表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボツ作  作者: Eクラス
第1章 新学期
13/13

1-10 悩み多き魔法学園の青春

 1年寮。E-101号室。

 夜。雨衣は自室のデスクに向かって頭を悩ませていた。


 今日もいろんなことがあり過ぎた。


 地下水道でのこと。

 あのクリスタルの彫像は何だったのか。

 あのピアノの音は何だったのだろうか。

 エルはあれを異世界の国の癌と言ってたが、クエスト終了後もギルド管理室長の早乙女からの詳しい説明は無し。

 それで納得できず花山院と2人で問い詰めようとしたら、熱いまなざしで暑苦しい唇を押し付けようとしてきたので即撤退した。食べられるかと思った。

 結局、話ははぐらかされたのだ。

 自分達には言えない何かがある。

 何かが起きている。

 口止めもされた。

 人をクリスタルの結晶体に変え、その魔力吸いあげて魔法陣を構築していく魔法。

 自然発生したものでなく、誰かが悪意を持って起こした。


 幻想世界イルステリア。


 ロマン溢れるただのファンタジー世界だけじゃないということ。

 あの街は何者かに狙われている……いや、エルの発言から察するに国全体で何かが起きようとしている。そんな気がする。


 そして、その情報を知っているのがエルだ。

 学園理事長の娘だからいち早く情報を入手できるのだろう。

 異世界のことも。クリスタルの彫像のことも。その彫像にされたオッサンのことも知っていそうな素振りだった。


 凄く、今、雨衣はモヤモヤしている。


 雨衣はエルのことを全然知らない。

 12月24日に共に死線を潜り抜けた相棒というだけで、それ以上はほとんど知らない。

 やっと知りえた情報は、エルが捨て子だったということ。あと、血縁関係はないが義理の姉妹がAクラスにいるということ。

 もうそれだけで不機嫌になって気まずい雰囲気になったりもする。


 それでも、もっとエルのことを知りたいと純粋に思う。

 一歩間違えればストーカー行為に発展しかねないが……

 それでも、エルの力になりたいという気持ちだけは本物である。


 この気持ちを雨衣はまだ知らない。

 雨衣はまだエルのことをほんのちょっとしか知らない。


「雨衣くん、今日のクエスト大変だったって聞いていたのに勉強熱心だね」


 ルームメイトである守宮八景が部屋に戻ってきて声をかけてきた。 


「……これを明日までに100個覚えないといけないんだ」


「うん、良い心掛けだね。ちなみに何を勉強しているんだい?」


 雨衣は薄っぺらい魔導書の表紙を見せた。

 タイトルには『サルでもわかる魔法陣の書き方1000選』と書かれていた。

 先ほど、エルが押し付けてきたヤツだ。


「……明日の朝、エルからテスト出されるんだ。100個覚えないとヤバい」


「あ、なるほど……」


 これで全て悟ってくれた。


「まぁ、わからないところがあったら言ってよ。俺がわかる限りは教えるから」


「……ありがとう、守宮くん」


 やっぱり守宮八景は良いヒトだった。


 雨衣は、そんな良きルームメイトの守宮に訊ねてみたいことがあった。

 今日のことは伏せて、クリスタルを触媒にした魔法陣について思う所があった。アレなら、そういう魔法石を使えば、雨衣でも魔法陣を描いて普通の魔法が使えるのでは……と思った。

 それを訪ねようかと検討した時だった。


 コンコンと、ドアをノックする音が鳴った。


「……誰かな?」


「織田くん、じゃなさそうだね。いつもの彼なら大声で扉叩いて呼んでただろうし……本当に誰だろ?」


「……嫌な予感は―――――しない」


「ははっ、雨衣くんのその嗅覚、助かるよ。俺が見てくるね」


「……うん」


 この1年寮、AクラスからEクラスまで男女全員が住んでいて、各クラスそれぞれの棟が用意されている。E棟にはEクラスが詰め込まれていて、男子と女子とで階層が違うわけだが、このEクラス男子階で静かなノックする魔法生がいることに驚きを隠せない2人。

 それで守宮が予想したのは女子じゃないかということだった。

 別に男子階に女子がやってきても問題はない。就寝時間以外は。


 なので、これは雨衣宛てだろうと推測した。

 守宮には心当たりなかったわけで、さてこれはまた何か愉快なことが起こりそうな予感がした。


「どちら様ですかー……っと、おや? キミは」


「こ、こんばんわ~ですの。あの、雨衣さん、いらっしゃいます??」


 花山院雲母。

 崖っぷち貴族のお嬢様。

 就寝前だというのに金髪ツインテ―ルドリルは健在だ。

 魔導書を数冊ほど抱えている。


「うん。ちょっと待ってて、呼んでくるね……あ、それとも中入る?」


「い、いえ、ここでよろしいですの。用事も大したことありませんのでお気遣いはご無用ですわ」


 なんて、乙女な反応を見せる。

 彼女が誰かのために行動するのは意外だった。

 そういう人間性が彼女には欠けていた。

 そういう家柄だったはずだ。

 しかし、最近の彼女を見る限り……あの2人と出会って何か突き動かされることがあったのかもしれない。

 一般人と超サラブレッド級のお嬢様が行動を共にするなど魔法社会では異端極めることだから。

 そう思うとやはり興味が尽きないと思う守宮であった。


 そして、守宮は雨衣を呼びに部屋へ戻った。

 呼ばれた雨衣は魔導書を閉じていそいそと玄関へ向かう。

 花山院は少し扉から離れて廊下まで出てくるよう雨衣を手招きした。


「こんばんわ、雨衣さん。テスト勉強の進捗はいかがですか?」


「……う~ん、ボチボチって感じかな」


「そうなのですね。わたくしも何か雨衣さんのお役に立ちたいと思いまして、わたくしが過去に使っていた魔導書を何冊かご用意させていただきましたわ」


「……あ、ありがとう」


 手渡されたソレらはずっしりとあまりにも重たかった。

 非力な雨衣はよろけてしまいバランスを崩しそうになり、慌てて花山院に支えてもらう醜態を晒して、そこにショックを覚えることも無きにしも非ず。


 地下水道の時は意識しなかったが、いい香りがして少しドキッとした。

 雨衣も男の子だ。密着されると弱い。


「わたくしの配慮が欠けていましたわ。これでいかがでしょうか?」


 そう言って、花山院は風魔法で魔導書の重量を軽くさせた。

 これで雨衣も普通に持つことができる。

 便利過ぎる風魔法。

 しかし、これだと花山院は自力でこれらの魔導書を抱えていたということになり、結局雨衣は非力だという事実が確定してしまい、またショックを受けたりもする。

 魔法使いの女子は皆怪力なのだろうか…などと失礼な感想を抱きながら、相棒の姿も思い浮かべたりもした。


「くす、本当に不思議なヒトですわね、雨衣さんって」


「……えっと」


「いえ、こちらの話ですよ。なんでもありませんの。とにかく、その魔導書もご活用していただけるとわたくしとしても大変鼻が高いですわ。明日は頑張ってくださいまし」


「……うん、頑張ってみるよ。本当にありがとう」


「ど、どういたしましてですわ……///」


 雨衣の中で花山院雲母の評価がカンストしそうになる。

 それは花山院さんが照れていたのにも起因していた。

 ツインロールの髪を指でいじっていたりする。

 それは今まで誰かにお礼を言われることがなく、それが新鮮でむずかゆい想い。


 傍から見ればそんな奴らの心情など知ることもなく、なんか付き合いたてのカップルが初々しくリア充満喫しているかのようにも見えなくもなかった。

 そう、とあるEクラス男子にはそう見えた。


(あ、雨衣、お前をただの一般人だと甘く見くびっていた俺の負けだぜ………)


 1年Eクラス・織田延永おだのぶなが

 彼は妄想癖が若干強い人物でもある。


(ギャルゲー主人公恐るべし……あとで皆に言いふらしておこう)


 夜になるといつも別の部屋へ突撃してはっちゃける織田は、今宵もどこかの男子部屋へお邪魔して今日起きた事件を面白おかしくリア充爆散しろと叫ぶのでした。


 もちろん、今晩中にこの噂はEクラス内で広まる。

 それは女子たちの所にも例外なく……



 ◇



 翌日、朝のHR。

 雨衣の100問テスト?

 それは今からだ。少しテスト方式をエルは変更すると言っていた。


「はーい、本日もHRを始めますよー」


 と、Eクラスの担任教師である妹尾菜穂せのおなほ先生が教壇に立った。

 今日も相変わらず小さくて、しかし、男子たちの夢が詰まった膨らみは先生の見かけよりも沢山詰まっていて、それでいて背伸びして年上ぶっている感じがまたグッドな栗毛色の可愛いヒト。

 男子女子どちらからにも人気がある。

 雨衣も入学当初から好印象で、正直に言うとタイプだ。自分よりも身長が低い年上の女性に萌える。とにかく、天使のような笑顔が破壊力抜群だ。


 そんな妹尾先生が爆弾発言をする。


「皆さん、今日のHRですが今から10分間の抜き打ち100問テストを行いたいと思いまーす。」


「「「「「「えーーーー!???」」」」」」


 それは突然だった。

 抜き打ちなのだから突然なのは当たり前なのだが、テスト嫌いなのはどこの星の下に生まれても青春真っ盛りな生徒のウケはよろしくなかった。

 テスト内容は、『魔法陣を100種以上書け』という命題だった。

 それって雨衣が個人でエルから出題されたテスト内容なのだが……


 エルの方を見るとつまらなそうにして冷めた目でこちらを見返してきた。

 そして、紙切れを1つ放り投げてきた。何か、書かれている。

 内容は以下の通りである。


『昨日、こんな噂がワタシの耳に届きました。昨晩、雨衣蒔苗は花山院雲母と逢瀬をしていた。誰かがふざけた噂を広めやがりました。別にオマエが誰とどこでナニをしていても構いませんが、何故か気分が胸くそ悪いので、嫌がらせにEクラスの皆さんにも是非100問テストをしてもらうようにと、早朝に先生に頼み込んだ所見事にOKもらいました。ザマァ』


 ………長文。

 性格に難あり。

 しかし、生徒のこんな無茶な要望に応える先生も先生か。


「皆さんならできます! やる前からできないと思わず、やってみることが大切なんです! Eクラスだからと言って諦めないでください! もし、100種類書けなくても落ち込むことはありません! そこから学べることは沢山あるはずです! 先生は皆さんの可能性を信じています!」


 天使のような激励に皆がやる気を出した。


「あ、ちなみに100問正解できなかった生徒は、心苦しいですがペナルティーとして今日の放課後に『地下水道のゴミ処理』のクエストに参加してもらいます。無償で! 今回は私も参加しますので、まずは今は目の前のテストに全力で取り組んでください」


「「「「「「うおぉおおおおおおよっしゃぁああああ!!」」」」」」


 妹尾先生のその一言で奴らのボルテージは最高潮になった。

 それは雑用クエストも罰ではなく、ただのご褒美なので……

 クラスの大半が99問で解答をワザと止め、放課後のボランティア活動に参加することになったのは言うまでもなかった。


「あと、それから雨衣くん」


「……え、はい」


 何故か先生に名指しされた雨衣。


「雨衣くんだけは匿名希望者さんの要望で200問にチャレンジしてみましょう。限界を今超えるのです!」


「……え?」


 何故自分だけ……?

 しかし、先生が自分を応援してくれている。期待してくれている。

 なら、雨衣は頑張るしかなかった。

 エルの嫌がらせも屁でもなかったようだ。

 この日ばかりはエルも雨衣に正直引いた。

 雨衣は自分の限界を超え218種類も解答した。念のため、花山院から借りた魔導書の魔法陣も覚えるように心がけた成果が出たのである。


「雨衣……流石はワタシの相棒なことだけはありますね」


 そして、雨衣も自ら志願して先生たちと一緒に雑用クエストに参加したという。

これにて一章前編が終了。

雨衣たちの学園生活はまだまだ始まったばかりである。


後編に向けて、感想や評価など受け付けております。

文章が下手。描写が下手。世界観など設定がよくわからない。キャラの心情がイマイチ。魅力あるキャラがいない。あとプロローグを読んでみて続きを読みたいとは思えないなど……

もちろん、マイナス面だけじゃなく面白い所がございましたら是非教えていただけると嬉しいです。

どうしたらもっと面白くなるか・・・こうしたらもっと面白いのに・・・など意見もあると助かります。

今後のために参考になるような評価をしていただけると、

次の筆記の励みにも繋がります。


おこがましいお願いかもしれませんが、是非ご協力よろしくお願いします~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ