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クリス視点に戻ります。
モーリー嬢、いやサンナ男爵息女との婚約を解消して1か月が経過した。
私の仕事が休みの日には欠かさずサンナ男爵息女と過ごしていたが、婚約を解消したことでそれがなくなるのは安堵と少しの悲しさがあった。
7年間婚約関係にあった故、多少の情はあるが毎回のように嫌味を言われ他の男性との逢引を見ていれば嫌気もさす。父上や母上も口には出さないが両親も恋愛結婚だったから余計に今回のことは思うことがあったようで
「結婚は急がなくていい。クリスがいいと思う令嬢が現れたらゆっくり考えればいい。」
そういってくれた。
私自身、女性に辟易してしまった部分もあるのでこの言葉はありがたかった。
そうして7年ぶりの私の平穏な日常を覆すかのように我が家ににサンナ男爵からおかしな手紙が届いた。
_娘のモーリーが怪我をし、記憶を失ってしまった。記憶は婚約を結んだ日で止まっており、婚約解消を伝えようにも話を聞こうとしないばかりか質の悪い冗談だと責められる。勝手ばかりで申し訳ないが娘がどうしてもクリス様に会いたいというので一度でいい会ってやってはくれないか。
要約するとそんな内容だった。
あまりの内容に母上も
「こんなふざけた話があるものですか!」と怒りを露わにしていた。
確かに物語の中ではけがをして記憶喪失はよくあるが、本当だろうか?身近では聞いたことがない。
それにあんなにも私を嫌っていたサンナ男爵息女がわざわざ会いたいというだろうか?
だが、記憶が7年前にまで戻っているのなら、ない話でもないのだろうか。わからないがサンナ男爵息女に会ってみるべきだ。
不思議に思いながらも、次の休みの日にサンナ男爵息女と会うこととした。
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___私は目がおかしくなったのだろうか。
確かに目の前にいるのはサンナ男爵息女だが
「クリス様!お…お会いしたかったですわ!…もう、お父様ったらクリス様との婚約は解消されたなんてひどい冗談を言うのよ!私が…お、お願いしてようやく婚約をむ、結べたのに!おかしいと思いませんか?」
真っ赤な顔で所々言葉を詰まらせながらこんなことを言う。
7年前でさえこんなことは言わなかったのに。
「サンナ男爵令嬢?」
「…!そんな、他人行儀な!モーリーと呼んでくださいませ!」
あきらかにおかしい。まるで人が変わったようだ。