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 そこには森の中に隠れるようにして別館があった。

「翠。コーヒーを淹れて」カーテンを開けながら紅お嬢様は言った。

「かしこまりました。紅お嬢様」翠はそう言ってお辞儀をしてから、扉を開けて紅お嬢様に教えてもらった台所に移動して、お湯を沸かしてコーヒーを淹れた。

 コーヒーを淹れて部屋に戻ると紅お嬢様は椅子に座って開いた窓から外の風景を眺めていた。

 テーブルの上にコーヒーを置くと「どうもありがとう。翠」と言って紅お嬢様は真っ白なカップを持って口に運んだ。

「翠。そこに座って」

「はい。かしこまりました」

 紅お嬢様の言った通りに翠は椅子に座った。

「奥に扉が見えるでしょう? とても小さな古い扉」紅お嬢様は言う。

 確かに紅お嬢様の言う通りに部屋の奥には小さな古い扉があった。

「はい。見えます」と翠は言った。

「あの扉はね、開かずの扉なの。絶対に誰にも開くことのできないずっと鍵がかかったままの扉」

 その扉は確かに古い扉だったけれど、決して誰にも開けられないような扉には見えなかった。

「扉の鍵を無くしてしまわれたのですか?」と翠は言った。

「鍵なんて始めからないのよ。存在しないの。どこにもない。だから開かない。役立たずの扉なの」とコーヒーを一口飲んでから紅お嬢様は悲しそうな顔をしてそう言った。

 そのあとで翠は紅お嬢様とすごく高級な(翠の見たことのない)一枚一枚のカードすべてがガラスのような材質で作られているカードを使ったカードゲームを紅お嬢様に遊びかたを教わりながら一緒に遊んだ。

 ゲームはとても面白かった。(紅お嬢様が用意してくれた本物の金貨を取り合った)ゲームは引き分けに終わった。(いつのまにか外は真っ暗になっていた)そうなるように紅お嬢様がうまくゲームのバランスをとってくれたみたいだった。

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