表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/153

第132話「第二撃、白霧の城壁が沈む」

第132話

ご愛読いただきありがとうございます。

すでに、ブックマーク/星評価をつけてくださった皆様ありがとうございます!

アーソン城の城壁上。

スエン・ツー・カンコは、

崩れ落ちた石の隙間から雪崩れ込む海獣たちを見下ろしていた。


第一撃――

龍海将ブルイドンが三叉槍を振り下ろしただけで、

城壁の一角が粉砕され、

海獣たちがアーソンへ侵入した。


(……こ、これが……ただの一撃……?)

震える膝を押さえつけ、

スエンは立ち上がる。


巨大な甲殻類が爪を振り下ろし、

深海魚のような獣が兵士を噛み砕き、

触手を持つ異形が騎士を絡め取る。

海獣たちの咆哮が霧を震わせ、

アーソンの夜を切り裂いた。


影牙の副隊長が叫ぶ。

「姫殿下!

海獣の数が多すぎます!

このままでは――!」

「分かっているわ!

無理に戦わず、城内へ誘導して!

市民を守るのが最優先よ!」

声は震えていたが、

その瞳は決して揺らいでいなかった。

(……影牙も騎士団も強い。

でも……あれは……

どうこうできる相手じゃない……)


スエンの視線の先――

霧の向こうに立つ“海の王”。

龍海将ブルイドン。

黒い鱗は光を吸い込み、

赤い眼光は海底火山のように燃え、

背の翼は広げるたびに空気を海水のように重く湿らせる。

そしてその手には、

深海の闇を凝縮した三叉槍。


ブルイドンは動かない。

ただ静かに、アーソン城を見つめていた。

その沈黙は、

嵐の前の静けさではなく、

深海の底に沈むような圧迫感だった。


スエンは息を呑む。

(……次が来る……)


ブルイドンが三叉槍を横に薙いだ。

その瞬間――

世界が“割れた”。

空気が裂け、

霧が爆ぜ、

大地が波のように盛り上がる。

城壁の上にいた兵たちが、

まるで軽い木の葉のように吹き飛ばされた。

「うわああああッ!!」

「ぎゃあああッ!!」

石が砕け、

城壁が悲鳴を上げる。

スエンは衝撃に耐えきれず、

城壁の上で身体を投げ出された。

「きゃっ――!」

影牙の副隊長がスエンを抱きかかえ、

辛うじて落下を防ぐ。

「姫殿下、伏せてください!!」

だが、

その声も揺れにかき消された。


第二撃は、

第一撃とは比べものにならないほどの破壊力だった。

城壁が波のように揺れ、

石が崩れ、

巨大な裂け目が走る。

海獣たちがその裂け目から雪崩れ込み、

アーソン城内へと侵入する。

スエンは歯を食いしばり、

立ち上がった。

「……まだ……終わっていない……!」


だが、

ブルイドンはまだ動いていなかった。

第二撃を放った後も、

ただ静かにアーソン城を見つめている。

(……なぜ動かないの……?

何を……見ているの……?)

ブルイドンの赤い眼光が、

スエンを捉えた。

その瞬間、

スエンの心臓が凍りつく。

まるで深海の底に引きずり込まれるような、

底知れぬ圧力。

スエンは震える膝を押さえつけ、

立ち続けた。

ブルイドンは動かない。

ただ静かに、

スエンを見つめている。

その視線は、

まるで“試す”ようだった。


(……何を……見ているの……?

私を……?

アーソンを……?)


影牙たちは散り、

海獣の進行を少しでも遅らせようと奮戦する。

だが、

第二撃で城壁は大きく崩れ、

防衛線は完全に破られていた。

スエンは城壁の上から、

アーソンの街を見下ろす。

霧が揺れ、

海獣たちが街路を進み、

悲鳴が響く。


(……アーソンが……

私の街が……

飲み込まれていく……)


スエンは拳を握りしめた。

「……まだよ……

まだ終わらせない……!」

その声は震えていたが、

確かに“王の声”だった。


ブルイドンが、

ゆっくりと三叉槍を持ち上げる。

第三撃が来る。

スエンは息を呑んだ。

(……来る……

次は……城そのものを……)

霧が渦を巻き、

空気が震え、

地面が低く唸る。


ブルイドンの三叉槍が、

アーソン城へ向けて構えられた。


スエンは叫ぶ。

「来る……! 構えを解いて、離れなさい!!」


だが、

海王の第三撃は、

すでに放たれようとしていた。

最後までお読みいただきありがとうございました。

気に入っていただけた方は、ぜひ、

・ブックマーク

・星評価

・リアクション

よろしくお願いいたしますm(__)m

つけてくれると、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ