第26話 旧魔王と宿願(偽魔王sid)
説明回的なのです。
少しばかり時は戻り、その日の昼、ミストとフレイアが魔法の訓練をしていた。具体的にはフレイアが放つ魔法をミストが受ける、といった具合に。
激しい攻防が繰り広げられ、ついにフレイアが渾身の一撃を放つ!それは彼女が最も得意とする、炎系統の魔法の高位に位置する攻撃魔法【煉獄】。黒い炎が弾丸となりミストへと迫る!(漆黒とかは言わない。絶対。)
「いっけえぇぇー!」
「【反射障壁】」
【反射障壁】。ダメージの70%を確実に受ける代わりに、敵の攻撃をそっくりそのままお返しできるという技である。意外と使い勝手が悪い上、習得できるのがHPがどうしても低めになる魔法職だけということもあり、あまり使用される事は無い・・・が、ミストには関係なかった。
「またやられた!なんで僕の攻撃を跳ね返して平気なんだ!」
「私は防御力特化!」
そう言って胸を張るミストであった。彼女にとっては誇りとかプライドだとか、そういうのなのだ、これは。
ちなみに、跳ね返された炎弾は遥か西の彼方へと飛んで行ったそうな。
_______________
所変わって、此処は【魔法都市ミステア】。その領主館の執務室である。
本来ならば領主が座っているはずの椅子には、白髪と山羊の様な角、蝙蝠の様な翼に蛇の尾。そして瞳孔が縦にはしった黄色い瞳。どう見ても異形としか取れない男がいた。
この世界に所謂【魔族】と呼ばれる種族は存在しない。故に彼は魔族ではないのだ。ならば一体何なのか・・・
「フフフ。嘗ての大魔導士の名を持つ街といえどもこの程度か。この調子で勇者を倒し、世界を絶望に満たせば・・・あぁ、リリム様!我らが魔王、我らが女王よ!!!貴女の復活の時は近いですぞ!!!」
そう言って机に置いた深紅の玉を恍惚の表情で見つめる。そう、彼は・・・否、彼ら5人は300年前の魔王、リリムに魅了され、配下として動いていた者達であった。
リリムと同じ時を生きるため、禁術によってその身を高位のモンスターへと墜としたのである。
ある者はリッチに。
またある者はヴァンパイアに。
ある兄弟はケンタウロスと呼ばれる存在に。
そして、歴史上では死んだこととなっているはずの彼・・・・・ウィルヘルムは凶悪無慈悲な悪魔へと。
「愚かな人間共よ!リリム様の糧となれる事を喜ぶがい【ヒュッ】ーーーム?」
ドオオオオォォォォォォォォォォォォン!!!!!
「お、愚かな、人、間共、め・・・」
ありきたりすぎて面白くもなんともない台詞を言ったせいだろうか。窓から飛んできた黒い炎が、彼ごと屋敷を吹き飛ばしたのであった。




