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まーじゃん! ~麻雀部 はじめました~  作者: 雀太郎
第2章 麻雀と基礎
33/55

ベタオリ

「今回はベタオリについて教えるさ。今まで牌効率などやってきたけど、それは全部アガるための技術……攻撃することだけだったんさ」


「麻雀には防御もあるんですね!」


「本当は初心者には、もっとアガる経験が必要なんだけどさ。ひらくの才能なら、すでに平気なはずなんさ」


「にゃひぃっ! そ、それほどでもぉ~」


「麻雀はどんなに極めても25%がアガリの上限なんさ。流局なども含めたら、もう少し低いさ」


「単純計算したら4人のゲームで他家(ターチャ)が3人いますからね。他のアガる確率が75%です」


「25%しかアガれないなら、残りの75%は何をすればいいのか、わかるかさ?」


「もちろん全力で4メンツ1雀頭(じゃんとう)を作りにいきます! 4回のうち3回空振りでも、手数を増やせば、もっとアガれます!」


「それが初心者によくある勘違いなんさ。実は残り75%は、手を諦めて防御に回るんさ」


「えぇ!? そうなんですか?」


「厳密にはアガれそうな手だけ、全力でアガリにいくんさ」


――――――――――

東一局 東家 ドラ5s


配牌

[45()6m 45()6p 45()55678s 西]

――――――――――


「ドラ6跳満(ハネマン)から……ダブリーなら倍満(バイマン)確定の3-6-9s三面張(さんめんちゃん)ですね」


「極端だけど、これは誰でも押す手なんさ。じゃあ次のこれは……」


――――――――――


東一局 東家 ドラ5s


配牌

[124m 25p 1479s 西北白發中]

――――――――――


「天国と地獄みたいになってます……」


「この手を仕上げようと、全力を尽くす打ち手は滅多にいないんさ。毎局で与えられる手と、ツモの良し悪しは違うんさ。その中で自分は『押す』のか『引く』のかを決めないといけないんさ」



――――――――――

東一局 東家 ドラ5s 6巡目


西家からの先制リーチ


手牌

[55m 12356789p 5()6s 西][ツモ牌 7s]

――――――――――


「ドラ2で高め一気通貫(イッキツーカン)まで見える手が聴牌(テンパイ)。これは当然追っ掛けリーチさ」


――――――――――

東一局 西家 ドラ5s 6巡目


東家からの先制リーチ


手牌

[13457m 278p 3349s 發][ツモ牌 4p]

――――――――――


「一方これは、とてもじゃないがいけないんさ」


「勝負にもなっていませんね」


「大事なのは、ここさ! こんなとき一体どうすればいいのかが大切なんさ」


「それ私もちょうど知りたかったです!」


――――――――――

ベタオリのやり方


①リーチ者の現物を切る


東一局 西家 ドラ5s 6巡目


東家からの先制リーチ


手牌

[13457m 278p 3349s 發][ツモ牌 4p]



この場面で見るのは、リーチ者の捨て牌。



東家の捨て牌


[南 發 1m 9s 2p 3s]


手牌のうち[發、1m、9s、2p、3s]が現物。

――――――――――


「自分が捨てた牌では、絶対にロンアガリできないさ。振聴(フリテン)を利用して、同じ牌を切るんさ。このとき一番危険な、3sから連打するんさ」


「必ず中張牌(チュンチャンパイ)からなんですか?」


「いいや、状況によるんさ。例えばリーチ者以外の捨て牌に[3s]があれば、それは二人への安牌。後の押しに備え『リーチ者だけに通っている牌』から落としていくんさ」


――――――――――

東家からリーチを受けた状態。


捨て牌

[南 發 1m 9s 2p 3s]


ここで南家のツモ番。


 打、4s。


南家の捨て牌

[西 東 9p 8m 3s 4s]



自身の手牌

[13457m 278p 3349s 發][ツモ牌 4p]


たった今捨てられた[4s]は安全だが、後の南家への安牌にもなる。[3s]も現物のため[34s]の打順が後になる。


残りの[發 1m 9s 2p]4枚の中で、一番危険な[2p]から先打つ。

――――――――――


「最初はピンと来ないし、安牌探しも難しいと思うんさ。だからまずはリーチ者の現物から切っていくことが肝心さ」


「主にどんな状況では、オリたほうがいいんですか?」


「簡単にいうと『リーチを受けた段階で二向聴(リャンシャンテン)以下』だったり『形も打点も悪い場合』さ。あとは自身が勝負にならないと感じたときさ」


「押すにも引くにも、経験が必要ですね……でも、よくわかりました!」


「ふふふっ、本当にわかったか……問題を出してみるさ」


――――――――――

【問題】

ベタオリせよ!



東一局 西家 ドラ5s 6巡目


東家からの先制リーチ


東家の捨て牌


[北 1m 9s 3m 6s 5p]



手牌

[1135m 4457p 5689s 北][ツモ牌 4m]

――――――――――


「えっと……北でしょうか?」


「ハズレさ。なぜひらくが北を打とうとしたのか、あたしにはわかるさ。345mで1メンツができたから、北を払って様子見としたんさ」


「はい、その通りです」


「それはベタオリとは別の技術なんさ。この手を進行しようとすれば宣言牌5pの跨ぎ筋、本命の4-7pを打つことになるかもしれないんさ。そこに辿り着くまでにさえ、何個も危険牌を持ってくるかもしれないんさ」


「欲を出した時点で、私のベタオリは失敗していたんですね」


「気概は買わなくはないけど……さすがにこの手はキツいさ。正解は5pさ。他家(ターチャ)に鳴かれても構わないから、危険度の高い牌を先に打つんさ」


「今度こそ、わかりました! 判断がついた場合には実行してみます!」


「ベタオリについては、あたしも迷うときは多々あるさ。それを実戦で使いこなせるか……見せてもらうさぁ!」


 ナオが(じゃん)リングを起動する。


「セットアップ! 雀牌(じゃんぱい)!!」




 麻雀(うちゅう)が再開する――



【ポイントマッチ】


東四局 ドラ8s

南家 ナオ 7P

西家 ふうろ 6P

北家 ひらく 6P

東家 ひめる 8P


ひらく 配牌

[7m 1569p 11779s 南西發]


 ドラ0。七対子(チートイツ)四向聴(スーシャンテン)

 酷い配牌だ。バラバラ過ぎて、通常手よりも七対子のほうが近い。

 牌理(ぱいり)を切り開く。


――――――――――

[7m 1569p 11779s 南西發][ツモ牌 1m]


 打、5p。


[17m 169p 11779s 南西發][ツモ牌 2p]


 打、6p。


[17m 129p 11779s 南西發][ツモ牌 南]


 打、7m。


[1m 129p 11779s 南南西發][ツモ牌 7m]


 打、7m。

――――――――――


[1m 129p 11779s 南南西發][ツモ牌 8m]


 打、2p。

 三向聴(サンシャンテン)。18m、19p、9s、西、發。7種21枚が有効牌である。

 ……まったく伸びない……。


「リーチ!」


 ナオからの先制リーチ。

 打、7s。

 後手を踏んだ。

 この手牌では、勝負にならない。


 ……ベタオリしかない……!


 退路を切り開く。

 まずはナオの(カワ)を見る。


ナオの捨て牌

[東 南 1s 3p 7s]


[1m 19p 【1177】9s 【南南】西發][ツモ牌 2m]


 1s、7s、南のうちで、後の他家(ターチャ)に危険な7sを先打つ。

 打、7s。

 さらに次巡に、7sを連打。

 ナオのツモ。

 打、4p。

 ツモ。


[12m 169p 119s 南南西發][ツモ牌 4p]


 打、4p。

 ナオへの合わせ打ち。

 他家(ターチャ)の捨て牌にも気を配り、安牌を切っていく。


「ツモ!」


 ナオ、倒牌(とうぱい)


[12344m 567p 34666s][ツモ牌 2s]


「リーチ、ツモは-2Pオールさぁ!」



東一局 ドラ2p

東家 ナオ 7P

南家 ふうろ 4P

西家 ひらく 4P

北家 ひめる 6P


ひらく 手牌

[123467m 36678p 36s]


 ドラ0。三向聴(サンシャンテン)

 有効牌は多数。

 確定メンツ、123m、678s。メンツ候補、667m。

 3メンツの3ブロック構成。面前手が主体となる。

 ツモ。


[123667m 36678p 36s][ツモ牌 9s]


 ツモ切り、9s。

 引きが悪い。ターツの形成にすら、苦戦を強いられている。


「リーチ!」


 ナオからの先制リーチ。

 打、4m。

 後手を踏んだ。

 未だに三向聴な上に、メンツすらも不確定。これも勝負にならない。

 もう一度、ベタオリ。

 退路を切り開く。


ナオの捨て牌

[西 北 1p 東 7p 6p 3s 4m]


[123667m 3【667】8p 【3】6s][ツモ牌 【1p】]


 6p、7p、3s、1pが現物。

 6p連打と行きたいが、ひめるも6pを捨てている。

 ここは3sからいく。


 次巡。打、7p。


「ポン!」


 ふうろが[777→p]と仕掛けてくる。

 一副露(ワンフーロ)

 打、8p。

 ひらくに打順が回ってくる。

 ツモ。


[123667m 【1】3【668】p 6s【西】][ツモ牌 7m]


 打、1p。

 ふうろにも通る、8pを温存する。

 ナオのツモ。

 打、3m。


「チー!」


 ふうろが再び[←345m]と仕掛けてくる。

 二副露(ツーフーロ)

 打、3s。

 ツモ。


[12【3】6677m 3【668】p 6s【西】][ツモ牌 【北】]


 打、3m。

 ナオが切った、3mから捨てる。


「ツモ!」


 ふうろ、倒牌。


[2235p 45()6s][777→p][←345m][ツモ牌 4p]


「ツモは-1Pオールだね!」



東二局 ドラ6m

北家 ナオ 6P

東家 ふうろ 4P

南家 ひらく 3P

西家 ひめる 5P


ひらく 手牌

[45()667m 2456p 2345s][ツモ牌 7s]


 打、2p。

 ドラ3。一向聴(イーシャンテン)

 確定メンツ、45()6m、456p。メンツ候補、67m、2345(2ブロック)

 5メンツの5ブロック構成。面前手が主体となる。

 絶好の牌姿(ぱいし)。攻勢に回るときがやってきた。雀頭(じゃんとう)を確立させ、好形リーチを打ちにいく。


「リーチ」


 ひめるからの先制リーチ。

 打、4s。

 後手に回る。

 だが今局は引かない。

 ツモ。


[45()667m 456p 23457s][ツモ牌 5()s]


「リーチ!」


 打、7s。

 5-8m待ち聴牌(テンパイ)

 リーチ、断么九(タンヤオ)平和(ピンフ)、ドラ4。7(ハン)跳満(ハネマン)

 追いついた。

 捲り合いに突入する。

 ひめるのツモ。

 打、1s。

 ひらくのツモ。

 打、3s。

 ひめる、ツモ。

 打、7m。

 ひらく、ツモ。

 開牌(かいぱい)


 八萬(パーマン)


「ツモ!」


 倒牌。


[45()667m 456p 2345()5s][ツモ牌 8m]


「リーチ、ツモは-2Pオールです!」




ナオ 4P

ふうろ 2P

ひらく 3P

ひめる 3P



 ――東三局



       ―― 中断 ――




「早速ベタオリも活用していた様子だったさ。アガリ諦める……簡単なように見えて、意外に難しい行為なんさ」


「メンツやターツを崩してでも、手牌の進行を止める……時には諦める精神力も、ベタオリに必要な技術なんですね」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 麻雀のベタオリはポーカーのフォールドと同じですね。 降りることでダメージを抑える。長くやるとこれ重用なのが見えてくるのが分かりますな。
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