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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第8章 ミラとエルフの森
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エルフ族と水晶の森

 「おぉ、ここが水晶の森か」


 オズの召喚魔法によって俺たちは初めて見る場所へとやってきた。

 ここが水晶の森か。


 「すごーい!綺麗だねー!」

 

 ミラの言う通り、ここにはとても幻想的で美しい景色が広がっている。

 

 「これって樹そのものが水晶になってるのか?」 

 「その通り。で、エルフ族はこの水晶の光を受けないと弱っちゃうわけ」


 今更ではあるが俺はここがファンタジー的な世界であることを再認識した。

 

 「さて、エルフ族の集落を目指すわよ」

 

 そう言ってオズは一人でどんどん森の中へと進んでいく。

 この様子だと道もわかるようだ。

 俺たちはオズに道を任せて進むことにした。


 そして、進むことおよそ数十分。

 

 「おい、本当に道合ってんのか?」

 「そのはずなんだけどなぁ……」


 さっきから景色が一向に変わる気配がない。

 これってもしかして『迷った』んじゃないか?

 家に戻るだけならもう一度召喚魔法を使ってもらえば解決するがエルフ族の少年をこんなところに置いていくわけにはいかない。


 「何か目印になるものとかないのか?」

 「そんなこと言われても急には思い出せないわよ」


 マジかー。

 どうしたものかな。


 「ねぇ、疲れた……」


 そうだよな、何十分も大人の俺たちと一緒に歩けばミラは疲れるよな。

 成長したとはいってもまだ八歳だし。


 「一休みするか。俺もずっとこの子背負ってて疲れてきたし」


 幸いにも日陰を作れるような樹はいくつもある。

 その下で少し休憩だ。


 「しっかし、こんな場所があったなんてなぁ」


 ここみたいな綺麗な場所なら観光名所になったりしてもおかしくないと思うんだがな。

 人知れない秘境だったりするんだろうか。


 「ここに入れる人間がごく限られてるしね。アタシたちオズ派の魔法使いとその関係者、あとはごく一部の商人ぐらいかしらね」

 

 商人ねぇ。

 ギルドの関係者にもここに入れる人間がいるのかな。


 「なんでお前たちは入れるんだ?」

 「アタシの先代がエルフ族に貸しを作ったらしくて、それでね」


 なるほど、オズ家の過去の功績か。


 「ん……あぁ……」


 おっ、さっきまで衰弱していたエルフ族の人が息を吹き返し始めた。

 まさか本当に森に戻るだけで回復するとは。


 「目が覚めたか?俺たちのことがわかるか?」


 意識の確認のために声をかけた。

 ミラたちも一緒になってその顔を覗き込む。


 エルフ族の人はゆっくりと首を縦に振った。

 よかった、意識さえ回復すればあとはミラたちの魔法でなんとかなるはずだ。


 「楽にしててね。すぐにミラが元気にしてあげる」


 ミラはエルフ族の人の下腹部にそっと手を添えた。

 治癒魔法を発動させ、回復を促進すると朧気だった意識が完全復活を果たした。


 「どうして私はここに……?」


 自分が森に戻ってきていることに驚いているようだ

 衰弱していた間の出来事に関する記憶はないようだ。


 「俺たちがここに連れてきたんだ。エルフ族は森に戻れば回復するって聞いてな」

 「貴方たちは……人間?」

 「その通り」


 エルフ族の人は俺たちの顔を順に見回した。

 ミラの顔を見、俺の顔を見、そしてオズの顔を見たその時だった。


 「あ、赤髪の魔法使い様!?」


 エルフ族の人は驚愕して後退った。

 何か因縁でもあるのか?


 「オズ、お前何かしでかしたのか?」

 「いや、心当たりはなにも」


 目が泳いでいない。

 ということは嘘はついていない、本当に何も知らないのか。


 「どうしてお姉ちゃんを探していたの?」

 「詳しいことは里で説明いたします」


 助かった。

 エルフ族の里にたどり着くことができるぞ。


 

 「ほおー、ここがエルフ族の里か」

 

 水晶の樹に囲まれた森にまばらに小さな家が建っている。

 エルフ族はここに集まって暮らしているのか。


 「長老!赤髪の魔法使い様をお連れ致しました!」


 エルフ族の人は長老なる人物の元へ向かっていった。

 長老ということはここの主導者だろう。


 「おぉ、間違いない。赤髪の魔法使い様じゃ」


 理由は知らないがエルフ族の人たちはオズのことを探していたらしい。

 何があったのだろう。


 「アンタがアタシのことを探してたの?」

 「えぇ、貴方様には頼みたいことがあるのです」


 オズに頼みたいことがあるって?



 「外敵と戦ってほしい!?」


 それは予想外のものだった。

 

 「ここ最近、何者かがこの森の水晶に対する破壊活動を行っているのです」


 さっきまで介抱していたエルフ族の人が長老に代わって説明してくれた。

 聞いた話では『得体の知れない何かが水晶の森を荒らしていて、エルフ族には手に負えない状態になっているからオズに手を貸してほしい』そうだ。

 確かに助力を求める相手としては正しい判断だ。


 「我々を助けてくださいますか?」

 「もちろん!」


 オズは迷わず即答した。

 こういうところが代々遺伝してきたんだろうなぁ。


 「おい待てよ。それってまたしばらく帰ってこないってことだよな」

 「うーん。そういうことになるわね」

 

 またかよ。

 前に戦争を起こした時もオズはしばらく俺たちのもとに帰ってこなかった。

 今回もどれぐらいの規模なのか見当がつかない。


 「でも大丈夫。今回はいつでも帰ってこられるから」

 「いや、そういう問題じゃなくてだな」

 「どういう問題?」


 なんというか、その……アレだ。

 

 「とにかく俺はお前が心配なんだよ。お前が強いってわかっててもな」

 「気持ちは嬉しいけどそんなに心配しなくていいわよ」

 

 「ミラも一緒にエルフの人たちを助けたい」

 「ダメよ。ミラは学校があるでしょ?そっちを優先しなさい」

 「むー……」


 オズに触発されて名乗りを上げたミラがすぐさまオズに諭された。

 彼女には不本意だろうけど俺もできれば学校の方を優先してほしい。


 「じゃあ、お休みの時はミラも手伝ってくれる?」

 「うん!わかった!」

 「よし、じゃあお姉ちゃんと約束ね」


 ミラは納得してくれたようだ。


 せっかくだから日が暮れるまで水晶の森を見て回って行こう。

 俺もいろいろとここについて知りたい。


 「この水晶の森を案内してもらえませんか?」

 「はい、魔法使い様のお知り合いの方でしたら喜んで!」

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