大人の下着……?
とある日の昼下がり、ミラとその級友ユキノは教室で会話を弾ませていた。
そんな中、ユキノがある話題を切り出した。
「ミラちゃん、最近ちょっと背が伸びた?」
「本当!?わかる!?」
「もちろん」
ユキノの言葉で何かを思い立ったミラはユキノの耳元に口を近づけた。
「じ、実はね、最近ちょっと服が窮屈になっちゃって……」
それを聞いた瞬間、ユキノの目の色が変わった。
食い気味にミラの両肩に手を置き、顔と顔を近づける。
「一緒に新しい服を買いに行こう!今度の休みに!ぜひ!」
「う、うん……」
豹変したかのように積極的に迫るユキノに対してミラは押され気味になりつつも返事をした。
普段は内気なユキノだが、ミラのことになると途端に性格が変わって積極的になる。
そして数日後、二人はギルドにある服屋を訪れた。
「自分で服を買うのって久しぶりかも」
「そうなの!?」
ミラのさりげない一言にユキノは大いに驚いた。
「いつもお姉ちゃんが買ってくるから自分で選ぶことがなくって……」
「そうなんだ……」
ミラの着る服は普段はクラリスが見繕って買ってくる。
この頃はずっとそれが続いていた。
「服は自分で選んだ方がいいよ。ちゃんと試着とかしないと窮屈だったりするから」
ユキノはミラにアドバイスを送った。
ミラはそれをぼんやりとした様子で聞き入れる。
「うん。今回からそうする」
「じゃあ早速見てみよっか」
ユキノはミラの手を引いて服屋の中へと進んでいった。
「まずから見ればいいのかな」
「下着」
ミラの疑問に対してユキノは一切の迷いなく即答した。
「えっ」
「下着を……下着を選ぼう……」
ユキノは鼻息荒く言葉を続けた。
いつもと全く違うその様子に困惑しつつもミラは言葉通りに新しい下着から選ぶことにした。
「どんなのがいいかなぁ……」
並べられたそれを見比べ、時には手に取りながらミラは考え込んでいた。
彼女は買い物に時間がかかるタイプなのだ。
「これとかどう?」
流れるようにユキノが手に取ったのは黒のショーツ。
布面積が小さく、しかも側面はほぼ紐同然だ。
「こ……これ付けるの……?」
ユキノから提示されたそれを見たミラは顔を赤らめた。
これまでこんなに過激な下着をつけたことはなかった。
「大丈夫!ミラちゃんなら似合うから!」
ユキノは興奮さめやらぬ様子で鼻息荒くミラに迫った。
興奮するあまり目の焦点が合っていない。
「そ、そこまで言うならちょっとだけ……」
勢いに押されてミラは試着室へと向かった。
彼女は押しに弱いのだ。
「どう?」
「お、お尻がスースーする……」
試着室の向こうのミラからの感想を得たユキノは鼻息を荒くするだけでは収まらず、過呼吸を起こしかけていた。
「ハァ……今、試着室の向こうではミラちゃんがあの下着を……ハァ……ハァ……」
もはやその様子はただの変質者そのものであった。
「ダメ!やっぱり恥ずかしい!」
鏡を見た結果羞恥心が限界に達したのか、ミラは顔を真っ赤にして勢いよく試着室から飛び出してきた。
前が見えていないのか飛び出した勢いそのままに待機していたユキノと衝突し、彼女を押し倒す形で床へと倒れこむ。
「ミ、ミミミミラちゃん!?」
「あっ!?そ、そのえっと!!ごめんね!!」
二人はそれぞれ別の理由で動揺していた。
目の焦点が合わず、会話が成立しない。
「大丈夫!?鼻血が出てるよ!?」
「大丈夫!アハ!アハハハハハ!!」
気分の高揚が有頂天に達したユキノは鼻血を溢れさせていた。
とめどなく出続けるそれは鼻の下と服の一部を赤く染め上げる。
数分後、落ち着きを取り戻した二人は真面目に服選びを再開した。
さっきのあの下着はミラ本人の要望により却下された。
「大人の人ってあんなパンツを履いてるのかな?」
「たぶん……」
成長期の少女二人は想像に花を咲かせる。
「じゃあお姉ちゃんも……」
「もしかしたらもしかするかもね」
「大人ってすごいなぁ」
少女たちの想像は止まらない。
そしてそれは、ミラの好奇心に火をつけた。




