第27話 罠と幹部
魔王を討伐すべく、西へと向う勇者パーティー。かなりのスピードで進んではいるものの、流石に1日で追いつくわけではなく、本日は野営である。
「テント張り終わったよ!」
「もう終わったのか?流石フレイアだな。頼りになるよ。」
「ふ、ふぇ!?あの、その、だからだな、えっと、これぐらいの事、僕にかかれば何でもないんだから当然だ!!」
夏樹とフレイアがテントを張っていた。夏樹は残念とはいえ勇者なだけあって、女性の相手は結構お手の物である。ハーレムさえ望まなければそれなりに幸せになれるのではなかろうか。
そこへミストとアガンがやって来る。
「罠、仕掛けてきたよ。明日何か取れてたらご飯にしよう。」
「俺とミストで結構置いてきたからな。あれだけ置けば掛かるだろ。」
どうやら獲物をしとめるための罠を仕掛けてきたらしい。基本的に狩りをやるのは、いつもこの2人だ。と、ふと夏樹が問いかける。
「なあ、今更なんだけど・・・」
「なんだ?」
「何?」
「何で魔法倉庫に食料があるのに狩りをしてくるんだよ2人共!?」
「「そこに獲物があるから!」」
「【そこに山があるから】みたいに言うな!!」
「何だ?それは。」
「チクショウ通じねぇ!!!」
毎度の如く魔王とオカンのコンビにツッコむ夏樹をよそに、今度はフレイアがミストに問いかける。
「ところで、狩りの罠ってどんなのを使ってるんだい?」
「ん?えっとねぇ、」
ーミストの簡単!罠講座ー
1、生物に反応して魔法を放つタイプの結界の魔道具を用意します。
2、結界の内側に許可なく侵入した者に魔法を放つようになっているので、あとは込める魔法を決定します。
3、通常の100倍の魔力を込めて、【高位即死魔法】が、魔力が尽きない限り相手が死ぬまで連発されるようにします。
4、適当な所に設置して完了!
「以上、『ミストの簡単!罠講座』でした。パチパチパチー。」
「パチパチパチー、ってどこが簡単なんだ!即死魔法なんて高度な魔法、そんな簡単に成功してたまるか!!」
「ん?魔力とステータスでゴリ押しすればほぼ確実に相手死ぬよ?それこそ不死者でもね。傷も付かないし超便利。」
「もう普通に狩ってきなよ!!!」
叫ぶフレイア。ちなみに今回の罠のうちの1つは無駄に気合の入った超特別製である。
そんなこんなで今日も普通じゃない1日が終わるのであった。
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ー真夜中、夜空を浮遊する骨がいた。(偽)魔王幹部にしてリッチのマルバスである。(偽)魔王こと自分達のリーダーであるウィルヘルムの指示により、夜の街道を偵察しに来ていた。言わずもがな、勇者の動きを探るためだ。
マルバスの姿は、紫がかった骨の体に髑髏の頭。黒いぼろぼろのローブ、手には髑髏の付いた杖と、割といかにもな物だ。
「まったく、何故この我が偵察なんぞに出なくてはならんのだ。この様な事はあの兄弟にさせれば良かろうに・・・。」
どうやら、偵察に出された事に不満を抱いている様だ。と、勇者パーティーを見つけたマルバスは、彼等が野営している場所の近くの森に降り立つ。
「ふむ、このまま勇者の現在位置を伝えるためだけに戻るのも面倒だ。寝ている間にパーティーメンバーの1人か2人でも殺してやるとしよう。勇者討伐の前に余興と行こうではないか!」
そう言って野営地へと足を踏み出した、その途端
ー結界内への侵入者を確認しました。排除します。ー
「む!?罠か!」
ミストが仕掛けた罠である。【高位即死魔法】が発動し、マルバスを襲う。
「ほう、これほどの即死魔法を罠なんぞに仕掛けておるとは、なかなかにやる者だ。だが、我には効か、ぬ!?」
そう、普通に使えば、即死魔法に対する耐性が高い不死者に効果は無い。だがしかし、運の悪い事にマルバスがかかった罠は、ミストの全魔力の半分をつぎ込んだ、無駄に気合の入った逸品であった!故に
「グワァァァァァァァ!?馬鹿な!?リッチたる我にこの様な攻撃、効くはずは無っ・・・・・」
こうして(偽)魔王幹部、マルバスは倒されたのであった。




