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TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第一章 TS転生聖女はのじゃロリじじい
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第二王子の婚約者(2)

 優しく甘い香りがしていそうな、ほんわかした雰囲気を漂わせた赤髪と瞳をもつ少女。ミアの瞳に映った少女の印象だ。だけど、そんな少女は四人の女性に囲まれて怯えていていて、目尻に涙を浮かべていた。


「関係無いですって? まだ子供だから関係無いとでも言いたいの?」

「いったいどう言う教育を受けたら、こんな失礼な子が育つのかしら?」

「レムナケーテ侯爵《こうしゃく》はサンビタリア様の派閥に入れてもらえていると言う自覚が足りないのではなくて?」

「お父様に報告してレムナケーテ侯爵に罰を与えて頂くわ」

「そんな……パパは関係な――」

「お黙りなさい! 貴女に発言権なんてないのよ。裏切り者」

「わた、私は……」


 言い返そうにも言い返せず、少女が目尻に溜めた涙を流して俯《うつむ》く。女達は嘲笑い、口々に「泣きたいのはこちらだわ」と大人気ない醜《みにく》さ。と、そこで漸《ようや》くミアがやって来た。そして、ミアはわざとらしく大きなため息を吐き出した。


「大の大人が四人で少女をイジメるとは、お主等恥ずかしくないのか?」

「何この子? 誰か知ってる?」

「どこの家の子かしら?」

「さあ。見た事も無い顔だし、どうせ田舎村の男爵の娘ではなくて?」

「お嬢ちゃん、私達は大事なお話をしているの。向こうに行きなさい」

「ほうほう。寄って集《たか》って幼い女子《おなご》を泣かせる事が大事なお話とは、はっはっはっ。なんとまあ悪趣味な事か。目障りじゃからお主等こそ何処かに行くのじゃ」

「なんですって!? 下手に出てやってれば頭に乗って!」

「生意気なガキね」

「私達がサンビタリア様の派閥の者と知っての事?」

「お父様に言いつけてやるわ。貴女の親は何処にいるの? 言いなさい」


 女達は眉間にしわを寄せてミアを睨み見る。しかし、それでミアが怯えるわけが無い。目の前で怒る女達の年齢は二十代程度で、前世で八十まで生きたミアからすれば小娘のようなもの。睨まれた所でちっとも怖くない。それにミアはネモフィラを襲って王国騎士まで殺した盗賊を単身で一掃した強者。たかが貴族の若い女程度どうって事無かった。


「何故ワシがお主等のような底辺貴族に教えてやらねばならぬのじゃ?」

「底辺貴族ですってえ!? 無礼にも程があるわ! 私は王国騎士団団長ベネドガディグトル=ボーツジェマルヤッガー公爵の娘ケレニー=ボーツジェマルヤッガーでしてよ!」

「なるほどなのじゃ」

「ふん! 今更恐れをなしても無駄よ! お父様に報告して、貴女と貴女の家族に報復するわ!」

「お主が偉そうにしている理由は分かったが、ちと興奮しすぎじゃのう。周りをよう見てみい」

「何を言って……っ!」


 怒りのあまりに周囲に気づかなかったのだろう。ケレニーは周囲に目を向けて注目されている事に気がついた。そして、恥ずかしさで顔を赤く染めてミアを睨み見る。他の三人の女達は顔を青くしてケレニーの側に寄る。そしてそこに、騒ぎを聞きつけてランタナがやって来た。


「いったい何の騒ぎって、ミア……と、リベイア? っ泣いているのか?」


 ランタナが少女の目から零れ落ちている涙を見て動揺を見せる。すると、その隙にケレニーと三人の女がそそくさと逃げて行った。


「逃げ足が早いのう。流石は騎士団長の娘、引き際を心得ておるのじゃ」


 なんてアホな事を呑気に独り言ちするミアの横を通り過ぎて、ランタナがリベイアと呼んだ少女に近づく。


「リベイア、何があった? さっきのはボーツジェマルヤッガー公爵の娘ケレニーと――」

「ランタナ様には関係のない事です!」


 心配した面持ちでランタナは話しかけたけど、リベイアはランタナを拒んで駆け出した。ランタナはそれを止める事をせず小さなため息を吐き出して背中を見送った。


「もしかして、あの女子《おなご》がランタナ殿下の婚約者なのじゃ?」

「ああ。彼女はリベイア=レムナケーテ。レムナケーテ侯爵家の一人娘さ。ご覧の通り、私は嫌われているんだ」

「うーむ。ワシにはそうは見えんかったのじゃ」

「お世辞はいいよ。まさかこんなかたちで彼女を紹介する事になるなんて。でも、今度改めて紹介するよ。もちろん君の正体を隠してだけどね」

「うむ。分かったのじゃ。っと、ちとトイレに行って来るのじゃ」

「分かった」


 ミアはランタナにトイレに行くと言ったが、それは嘘だ。リベイアが気になって後を追うのである。

 ミアはランタナと別れるとリベイアの立ち去った方へと向かって行く。だけど、リベイアは会場を飛び出してしまった為に、何処にいるのか分からなくなってしまう。


(ぬぬう。仕方が無い。根気よく捜すのじゃ)


 会場へ続く廊下から城の出入口に続く廊下。城に来てから見つけたのんびりポイントの中庭の庭園や本が沢山ある書庫。たまに侵入して食料をわけて貰っている厨房。等々、様々な場所を探していく。そうして暫らく捜し続けて、半刻ほど経った頃に漸《ようや》くリベイアを発見した。


「むむ。あそこにいるのはリベイアなのじゃ」


 リベイアは城の外に出ていたようで、見つけたのは城の出入口の扉の直ぐ側の桜の木の下だった。リベイアは座り込んでいて、それを廊下の窓からたまたま発見したのだ。


「面倒じゃし、このまま出るのじゃ」


 などと言いながら、ミアは窓から飛び降りる。ただ、これは失敗だった。何故なら、ミアが飛び降りた窓は四階の窓。そう。ミアは四階から当たり前のように飛び降りたのだ。とは言え、ミアには例の魔道具《マジックアイテム》ワタワタがある。しかし、失敗なのはそこじゃない。


「きゃあああああああああああ!!」


 と、言うわけで、リベイアが飛び降り自殺の如く飛び降りたミアを見て叫んだのだ。マジで心臓に悪いからやめなさいって感じである。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 家族や夫が誰であるかについて叫ぶばかげた特権を持つ女性が、ステータスと権力に関するハードコードされたルールを備えたこの中世の時代に非常に似ていることに、私は驚いています. 時間が経っても変…
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