表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「副長、土方」  作者: 東 清二
81/192

第八十一話 発見

新選組しんせんぐみにて、安藤あんどう ジュンヤとリュウスケが一番隊に入り さむらいデビューをする話と、俺の全人生とうしての宝物の手掛かりを見つけます。

時代は幕末、200年以上続いた徳川幕府も 外圧に屈し、武士の世も刀の時代も終わろうとしていた。そんな時代に京の都で、歴史と伝統を大事にし、 尚且つ 新しいモノをも生み出し、新しい時代にも対応しようとするさむらいの集団がいた。その名も、新選組しんせんぐみ。そんな新選組しんせんぐみのトップに当たる 局長に、いつの世にあっても なんだかんだ活躍する、皆さんもご存知であろう中年の漢 北野きたの たけし新選組しんせんぐみのNo.2 副長に、歳の頃 14~15歳とと思われる俺 土方歳三ひじかたとしぞう。一番隊 隊長に、歳の頃 19~20歳ぐらいと思われる、もはや無敵の三段突きの名手 斎藤一さいとうはじめ。一番隊 隊員に、歳の頃 俺と同じく14~15歳と思われる、天才 沖田総司おきたそうじ。同じく 最近、一番隊 隊員になったのが、歳の頃 11~12歳の新選組しんせんぐみの元気印 安藤あんどう ジュンヤに、歳の頃10~11歳の口の聞けない リュウスケ。四番隊 隊長に、『天然理心流てんねんりしんりゅう』の師範で、さむらいというよりも 武士を絵に描いたような中年の漢 近藤勇こんどういさみ。四番隊のNo.2 副隊長に、いつも無口だが よく死人の出る四番隊において、斬られる前に斬るを実践してくれて、ちゃんと生きて帰って来てくれる 歳の頃20歳ぐらいの野口君ぐちくん新選組しんせんぐみ 最後の隊、主に後方支援を目的とする 末広がりの八番隊に、槍の使い手で 沖田おきたを大切にして見守り続けている井上源三郎いのうえげんざぶろう。同じく八番隊に、源爺げんじいと縁があり 新選組しんせんぐみの唯一の女性、美貌と才能を併せ持つ 安藤あんどう ユウコさん。他に新選組しんせんぐみでは学問も教えていて、その先生として北野きたの まさる君が頑張っている。


新選組しんせんぐみ 一番隊に、安藤あんどう ジュンヤに リュウスケが加わり、一番隊の闘い方や仕事の引き継ぎをする。

ただし、安藤あんどう ジュンヤは「一番隊、一番隊!一番強い一番隊!」と浮かれているので、俺は しっかり引き継ぎをしなければと、気を引き締める。

「じゃ斎藤さいとうさん。いつも通り、斎藤さいとうさんは左側 俺は右側で、沖田おきたは前か後ろで、安藤あんどう ジュンヤとリュウスケに、一番隊がどう戦ってきたか、手本を見せよう。引き継ぎが終わりしだい、俺は一番隊を抜けて 門番と副長職、それから銃火砲部門の強化をするよ」と俺。

「かしこまりました。ジュンヤにリュウスケ、斬らなきゃ 斬られるからな」と斎藤さいとうさん。

「はい!」と安藤あんどう ジュンヤ。リュウスケも、頷く。


俺が右側 斎藤さいとうさんが左側 沖田おきたが自由で、ジュンヤにリュウスケは後方に居る。京の都にあった斎藤屋敷さいとうやしきは無くなったが、京の都の人々にとって、新選組しんせんぐみは好意的に受け止められているので、何かあれば 俺や斎藤さいとうさん、そして北野きたの局長の耳にも、情報は入る。なので、もたらされた情報が本物で、正確かを確認し あとは斬るか斬らないか?現場の各自の判断で決めている。


見習いを卒業し、一番隊入りしたジュンヤにリュウスケは、初のさむらいデビューなので、本日は後ろから攻め込まれないよう注意しながら、俺や斎藤さいとうさんがどう戦っているかを、しっかり見学だ。

一番隊は、基本 自由なので、敵のアジトに踏み込む際も、俺だったら「この戸板、建て付けが悪りぃな」と戸板を外し、戸板で暴れてから 刀を抜く。

斎藤さいとうさんは、無言で入り「御用改めかもしれないぞ」と言いながら、居合いと三段突きで、一気に相手を屠る。

この様に、一番隊は 四番隊と違って、形式張って「御用改めである」と名乗ってから、踏み込みはしない。そんな事を一番隊がしていたら、いくら一番隊が一番強くても、いくら命があっても足りない。


そして新選組が、賊や敵を斬ったあとは、相手がどこの藩の者か分かれば、敵や賊が生きてようが死んでようが脱藩浪士であろうが、その者の藩邸へ行き 藩邸の門番と門を前蹴りで壊し、命代金を支払わせる。沖田おきたは藩邸の蔵へ忍び込んで、値打ちのある物を手にいれるし、斎藤さいとうさんは情報を仕入れる。

俺だけは「死にたい順番に、かかって来い」と、無駄に暴れている。こういうところも、鬼の副長と呼ばれるようになった要因だ。その他、死体の処理だけは、処分代としてお金を出し、会津藩あいづはんに処理してもらっている。


一番隊として いつもの様に暴れても、闘っても 安藤あんどう ジュンヤもリュウスケも、目をキラキラさせるだけで、問題もなさそうだし大丈夫そうだ。さすが、実戦でこそ力を発揮する『天然理心流てんねんりしんりゅう』の道場で、鍛え抜かれただけの事はある。

本日の一番隊としての任務は終わったので、俺は立ち寄りたかった場所、確かめたかっことを確かめる事にした。そこは、新選組しんせんぐみの月に一度の顔見せ行進の時も通るし、一番隊としても何度も通った民家の前で、いつも小さな少女が1人でいる。


「じゃあ、ジュンヤもリュウスケも 充分に闘えるし、一番隊に入っても 強さにも問題ないので、一番隊としては充分だ。あとジュンヤに、俺からお願いなんだけど、前方の民家に 1人で佇んでいる女の子がいるだろ?」と俺。

「はい」と安藤あんどう ジュンヤ。

「その女の子の名前が、カナではないか確かめてくれないか?俺や斎藤さいとうさんは、今日は散々 人を斬り、返り血も浴び 汚れてしまって、この世で最も純粋な少女に、こんな状態では話しかけてはいけない。名前を聞き出せればいいのだけど、出来るか ジュンヤ?」と俺。

「出来ますよ、そのくらい。僕はもう見習いを卒業して、一番強い 一番隊に入った安藤あんどう ジュンヤなんですからね。カナって名前か、聞いてくるだけなんて 使いっ走りのうちにも入りません。それでは、聞きに行ってきます」と安藤あんどう ジュンヤ。まだ あどけない少女の元へと行く。

「トシさん、哀姫かなひめですかね?」と斎藤さいとうさん。

「だろうな。どうりで、江戸中 探し回っても 居ないわけだ。京に居たのか」と俺。


すると、その少女の元から 笑顔の安藤あんどう ジュンヤが、戻って来た。

「トシさーん!トシさんの言ってたとうり、カナという名前でした。漢字は、知らないそうです」とジュンヤ。

「出来した、ジュンヤ!本日の一番手柄だ。あのカナっていう名の子が、俺の宝物なんだ。今日のところは、返り血で汚れちまって穢れちまって帰るしかないけど、俺の宝物が見つかるなんて、大収穫だ。ありがとうな、安藤あんどう ジュンヤ!」と俺。

「うわーい!トシさんに、初めて 褒められた」と嬉しそうな、安藤あんどう ジュンヤ。

「じゃ斎藤さいとうさん、一番隊にジュンヤとリュウスケが入ったし、基本的には俺は一番隊を卒業するよ。いつか俺が、人を斬らずに済んだ日に、俺1人でカナに会いに行くよ。もう居場所は、記憶したからね」と俺。

「人を斬らない日か…。そういえば、そんな日ないですね。かしこまりました」と斎藤さいとうさん。

「じゃ帰るぞ」と俺。


新選組しんせんぐみの屯所へ着くと、心配顔の北野きたの たけし局長が居た。そして「安藤あんどう ジュンヤ先輩に、リュウスケ!ちゃんと生きて帰って来てくれた」と、呟き 胸を撫で下ろしている。

北野きたの局長、今日の一番手柄は、安藤あんどう ジュンヤだよ。おかげで、俺の宝物が見つかった」と俺。

「トシさんも 斎藤さいとうさんも、あれだけ活躍して 人を斬ったのに、後ろで見てただけの僕が、一番手柄なんですか?」と訝しげな、ジュンヤ。

「ああ。確かに今日は、ジュンヤが一番手柄だ。副長が探し求めていた存在を、見つけたからな。何も、糞野郎を斬ることだけが、手柄ではないからね」と斎藤さいとうさん。

「まあ 何はともあれ、一番強い一番隊 その分、一番危険な一番隊の任務で、安藤あんどう ジュンヤ先輩もリュウスケ君も、傷一つ追わず 生きて帰って来てくれた。おいらとしては、それだけで充分だ」と北野きたの たけし局長が、真顔で言う。

「そんじゃ、飯 風呂 睡眠」と俺。

八番隊の源爺げんじいや、安藤あんどう ユウコさんの準備で、ジュンヤやリュウスケの一人前になったのを祝って、また新選組しんせんぐみは宴会をし、日が暮れた。


安藤あんどう ジュンヤに、リュウスケか。今頃、何をしているのかな?ジュンヤもリュウスケも、新選組しんせんぐみの頃だけじゃなく、俺にとっては最後の最後の人生、2回目のひがし 清二きよじとしての人生にも、相変わらず まともな親のいない子として、東京サレジオ学園という児童養護施設で、再会した。サレジオの頃は、お互い前世の記憶なんてなく、俺にとっては ジュンヤもリュウスケも後輩だったが、新選組しんせんぐみの頃には、口の聞けなかったリュウスケが、口が聞けるようになっていたという、変化と進化があった。しかし まぁ、2017/06/11今現在の俺は、何者にもなれず ただただ、どんどん条件と状態が悪くなっていく中、相変わらず 生き地獄をのたうち回っている。じゃあ、両方とは言わない。俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫かなひめが会いに来てくれるか、禁止がとっくに解除された筈の 俺の念能力よ、帰って来てくれ。両方とは言わない、せめて其のどちらかよ叶え!》


こうして 安藤あんどう ジュンヤにリュウスケが、新選組しんせんぐみ 一番隊の仲間入りをした。そして、まだ人を斬らず 汚れていない安藤あんどう ジュンヤの手柄で、俺の全ての人生を通しての宝物を見つけることが出来た。あとは、俺が人を斬らず 汚れなかった日に、勇気を出して 話しかけるだけだ。次回の話は、俺の宝物との遭遇と、何故 俺の宝物なのかについての話です。以上。

読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ