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MBTI勇者〜同じストーリーで勇者の性格が変わったら〜  作者: 亀丸物産


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第17話 異世界に転生した俺、勇者になる(ESFP / エンターテイナー ver)

 佐藤悠、二十八歳。

元・イベントプロデューサーにして、パーティや祭りが大好きな根っからのエンターテイナー。

トラックに跳ねられ、白い空間で女神から「異世界を救ってほしい」と頼まれた時、俺の第一声は歓喜の叫びだった。


「マジで!? 主演・俺の異世界超大作ファンタジーが開幕ってこと!? 女神様、最高のステージを用意してくれてありがとう!」

「えっ……あ、はい! 勇者様、大観衆(世界)を沸かせてきてくださいね!?」


 チート能力を「スポットライトと演出ギミック」として受け取った俺は、大歓声(の幻聴)を聞きながら、派手に異世界へと飛び込んだ。

     

 森で襲いかかってきた巨大な狼に対しても、俺のテンションは最高潮だった。


「さあ開幕のオープニングアクション! ミュージック、スタート!」


 チート能力の『光芒演出(エフェクト)』を全開にし、ド派手な光と音のパーティクルを展開! 華麗なステップで狼の攻撃をかわし、ハイタッチの要領で鼻頭をポチッと叩いた。


「どうよこのステップ! 君も一緒に踊ろうぜ!」

「グ、グル……!?」


 圧倒的な華やかさと愛嬌に毒気を抜かれた狼は、すっかり俺のバックダンサーとしてノリノリでついてくるようになった。

ペンダントを首にかけ、「みんなー! 勇者の悠ちゃんだよー!」と街中でパフォーマンスをしながら進む俺の周りは、あっという間に人だかりと大歓声に包まれた。

そのまま王城へパレード状態で乗り込む。


 玉座の間。どこか硬い表情をした金髪の王女エレナを見つけると、俺は薔薇の花(チート能力で即興生成)を口にくわえて彼女の前に膝をついた。


「お待たせ、ボクのプリンセス! 暗い顔はシネマに似合わないよ。俺と一緒に、世界で一番ハッピーなショーを始めよう!」

「ええっ!? つ、勇者様!? 薔薇……!?」


 エレナの顔がポッと赤くなり、周りの騎士たちも大爆笑。

剣士レオン、忍者ミア、魔法使いリリアも「この人と一緒にいると、人生がパーティになる!」とノリノリでチームに加わった。

     

 俺たちの旅は、毎日が「フェスとカーニバル」だった。


「悠! 隣の村が魔物に襲われてる!」

「オッケー、フェスの開幕だ! みんな、ペンライト(松明)の準備はいいかー!?」


 村に着くやいなや、俺はチート能力でド派手な花火と光の壁を打ち上げ、魔物たちを巻き込んで大ダンス大会を開催。


「グルル……!」


 最初は魔物も警戒していた。

村人も魔物がいることに恐怖し警戒した。

そんな異様な空気の中、悠が踊り始めた。

楽しそうに踊る悠をみた村人の子供がペンライト(松明)を振り始めた。

それを見た魔物の一匹が、


「……グル?」


と真似をし始める。

そこから、一人、また一人。

そして他の魔物までも踊り始めた。

そうなってしまえば、あとは祭りだ。

戦う戦意すら奪われた魔物たちも、最後は笑顔で村人と乾杯していた。


 野営の夜。俺が歌い、レオンが手拍子をし、みんなで笑い転げる中、エレナが少し照れくさそうに俺の隣にやってきた。


「悠様といると、どんな暗い夜もカーニバルの夜みたいに思えます」

「だろ? 今この瞬間を楽しんだもん勝ちなんだよ! エレナもさ、王女様のドレスを脱いで、俺と一緒に踊ろうよ!」


「ですが、悠様……この国の未来は、そんなに簡単なものではありません」


悠は一瞬黙る。


「……うん。分かってる。だからこそ、笑える場所を作りたいんだ」


「ふふ……悠様らしいですね!」


 手を取って一緒に踊るエレナの弾けるような笑顔に、俺の胸はギュッとときめいた。

     

 魔王城、玉座の間。


「よく来たな、勇者よ――」

「さあ皆様お手元にご注目! これがグランドフィナーレだぁぁぁッ!!」


 魔王の重々しい口上をミラーボールのような光でかき消し、俺はチート能力の全全開演出『シャイニング・グランドステージ』を発動した。


「な……なんだこの眩しい光とノリノリな音楽は!? 我は絶望そのものの存在なんだぞ!」


「だったら見てみろよ」


「え?」


「俺たちがここまで来る間に出会った人たちをさ!」


 悠はスキルで壁一面をスクリーンにし、魔王に挑む前に立ち寄った村での祭りや旅での仲間たちとの様子を映し出した。


「絶望なんてダサいぜ魔王!人生なんて、楽しいことばっかじゃない。でもさ…だからこそ、楽しい瞬間は全力で楽しむんだよ!」


 仲間たちの技が、俺の光の演出に乗って鮮やかな花火となって魔王に降り注ぐ。

仕上げに俺が放ったのは、世界中の歓声を一つに束ねた『ハッピーエンド・クラッカー』!


パンッ!!


「馬鹿な……こんな、楽しく消えていくなんて……ッ!?」


 魔王は傷つくこともなく、大歓声のクラッカーと紙吹雪の中に包まれて綺麗に消滅した。

世界で最も陽気で、最も華やかなフィナーレだった。

     

 それから一年。

世界中が毎日祭り運動会のような明るさに包まれる中、俺は王城の特設ステージ上にいた。


「悠!」


 ステージの袖から、輝くばかりの笑顔で駆け寄ってきたのは、ドレスを脱ぎ捨てて最高にキュートな衣装を着たエレナだ。


「私……悠様が大好きです!」


 彼女は大歓声の観客たちの前で、マイク(魔導具)を握りしめて叫んだ。


「勇者だからではありません! 私の人生に太陽のような光をくれて、今この瞬間を生きる最高のお祭り(幸せ)をくれた……佐藤悠というエンターテイナーのあなたが、世界で一番大好きです!」


 俺は大歓声の中でエレナを抱き上げ、くるくると回りながら叫んだ。


「俺も大好きだ、エレナ! これが俺たちの……最高のハッピーエンドだー!」


 割れんばかりの拍手と歓声の中、俺たちは誓いのキスを交わした。


 こうして俺は――。

持ち前の愛嬌と華やかな演出で世界中を笑顔にし。

圧倒的な楽しさとハッピーオーラで魔王をフィナーレに導き。

そして――世界で一番大切なパートナーと、最高の人生を始めた。

ESFP(エンターテイナー)

・特徴:華やか、盛り上げ上手、楽天家

・活躍スタイル:世界を大歓声のステージに変える。「ハッピーエンド・クラッカー」と大歓声でフィナーレ。

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