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異世界突撃部隊 ゼロゼロワンワン  作者: 拝 印篭
第三章 【下街出張所】 准尉
40/42

40. マグダラン改造計画

不安定な更新で申し訳ありません。

「で? 今日は何で一緒に夕飯食べてる訳?」


 ちっぱい(マロンの方)が、食堂に入ってくるなり、飯ではなく俺に噛みついてきた。


「まったく、ようやくいなくなって済々したと思ってたのに、ちょっと目を離した隙にお姉ちゃんの隣に図々しく座っちゃって」


「マロンちゃん。ノーラさんは、マロンちゃんに会いに来たんやよ」

「! ば、ばばばばばっかじゃないのっ! お姉ちゃんだけじゃなくって、遂にわたしまでっ! このっ! 変態! 変態!」


 酷い言われようである。 


「実は見て貰いたい物があってな。これなんだが」


 そう言いながら額装した例のスケブの絵を見せた。

 ちなみに、額はキシュウ上等兵がタダでくれたものだ。最初、丸めて持ち帰ろうとしたところ、慌てて押し留められ、宿舎に帰宅するまでの間、散々とっちめられた。で、奴の部屋に呼ばれ、余っていた額を貰ってしっかりと額装するよう窘められた。まあ、おかげで見栄えはよくなったし、文句は無いのだが、絵の事になるとエキサイトするのは怖いので止めて欲しいものだ。


「こ、これは、マグダラン、なの?」

「ほえ~ 随分と男前さんやね~」

「……ふむ、随分とスマートでキレがある」

「! こ、これって、タロー=サカモト画伯の絵じゃないですか?」

「って! あの謎のサカモト画伯でありますか?」


「実は、ちょっとあって、知り合いになったんだがな。彼から直接貰った」


「「「「「ええええっ!」」」」」


「まぁ、それはともかくな、この絵を参考にしてマグダランの改造計画を企画したんだが、聞いてくれないか?」


「うーん、先ずは聞かせてもらいましょうか?」


「実はな、以前聞かせて貰ったマグダランの欠点、こいつをカバー出来るんじゃないかと考えてな。だが、今までのマグダランでは、体型的にいま一つ無理があったんだ。この大張デザインっぽいマグダランなら、上手くいきそうだと思うんだが、改装って、そんなに難しい話じゃないんだよな?」


「オオバリってのが何やらいかがわしい感じだけど、確かに、この程度の改修ならイメージさえ確かなら難しくは無いけど……」


 それを言うなら「前ばり」だ。


「うちなら、大丈夫やよ。ノーラさんのイメージがはっきりしているから、狂いなく召喚出来ると思うんよ」

「でも、関節部がやわくならないかしら?」


「そこは、運用の方で充分カバーで切ると思う。日本人のスパロボ愛はありとあらゆるシチュエーションを想定しているから、並の欠点は欠点にならない。例え敵から弱点そのものを攻撃されてもカバーする方法はいくつもある」


「それで? その欠点をカバーする方法って?」


「知っての通り、マグダランはメロンの指示を聞いて動き出す。ある程度は自立して行動することも出来るが、その作戦行動は基本メロンの知識の範囲を超えない。それは武器使用だけでなく、格闘戦においてもだ」


「うん。うちの知ってる格闘技術はここ四ヶ月程の間に教わった基本動作位や。もしも、マグダランに対処できるような敵が出て来た場合ははっきり言って危ないって。お師匠様からも言われてるんよ。具体的にはドラゴンとか」


「そこで、格闘戦についてはどっかから知識を借りてくればいい」


「って、ちょっと待ってよ! だから、格闘技術なんて隣から醤油借りてくるように出来るものじゃないでしょうに!」


「つまり、制作・整備担当マロン、運用指揮担当メロン、それに加えて操縦担当を置けばいい」


「操縦って、誰が?」


「俺がやる。ただ、今のままじゃ体型が違い過ぎて動けないので、改修が必要ということだ」


「体型? つまり、この絵みたいに細身の姿になれば動かせるっての? 操縦席は?」


「必要ない。こないだスキルをいじってたら、出来ちゃったんだよ。多分、この方法で俺が直接マグダランと合身(がっしん)すれば俺の一挙手がマグダランの動きそのものとなる」


「そんな、都合のいい操縦法があるの? 再現しようとしたら凄い技術がいるんだけど」


「これは、アスト〇ガンガーやダイアポ〇ンなんかの操縦法と同じで、搭乗者のリスクは大きいが一番機動性を確保できるいい方法なんだ。これを実現できるようなら、戦闘力は数倍、しかも、火力を使用できない場面でも運用できるようになる。マグダランの火器は強力過ぎて例えば市街では使いたくないからな」


「う~ん。いい事ばかりみたいやけど、ノーラさんに危険はないんかな?」


「それは、問題にならないだろ? 軍人なんてやってればどこにいたって危険には違いないんだから」


「わかったわ。そこまで言うなら改修計画を立てて出来るようにしてみる。パレードに間に合えばマグダランのカッコいい姿をお披露目出来るしね」


「操縦自体は間に合わないかもだけど、頼む。今作戦は、今後『ダイアポロン計画』と呼称する。これが成れば戦闘力は莫大なものとなるだろう。国王陛下には既に許可を取ってあるから」


「! そこまで根回ししてたの!? 判った。ノーラ准尉の作戦を実行します。しっかし、昇進したとたん随分とアグレッシブに動いてるのね」


「ここで、実績を積まないと帰ってこれないからな。ここに」


「ノーラさん(ぽやん♡)きっと、お待ちしてますんやよ♡」


「……ふむ、男前だな」

「男前でありますな」

「男前ですねー。さあ、難しい話はここまでで、食事しましょう。新作のスープなんですけど、何が材料かわかりますか?」


 そう言われて出て来たのは、薄茶色の泡であった。


「「「「「?」」」」」


 見た感じは磐田の方の「たまごぷるぷる」みたいだが、泡が白くない。一口スプーンで掬って口に運ぶ。


 ! すっごい濃い出汁だが、鰹や昆布じゃない。いや、これ、味わったことあるぞ! 中には何も入っていないが、もしかすると……


「もしかして、なめこか?」


「! 慧眼恐れ入りました。なめこのぬめりだけを集めて、煮出した汁を泡立てて作りました。味付けには塩以外他に何も使わずシンプルな構成にしてあります」


「成程、塩梅って奴ね」

「おいひいよ~」

「……初めての味」

「おかわりが欲しいでありますっ!」


「どうやらお気に召したようですね。陛下にも今度出してみましょう。正体は内緒ですよ?」


 こうして、最後まで食事を堪能した。おやっさん(大将閣下)の店も旨いが、あそこは彩が無さすぎるからなぁ。


 陛下のお使いという名目の0011小隊訪問によって、久しぶりのおにゃのこ分を補給できたのは僥倖だった。くんかくんか。


 その後、話題は例のテロに移り色々と聞かれたのだが、俺達がサカモト家に行った後だったことと、場所が、解散後の帰路途中という微妙な位置だったことで、担当も普通に警ら隊の仕事であったため、俺も知らない事だらけなのだ。むしろ、ここで初めて知った事情もあった位だ。


「使えないわね」


 マロンに罵倒されたが、返す言葉もない。


 ともあれ、ここで復帰の為の布石を打ったことで、説得も出来やすいかなと思っている。

 と、思っていた時期もありました。

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