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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十五章 八階層と近づく激突の足音

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第1話 開かれる新たな扉

「ほんと申し訳ございませんでした……」

「キュキュ……」


 地面に正座している瑛士と四足をついて項垂れるルナに対し、目の前には腕を組んで見下ろす音羽の姿があった。この様子はバッチリ配信されており、コメント欄もどんどん盛り上がる。


 《チャットコメント》


『見慣れた光景乙www』

『ご主人が締まらない理由がわかるw』

『ミルキー先輩の圧半端ねえっすw俺も一回怒られてみたいw』

『画面には映ってないけど、ルリ様! 応援してます!』

『攻略RTAというより、ミルキーさん激怒RTAだったw』


 いつの間にかタブレットを取り出し、コメントを眺めていたルリが思わず吹き出して呟く。


「ぷっ、迷宮RTAならぬミルキーRTAのネーミングは流石なのじゃ。でも、間違っていないところが面白いのじゃ」

「へえ、なかなか的を射たコメントがきてるのね」


 瑛士たちの前で仁王立ちしていた音羽がルリの声を聞き、思わず問いかける。


「ありゃ、ミルキー先輩にも聞こえておったのか。まあ、攻略には成功しているけどね」

「それは間違いないのじゃ。しかし、どうしてご主人たちは、喧嘩していたらどんな未来が待ち受けるのか理解できないのじゃろうか?」

「あれじゃない? 二人揃って怒られたくてやっているとか」


 ルリと音羽が盛り上がっていると、正座していた瑛士が思わず呟く。


「いや、なんでわざわざ怒られなきゃいけないんだよ……」

「キューキュキュ」

「だよな……お前はわかってくれるか」


 先程までいがみ合っていた瑛士とルナが妙に仲良くなっている様子を見て、ルリと音羽が顔を傾げながら大きなため息を吐く。


「ほんとこういうときだけ気が合うのよね」

「普段から仲良くできないのじゃろうか」

「それはそれ、これはこれだろ……」


 わざとらしく大きな声で呟くルリたちに対し、思わずツッコミを入れる瑛士。そして何かを思い出したように手を叩くと、二人に向かって話しかける。


「そう言えば、まだ七階層が残っているんだろ? 目的地はその先なんだし、早く攻略したほうが良くないか?」


 思い出したように問いかける瑛士の声を聞き、コメント欄も賛同する声が増え始める。


 《チャットコメント》


『そう言えばルリ様の用事は八階層だって言っていたよな?』

『六階層の勝負は引き分けっぽいし、七階層で延長戦か?』

『今度はどっちが勝つんだろ? 俺はルナちゃんの大勝利に一票w』

『いやいや、ここはご主人が意地を見せてくれることを期待w』

『第三の勢力が現れたりしてwそう言えば翠ちゃんの姿が見えなくね?』


 あまりの通知の多さに瑛士がスマホを取り出し、コメント欄を眺めていた時だった。一人が翠の存在が見当たらないことに言及していた。それを見て辺りを見渡すが、影も形も見当たらない。


「ルナ、翠のやつがどこにもいないんだが……お前知らないか?」

「キュー? キュキュキュ―」

「言われてみれば……六階層の攻略に夢中で忘れてた……って、そうだよな」


 お互いに心当たりがないことを確認すると、ルリに向かって問いかける。


「ルリ。お前はこのバトルには参加していないし、監督者として見守っていたよな?」

「うむ。わらわは公平なジャッジメントをせねばならぬからな」

「それは別にいいんだが、翠は一緒にいなかったのか?」

「ん? わらわは知らないのじゃ。音羽……ミルキー先輩が一緒におったのじゃないのか?」


 瑛士の問いかけを聞き、ルリが隣りにいた音羽に尋ねる。しかし、彼女も顔を傾げて困ったように答える。


「うーん、私に聞かれても……てっきりルリちゃんと一緒にいると思っていたから」

「ふむ……お互いに心当たりがないのじゃ。そういえば……五階層を出発するときには、()()()()()()()()ような?」


 音羽の言葉を聞いたルリが真っ青な顔になり、震える声で話し始める。


「なんじゃと? まさか……ご主人たちが勢いよく飛び出していった姿を見て、一緒について行ったのかもしれぬ……もしかしてこの爆発や残骸に巻き込まれていたら……」


 泣きそうな顔になったルリが悲痛な声を上げると、隣りにいた音羽が優しく肩に手を置いて話しかける。


「ルリちゃん、大丈夫よ。あの翠ちゃんがそんなヘマをするわけ無いわ……だって、猫はすごい動体視力と反射神経を持っている生き物なの。きっとどこかを散歩しているだけだと思うわ」

「そうじゃろうか……万が一のことがあったら、わらわは……」


 涙を浮かべたルリが音羽に抱きつき、肩を震わせて声を押し殺す。そんな彼女の頭を優しく撫でる様子が配信で映され、コメント欄に次々と温かい書き込みが増えていく。


 《チャットコメント》


『おお……これぞ母性なのか……』

『ミルキーさんの愛が半端ない』

『ルリ様、我らもついておりますぞ!』

『ルリ様✕ミルキーさんという新たな扉が開いてしまった……冬コミ間に合うかしら』

『この二人の間に挟まることは許されない、たとえご主人であろうとも』


 次々と流れるコメントを見ていた瑛士は、呆れたような顔で呟く。


「なんか変な扉を目覚めさせてるし……」

「まあ面白いからいいんじゃない?」


 瑛士の呟きを聞いた音羽が笑いながら答える。

 この直後、彼の発言を聞き、立場が逆転することになるとはまだ気がついていなかった。

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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