表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第8章 ミラとエルフの森
PR
106/521

エルフ族の謎

 「うーん……」

 

 オズが水晶の森に留まって活動を開始した翌日の夜、ミラは何か考え事をしているようだった。

 いったい何を考えているのだろう。


 「どうした?何か悩み事か?」

 「どうしてエルフ族の人は森から出られないのかな?」


 言われてみれば確かに。

 エルフ族の人はなぜ森から出られないのだろう。

 この前の男の人は運びこまれてきたときはひどく衰弱していたが森に戻るとすぐに回復した。

 その理由はわからないが森にしかない何かが関わっているのだろうか。


 もしかすると、俺たちが気づいていないだけでギルドには他にもエルフ族がいるのかもしれない。

 今度から道行く人の耳の形に注目してみよう。


 「あの森に何かあるのかな?」

 「さぁ?」


 あの森にしかないものって何だろう。

 パッと思いつくのは水晶だが……


 「あの水晶に何かあるのかもしれないな」

 「やっぱりトモユキもそう思う?」


 ミラも同じことを考えていたようだ。

 

 「じゃあ、今度森に行ったら聞いてみるか」

 「そうだね。なにかすごい秘密があったりして」


 なにかしらは間違いなくあるだろうな。

 


 「水晶の森か?ウチは行ったことあるぞ」


 なんとアルは水晶の森を訪れたことがあるという。

 意外な場所にもエルフ族を知っている奴がいたもんだ。


 「ちなみに何をしに?」

 「あそこで採れるモノは何もかもが高値がつくからな。売りさばくためにちょっくら戴きに……」


 そういえばコイツは元泥棒だった。

 わざわざ秘境に赴くならそんな理由ぐらいしかないわな。

 

 「なんだよ、そんな目で見るなよなー」

  

 過去の悪行にはもう触れないものとして、エルフ族については何か知っているだろうか。


 「エルフ族かー。ウチを追っかけてきた奴らがそんな感じの奴だった気がするな」

 

 マジかー、すげえなこの盗人。

 エルフ族の身体能力は知らないけれども逃げ切れるのは流石のフットワークだ。

 

 「そのエルフ族について気になることがあるんだけどさ、どうして彼らは森の外から出られないと思う?」

 「そういえば、奴らは森の外までは追いかけてこなかったな。なんでだろう?」

 

 アルもその点は疑問に思っているようだ。

 森から出てきたところでアルを捕まえられるとは思えないけれども。


 「こんなところで何の話をしてんだ?」

 「おっ、狼!」


 偶然にもグレイさんが合流してきた。

 あれ以来、すっかりアルの保護者として時々その親バカぶりを見せつけてくれる。

 

 「ほう、水晶の森か。俺もたまに訪れてるぞ」


 『訪れてる』ってことは現在進行形だな。

 そこそこの頻度で来ているようだ。


 「グレイさんは何のために?」

 「俺は害獣駆除の依頼でな。そこの元盗人とは違う」


 ああ、ハンターの仕事か。

 あれ?もしかして冬になるとギルドを離れるのって……


 「冬にギルドからいなくなるのってまさか」

 「そういうことだ」


 やっぱりかー。

 こうしてグレイさんは冬場は水晶の森でハンターの仕事に精を出していることが判明した。


 「なんでお前が水晶の森のことを知ってるんだ?」

 「それがですね……」


 俺はグレイさんに先日の出来事を語った。

 

 「ほう、オズ家の女がエルフ族と交流を持ってたなんてな」

 「厳密にはオズ自身じゃなくてその前の代の人が持ってたみたいっスけど……俺も初めて知りましたよ」

 「お前もその嫁も、似た者同士だな」

 「似た者同士?俺とオズが?」


 それはどういう意味だろうか。


 「おう。お前とオズ家の女、どっちも『超』が付くほどのお人好しだからな」

 「はははは……」


 お人好しねぇ。

 言われてみれば確かにそうかも。


 「グレイさんはエルフ族について何か知ってることはないですか?」

 「そうだなぁ……背丈が人間のガキぐらいしかなくて耳が尖ってる」

 

 身体的な特徴は俺も知っている。

 知りたいのはそれ以外の情報だ。


 「どうしてエルフ族は森の外へ出られないんでしょうかね」

 「それなら前に聞いたことがあるぞ」


 マジっスか!?


 「あの水晶が重要らしい。水晶があの森にしかないから他の森に移り住むこともできないんだとさ」

 

 なるほど、あの水晶が重要なのか。

 エルフ族があの森でしか生きられないのも納得できる。

 そうか、水晶に危機が迫っているからエルフ族はオズに助けを求めてきたんだ。


 「あの森の近くで水晶を狙ってくる奴がいるとしたらどんな奴だと思う?」

 「採掘して売りさばこうとする以前のウチみたいな盗人とか?」

 「もしかしたら、ゴブリンかもしれんぞ」


 ゴブリン?

 エルフの次はゴブリンか。

 この世界での生活四年目にしてファンタジー要素がすごい。


 「ゴブリンは群れで生活する移動型の厄介な害獣だ。俺のところにも駆除依頼が来たことがある」

 「害獣というと具体的な被害は?」

 「畑を荒らしたり家畜を襲ったりいろいろだ。俺たちの生活にも少なからず影響がある」


 まるで人里に出てくるサルみたいなやつだな。

 

 「奴らは言葉こそ話せないが道具を使ったり集団で狩りをできるぐらいの知能はある。おまけに単体でもそこそこ手強いぞ」


 うわぁ、そうだとすれば厄介な奴に狙われたな。

 

 「もしそうだとしたら……オズは大丈夫だろうか」

 「大丈夫だろ。自分の嫁を信じろよ」


 そうだな。

 数百人を一度に相手取ってそれを圧倒できるオズが害獣ごときに負けるわけがない。

 今回は大丈夫そうかな。


 「さて、仕事だ仕事」


 グレイさんの一言で俺たちは仕事へと戻って行った。

 

 ゴブリンか。

 ミラやレオナルドさんは何か知ってるだろうか。

 仕事が終わったら聞いてみるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ