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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第14章 二人娘の成長
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プロローグ:成長期の二人娘

 クーデター事件が終息してしばらくが経過した。

 メルクーア魔法学院は校舎の再建と教師陣の再編を終え、高等部から順次授業を再開し始めていた。

 やはりこの世界の建築技術には目を見張るものがある。


 もうすぐ春の七十七日、すなわちミラの誕生日がやってくる。

 魔法使いにとって十歳の誕生日というのは特別な意味合いがあるらしく、そこを境に一人前の魔法使いとして認められるようだ。


 そして、そんなミラとは別の意味でどんどん成長しているのが……



 「ダメよアリス!それは食べ物じゃないから!」

 「いあああああ!!」


 アリスだ。

 最近の彼女の成長は目覚ましく、つい最近つかまり立ちを覚えたと思えばもう壁や手すりを支えに歩くことができるようになった。

 まだ生後九ヶ月ぐらいだっていうのにもうここまでできるんだから驚きだ。


 そして今は空きの小瓶を口に入れようとしてオズと攻防を繰り広げている。

 この頃は自我がある程度強くなっているようで反抗もしてくるようになったのだ。


 「物の置き場所を考えないとな」

 「そうねぇ」


 アリスの成長と同時に俺たちもいろいろと考えながら動く必要がある。

 もう彼女はある程度の場所なら自力で移動できるようになった。

 そしてこれぐらいの歳頃の子供というのはなんでも口に入れたがる、つまり口に入りそうな小物は全部アリスの手の届きそうな場所から遠ざける必要があるのだ。


 そうと決まれば早速行動だ。

 俺たちは家中をくまなく見て回り、アリスが口にしそうな小物をひとしきり高いところへ移動させた。

 台所の食材、風呂場の石鹸、空き瓶や筆記用具、探せばきりがないぐらいに出てくる。


 リビング、台所、風呂場、オズの部屋、あと俺の寝室。

 アリスが入り込みそうなところはこれで一通り見ただろうか。

 他にがあるとすれば……


 「あとはミラの部屋だけか」

 「そこはあの子に任せましょう。触っていいものとかアタシたちにはわからないし」


 そう、ミラの部屋だ。

 朝起こす時に部屋に入るから何があるのかとかは大方理解しているが俺が触れていいものは何一つとしてないだろう。

 部屋の主であるミラ本人は図書館に行っている。

 帰ってきたら事情を説明しよう。


 アリスが昼寝をしている間、俺たちも体力回復のために少しばかり眠ることにした。 

 俺はソファの上で、オズはアリスをすぐに見られるように自分の部屋で。


 俺はソファの上で横になりながらいろいろと考えごとをしていた。

 アリスの成長を見ていて思ったんだがミラもそろそろ二次性徴が始まる年頃なのではなかろうか。

 確か男の子よりも女の子の方が少し早く始まるって聞いたことがある。


 そうなるとそろそろ一緒に風呂に入るのをやめないとダメだよなぁ。

 トラウマ持ちで一人で風呂に入れないのを加味してもいつまでも男の俺が一緒に入るのは流石にまずい。

 いつ頃から離れさせようか。

 いきなり露骨に突き放すのは不自然だし、ミラが可哀そうだ。

 こういうのって自然に離れていったりするのかな。

 オズに聞いてみるか。

  

 「え?いつまで親と風呂に入ってたかって?」

 「ああ、ちょっと気になってな」


 その日の夜、俺は早速オズに尋ねた。


 「えーっと、確か十一の頃ぐらいまでは一緒に入ってた覚えがあるけど」


 なるほど。

 こっちの世界の人間もそれぐらいの歳頃までは一緒に入るんだな。


 「それがどうかしたの?」

 「あー、そろそろミラが成長期に入るだろ?だからそろそろ俺が離れるタイミングを考えないとなーって」

 

 俺はざっくりとオズに説明した。

 もしかするともうすでに成長期に入っているかもしれないがそんな細かいことはいい。

 

 「なるほどね。ミラも女の子だし、そういうことを気にしだすかもしれないから?」

 「そういうことだ」

 

 アリスもそうなんだがミラもこれから大人びていくような段階だ。

 ちょっと寂しいけど、いつまでも同じように接することはできない。

 

 十歳くらいになると多感になってくるものだが親も同じぐらい多感になるんだな。

 こうして、成長期の娘二人に振り回される俺の生活が幕を開けた。

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