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注文の多い救難信号
一は一瞬、他に誰かいるのかとも思ったが、"そこの兄さん"に該当するのは一自身しかいない。
仕方なく、男の方を見た。
「はい?」
「や、悪いんだけどね。ちょいと手伝ってもらえんか」
褐色の肌に白髪だが、見たところ若い男だ。
喋り方も相まってか、変わった男というのが、一の感想だった。
「手伝うって、何を……ですか?」
「いや、実は恥ずかしい話なんだがね。
仲間とはぐれてしまってね。
ほら、自分は見ての通りサポート役のアーチャーで単独で動くのは危険だろう?
それで、一人で動けてる兄さんに助けて欲しいのさ」
「……」
わからない話ではなかった。
でも、なんとなく胡散臭い感じもした。
「……じゃあ、外まで連れて行けばいいですか?」
「いや、それじゃ、自分を探してるであろう他の仲間が困るよ〜。
仲間を探すのを手伝ってほしいんだ」
それもわからない話ではないが、それを今初めて会った人間に要求するのは図々しいと一は感じた。




