しなくていいです!!!」

 楓さんが望海ちゃんが手渡したハリセンでマグナ博士をはたきます。

 …望海ちゃん、その用意周到さはさすが過ぎです。


 「だが!この地底王国に対する新たな脅威が!!」

 「一体どこが攻めて来ようとしているのです?!!

 「うむ、『暗黒・地底帝国』や『阿鼻叫喚・地底帝国』あたりが…。」

 「お二人ともちょっと待ってください。その突っこみどころ満載過ぎる国名は?!」

 とんでもない国名が出てきたので、私がついつい口をはさんでしまう。


 「ああ、『暗黒・地底帝国』は何しろ、地下は真っ暗だからね。暗黒にある地底帝国ということで『暗黒・地底帝国』になったのだよ。」

 いやいや、その理論でいくと地下にある国は全て暗黒をつけないといけないよね?!!


 「それから『阿鼻叫喚・地底帝国』はスリリングなテーマパークをメインに国が成り立っているから国名に阿鼻叫喚を付けているのだよ。」

 「それ、紛らわしすぎますよね?!!それから国民がよくそんなとんでもない国名で承知してますよね?!!」

 「うん、彼らの国民性は『なりきり上等!!』なのだそうだ。インパクトのある国名にして観光客を呼ぼうという作戦でもあるそうだ。」

 「待ってください!テーマパークをメインに成り立っているような国がわざわざ地底王国に侵攻しようとしているということですか?」

 「ああ、テーマパークがメインというのはフェイクだ!テーマパークのアトラクション自身が実は巨大ロボットにいつでも変身可能で、隙あらば他の国にその巨大ロボットを使って侵攻しようとしている!!……と私は推測しているんだ!!!」

 私の問いに再び効果音と背景効果と共にマグナ博士が叫ぶ。


 「マグナ博士?私の聞いたことが正しければ、阿鼻叫喚・地底帝国が『侵攻しようとしている』と博士が推測されているだけ…ですよね?」

 「ああ、だが、あの国の技術力からすれば、そのくらいのことならできても全然おかしくないのだ!!」

 「ええと、できておかしくない…ということはアトラクションが巨大ロボットに変身可能かどうかの確認もされていないのですよね?」

 「うむ、だから、我が国が巨大ロボットを阿鼻叫喚・地底帝国へ持っていって、アトラクションが巨大ロボットに変身するかどうか確認する必要があるんだ!」

 「それじゃあ、こっちが侵略したことになりますから!!」

 突っこみどころ満載のマグナ博士の理屈に私が叫ぶ。


 「攻撃は最大の防御なり!攻められる前に攻撃するのが国防の基本ではないのかね?!」

 「基本じゃないですから!!!少なくともこちらに明らかに侵攻してきたり、宣戦布告してきて確実にこちらを攻めてくる兵器や軍だけを潰すのがせいぜいです。」

 「だが、こちらの『究極・地底帝国』や『突撃・地底帝国』や『てなもんや・地底帝国』もすごく怪しい気がするのだが…。」

 この人、単に猜疑心が強いだけじゃないんですか?!!


 「はーい、そんなにご心配なようなら私が攻めてきそうかどうか調べますね♪」

 ニコニコしながらアルさんが私たちの方に歩いてきた。


 「む?!そんなことがわかるのかね?」

 「はーい。割と簡単にわかります。」

 言いながらアルさんが手元から水晶球を取り出す。


 「まず、こちらの『阿鼻叫喚・地底帝国』ですが……テーマパークのアトラクション自体が巨大ロボットに変身するのは本当です。」

 えええええ?!!!!そうだったんだ?!!!

 「ただし、装備武器の内容やプログラミングを解析すると、『専守防衛用』と判断するのが適切ですね。

 さらに、いざとなったら国民みんなを乗せて地上に脱出することもできるようです。

 あと、年に何回かアトラクションを巨大ロボットに変身させて観光客の皆さんを楽しませるイベントがあるようです。」

 アルさんがニコニコしながら説明するとマグナ博士は…あからさまにがっかりしているよ?!!

 このおっさんをどうにかした方が地底世界の平和のためにはいいのではないでしょうか?


 「それから、こっちの『暗黒・地底帝国』なんですけど…。」

 そんな風にマグナ博士が疑っている国をアルさんが調べていったところ、全ての国が地底王国を侵攻する意図も能力もないことがわかりました。


 「そんなわけで、とりあえず地底王国は狙われていないことが分かったので、帰っていいでしょうか?」

 「待って!ちょっと待って!!せめて『TGB48』の設立だけでも!!!」

 「いえ、攻めてくるかどうかも分からない状態ですし。しかも、いざとなったら先日のように地球防衛軍に美夜さんや、ここにおられるアルさんに頼めば簡単に撃退してくれますよ。」

 私の答えにマグナ博士が愕然とする。


「……く、なんとか、美夜女史やアルテア女史を無力化…。」

 マグナ博士…聞こえないようにつぶやいているつもりかもしれませんが、危険すぎるセリフをつぶやかれてますよね…。

 ちなみに楓さんにはしっかり聞かれていて、思い切りハリセンではたかれています。


 「まあ、巨大ロボットは保留にしておいて、『TGB48』は募集してええんやないやろか?!!」

 「確かにそうかもしれません!!」

 いつの間にか光ちゃんが来ていて、橋本君と一緒に盛り上がっているのですが?!


 「そうだわ♪高校の文化祭の行事としてやるのはどうかしら♪」

 アルさんまで嬉しそうに加わっているんですけど…。

 こうなると『TGB48』プロジェクトはそのまま進行しそうな感じです。


 「確かにメンツ的には十分集まりそうですが、クラスの出し物を考えると風流院高校の女生徒だけで48名も集めたらクラスごとの催しに支障が出かねないのですが…。

 アイディアは悪くないのでもう一工夫必要な気がします。」

 望海ちゃんが生徒会書記としてもっともなツッコミを入れる。

 …文化祭に於いては女生徒は男子生徒以上に各クラスで花形的な役割を担うからね…。

 そこから48人も引き抜くのは…そう思いながら召喚されたメンツを見ているうちに、私の目がハイ・エルフのサーヤさんに引き寄せられた。そうか!!!



 文化祭にはサーヤさんの友人、知人で結成された美女エルフユニット『ELF48』が出演することになりました。

 マグナ博士と望海ちゃんがプロデュースに廻ってくれたので、『マグナ博士のロボット開発の暴走』もとりあえず抑制することも出来ました。


 めでたし、めでたし♪


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