【第三部|自由都市・燈華】
燈華は、九か国の境界を越えて人と物が集まる都市。独立国家ではなく、九か国が共同で中立性を保障する自治都市と定義する。
1. 都市の成り立ち
およそ三百年前、霊脈の支配権を巡る争いが九か国の交易を寸断した。
当時、避難民と商人が集まった交通の要衝に、国籍を問わず食料と医薬品を配る共同市場が生まれる。これが燈華の起源とされる。
戦乱終結後、九か国は《九華不侵約》を締結。共同市場を武力で占領しないことを約束し、燈華の自治を認めた。
ただし、九か国がそれぞれ燈華を監督しているわけではない。日常の統治権は都市自身にある。
2. 燈華九席評議会
九席は国家の代表ではなく、都市の機能を担う役職。
| 席 | 管轄 | 権限 |
| 第一席・総務 | 評議会運営 | 会議の招集、対外折衝 |
| 第二席・財務 | 税と財政 | 関税、公共事業の予算 |
| 第三席・商務 | 市場と商会 | 営業許可、取引紛争 |
| 第四席・治安 | 衛兵と巡察 | 犯罪捜査、警備 |
| 第五席・司法 | 裁判と法令 | 裁判所の監督 |
| 第六席・水運 | 運河と物流 | 船着場、道路、倉庫 |
| 第七席・医療 | 衛生と救護 | 疫病対策、施療院 |
| 第八席・民生 | 住民と救済 | 孤児、避難民、住宅 |
| 第九席・外務 | 各国との交渉 | 外交使節、自治権の保護 |
評議員は都市の商人組合、職人組合、住民代表などから選出される。任期は六年、三年ごとに半数程度を改選する仕組みとする。
重要案件には九席中六席以上の賛成が必要。自治権の放棄や外国軍の駐留など、都市の根幹に関わる案件には八席以上の賛成と住民代表会議の承認が必要となる。
3. 燈華の五地区
| 地区 | 特色 |
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灯市区 | 茶楼、劇場、飲食店、夜市が集まる。黒蛇楼の所在地 |
金商区 | 商会本店、金融業者、高級商館 |
水門区 | 運河、船着場、倉庫、荷役市場 |
百工区 | 工房、鍛冶、染物、職人の住居 |
静苑区 | 施療院、学舎、寺観、住宅街 |
黒蛇楼を灯市区に置くことで、庶民、旅人、商人、皇族の使者まで自然に出入りできる。
4. 燈華の治安
《燈華巡衛府》が市内の治安を担う。
外国の兵士が武装したまま市内を行進することは禁止。各国の使節は最低限の護衛を伴えるが、巡衛府への届け出が必要となる。
また、燈華は治外法権を原則として認めない。
つまり、皇族であっても燈華で犯罪を犯せば、燈華の法で裁かれる。
もっとも、実際に皇族を逮捕できるかどうかは政治問題。だからこそ、黒蛇楼のような独立した情報網が重要になる。




