↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/999

寮内見物

「改めて見ても思うのじゃが、本っ当に広い寮じゃなあ」

「はい。もっと狭い場所だと思っていました」


 ミアが侍従たちに自分が聖女だと明かしたその直ぐ後の事。国王や王妃が城に帰ると、ミアとネモフィラは夕食前にと寮内の見物を開始した。ジャスミンが寮内を案内したけど全部では無かったので、まだ見ていない所を回っているのだ。そんな二人の背後には侍従たちもいるので、二人きりではなく大所帯である。大分目立ってしまっているが、王族が侍従を大勢連れて歩く姿にみんな慣れているのだろう。元々学園に通っていて寮で暮らしていた者達は気にした様子も無い。気にしているのは、それを知らない幼い子供達だけだった。


「わあ。ミア、見て下さい。お店があります」

「おお。本当なのじゃ。寮の中に店があるとはのう」


 二人が見つけたのは寮内にあるお店で、筆記用具などの勉強に必要なものを取り扱っているお店だ。しかも、ただのお店では無い。キャラものやキラキラした可愛い筆記用具を取り扱っていて、ミアとネモフィラは目を輝かせて大興奮だ。


「見て下さい。スモールベアーの絵がとても可愛いです」

「本当じゃなあ。こっちはネコとイヌで、おお。こっちはウサギなのじゃ」

「ふふふ。ミアの大好きなウサギも可愛いですね」

「うむ。買って帰るのじゃ」


 ルンルン気分のミアと、ニッコニコの笑顔でご機嫌なネモフィラ。なんとも楽しそうにしている二人だったが、お店のお会計を済ませに行って、更に目を輝かせた。


「妾《わらわ》の雑貨屋によく来たな、小娘ども。全部で銅貨十三枚ぢゃ」


 会計用のカウンターにいたのは、その上に立つ手の平サイズの二頭身。枝葉のように綺麗な緑の髪の毛と、エメラルドグリーンの瞳が特徴な精霊だった。それに、天翼会の制服の上から着物を羽織っていて、ちょっと偉そうな雰囲気。ただ、ミアはそれよりも別の事が気になった。


「ワシと喋り方が似ておるのじゃ」

「妾の話し方を真似ておるのか? 良い心がけぢゃ。真似を許すのぢゃ」

「真似てはおらぬが、可愛いからそれで良いのじゃ」

「ふふふ。二人とも可愛いです」


 ミアの“ワシ”や“のじゃ”に対して、精霊の“妾”や“のぢゃ”。若干の違いはあるが、二人の見た目はまごうことなき“のじゃ(ぢゃ)ロリ”である。キャラ被りしているのでは? と思うかもしれないが、二人とも可愛いので問題はない。さて、それはともかくとして精霊店員のおかげで楽しくお会計を済ませたミア達は、お店を出て見物を再開した。


「しかし、やけに精霊が多いのう。精霊は普通人前に出て来ん珍しい種族じゃと言うのに」

「ジャスミン先生が精霊使いらしいですよ」

「なんじゃと? と言うと、寮内で見かけた精霊はジャスミン先生が使役しておるのじゃ?」

「はい。と言いますか、ルティアが調べてくれたのですけど、学園にいる精霊様は全員ジャスミン先生と契約を結んでいる精霊みたいです」

「想像以上に凄い先生だったんじゃなあ」

「そうなのですか?」

「うむ。そもそも精霊と契約なんて普通は出来ぬし、属性の縛りがあるから普通は複数の精霊と契約など出来ぬのじゃ」

「え? そうなのですか?」

「同属性の精霊二人以上と契約しようにも、それはそれで契約のルールがあって出来ぬ。だから、普通の精霊使いも精霊一人としか契約出来ぬし、複数の……しかも属性違いの精霊達と契約しておるジャスミン先生はとんでもないのじゃ」

「わあ。凄いです」

「そうじゃなあ。やはり天翼会の者は誰もが凄いのじゃ」

「それもそうですけど、わたくしが言いたかったのはミアがです。そんな事を知ってるミアが凄いと思いました」

「凄くなどないのじゃ。チェラズスフロウレス城の書庫を読んで知っただけの話じゃ」

「まあ。そうなのですね」


 ネモフィラが笑みを浮かべて、それを見てミアも微笑んで、背後にいる侍従たちがホッコリする。二人は仲良く手を繋いで、その後も寮内の見物を楽しんだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。