第21話 勇者パーティーとレベリング1
王城でのパーティーから2日後の早朝、ミスト達と勇者パーティーの面々は冒険者ギルドの依頼ボードの前にいた。目的は勇者夏樹のレベリングである。ちなみに今の夏樹の主なステータスは
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高宮 夏樹 (人間)
ジョブ:勇者 Lv31
HP35000 MP20000
物理攻撃力:36000
魔法攻撃力:38000
物理防御力:32000
魔法防御力:34000
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となっている。流石に勇者なだけあって、一般人よりも遥かにレベルとステータスの伸びが早い。
・・・お気づきだろうか。レベル差を考慮してもなおアガンのステータスが高すぎる事に。
なぜかといえば、アガンが獲得してしまった称号のせいである。
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称号:魔王のオカン
魔王に異常なまでに懐かれた者が獲得した称号。対象となる魔王のステータスと魔王からの信頼度に応じて獲得者のステータスを上昇させる。
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名前の割にとんでもないチート称号であった。これを知った時、アガンは『あ、勇者終わったな』と思ったものである。何せ、魔王たるミストのステータスがアガンのステータスよりも高いのは確かなのだから。
まあ、兎にも角にも夏樹がまだまだ勇者としては弱い事は確かなので、こうしてレベリングのために討伐依頼を受けに来たのである。と、そこでミストが
「ねえ、ここの依頼ショボくない?」
「いや、アルカディアのモンスターが強いだけで他は大体こんなもんだからな?」
「そういえば2人は【要塞都市アルカディア】って所から来たんだったね。どんな所なの?」
2人と言いながらもミストへと問いかける夏樹であった。
「ん?まあ、そうだな・・・端的に言えばモンスターが多い所だ。だから討伐依頼も大量に出る。そのうち勇者パーティーでも向かうと思うぞ?経験を積むにはもってこいだからな。」
「そうか、ありがとうアガン。『お前に訊いてないんだよミストちゃんに訊いたんだ!』」
今日も安定の残念勇者っぷりであった。
「でもさ、僕としてはその子の言ってる事も一理あると思うんだ。確かにここの討伐依頼は難易度が低いし、この辺でのレベル上はそろそろ限界じゃないかな。」
「そうですね。やはり近いうちに王都を出るべきでしょうか?」
フレイアとシャロンがそんな会話をしている。と、そこでミストがある提案をした。
「みんなは王都から出ないで済む簡単な方法ならあるよ?」
「本当かい!?よし、僕が聞いてやる!」
フレイアが食いついた。王都にいる方が情報の入手が容易であるため、できる事なら魔王の情報が入るまでは滞在していたかったのだ。が、
「私とアガンが勇者をひっ掴んで最寄りのワイバーンの巣に放り込んで来れば良い。そうすれば1回でLv50は軽く超える!ほら簡単!」
・・・まともな方法ではなかった。
「それやって生き延びられんのお前だけだからな!?ワイバーンの巣なんかに放り込んだら勇者死ぬぞ!?」
「え、勇者柔い。」
「だからんな事できんのはお前だけだっつってんだろうがぁぁぁ!!!」
オカンの説教により、その日、勇者は魔王の魔の手から逃れられたのであった。




