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異世界突撃部隊 ゼロゼロワンワン  作者: 拝 印篭
第二章【ブエナビスタ】二等兵
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26. 辞令!

 侯爵閣下は色々と言いたい事を言いきると、それ以上はどうという事も言わず寝てしまった。


 結局、散々俺を焚き付けるような事を言ったくせに、自分自身の心の内についてはついぞ最後まで何も語らなかった。そういう所が非常にバランスの取れた大人という事なのだろうか? 元々の年齢はいくつも変わらない筈なのに、俺自身の幼稚さを思い知らされたようで、なんか癪である。


 俺は、というと考え込んでしまっている。


 転生するまでの人生のこと。


 転生してたった一人で生きていた時のこと。


 メロンと突然出会ったこと。


 メロンと二人で森の中を彷徨ったこと。


 ガオジー達と出会ったこと。


 ガオジー達を殺したこと。


 暴発したこと……は、無かったことにして。


 メロンの仲間達と出会ったこと。


 遂に人里に出られたこと。


 ブエナビスタの景色に感動したこと。


 苗字が名前になっちゃったこと。


 まさか、滝の内側に基地があって驚いたこと。


 無縁と思ってたチートスキルを手に入れたこと。


 王様だの貴族だのと唐突に飯食ったこと。


 そして、隣に寝てる人懐っこいパパのこと。


 何よりも、俺を救ってくれた初めての異世界人に、結構本気で惚れている自分に気がつかされたこと。

 

 いろいろと考えさせられて、眠れなくなってしまった。悔しいので、マジックで侯爵の顔に「ぶち」を一発書き足してやった。


 いい加減、寝よう。せめて、明日が今日よりも少しでもいい日になりますように。


 Zzz。



 

◇◆◇◆



 <王国歴936年5月16日>


 明けて翌日は、特段記すことの無い平穏な一日であった。


 あったことと言えば、ワントナック侯爵が領地へと帰還したこと。まぁ、娘二人とハグして別れを惜しんだ後、何故か俺にまでハグをしてきて、周囲の人達にドン引かれたなんてことがあった位か。

(おかげで、その筋の人からの受けは良く、新入りいじめの対象からは外されそうだが、全く喜べねー)


 もう一つは、ランカー上等兵と再面談して、端数のコストで有益なスキルを幾つか取得出来たという事位かな? その際、昨日約束していた地味スキルから成り上がったチーレムものの話を2つ程教えてきた。


「ふむ。鑑定を利用して色々な薬物を作る話というのは興味深いな。この国でも、医師は医師。鑑定士は鑑定士と完全に分かれて育成される為、この2つの職業が互いに補完し合えるというのは全く考えられた事も無かった。もしかすると、君は今、この国の医学に革命を起こしたのかも知れないぞ!」


 と、大絶賛である。


「それに、もう一つの盾職で最強になるという話も非常に興味深い。若い者は何かと言うと真っ先に攻撃力の高い火魔法などの攻撃魔法を希望してくるが、人生は長丁場なのだ。その瞬間はそれで助かるかも知れないが、強すぎる火魔法など社会では何の役にも立たない。この主人公は、社会に出てもつぶしの効くスキルを展開していった事からも、非常に知的で好感が持てるな。賢人というのは、居る所には居るものだねぇ」


 なんか、こしょばいが、どちらも「なろう」由来の話である。VIVA「なろう」! さあ、みんなで

「なろう」を読もう! いや、この世界の人には無理なんだが。


 それはともかく、以下、新たに取得したスキルを記載しておく。


『頑強LV3』

 パッシブスキル。体を頑丈にしてくれる。LV3でバンプ(受け身)を追加取得。


『ハイジャンプ』

 アクティブスキル。任意の状況で最大15Mのハイジャンプが出来る。


『空中回転』

 アクティブスキル。任意の状況で空中で回転でき、三半規管を整えることが出来る。


『投擲LV3』

 アクティブスキル。任意の物体を自在に投擲できる。LV3で30Kg未満の物体を20M先まで確実に投擲できる。


『調理LV1』

 アクティブスキル。調理を行う時、うまく行きやすい。


 と、まぁ、こんなものだろうか。

 2.3の隠し玉もあるが、まあ、全てのスキルを公開するバカも居ないので。


「ふむ、つくづく君の考え方は面白いな。仲間の手伝いをする為だけにスキルを一つ付けてしまうとは」


 いや、そんないいもんじゃないけどな。てれてれ。


 などと絶賛のうちにこの日の面談は終了した。



 後は、購買所でうさ大将の魔石を売った。12個で1440ディナムとの事だった。たばこが欲しいかなとも思ったが、一箱6ディナムだが、辞令を受けた後、制服などと共に支給されるというので止めておく。


 ちなみに、金の単位であるが、1ディナムが約100円程度であろうか?


銅貨(小)   1ディナム

銅貨(大)  10ディナム

白銅貨(中) 50ディナム

白銅貨(大)100ディナム


 これより大きな金になると単位が変わる。と、いうか、普通に流通している金とは別の金となる。


銀貨(中)    1ダイナー=1000ディナム

銀貨(大)    5ダイナス

金貨(小)   10ダイナス

金貨(中)  100ダイナス

金貨(大) 1000ダイナス


 となる。ダイナスともなると、ほぼ王族、貴族や豪商専用で、一般人が持ってるだけでも職質の対象になるとか。だから、俺も、うさ大将の対価は白銅貨で受け取っている。


 と、こんな1日であった。





 <王国歴936年5月17日>


 明けて、更に翌日。


 朝、8時に辞令が出た。

 

「0011分隊の所属する第021中隊隊長のドギー=クー大尉である。本日、08:00より貴様は我が指揮下に入り軍人としての生活をスタートさせる事となった。ついては、今後の所属に関する辞令が発行された。貴様は速やかに辞令に従い、軍務を全うせよ!」


「サー! 拝命いたします」


 短い宣言の後、大尉の隣に直立していた下士官から辞令を受け取った。

 これで、正式に俺も0011小隊の一員という事になる。



 と、思っていた時期が俺にもありました。


------


 <辞令>


 ノーラ 二等兵 (丙種市民権申請中)


 貴殿を以下の通り新たに配属を命じる。

「第0021中隊所属 第02119分隊 新兵育成キャンプ」


 尚、二カ月間の訓練後、同分隊に所属して新たな勤務地へと出向。

 出向先は、ブエナビスタ王都防衛隊デモ警護班。


------




 へ?


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