1回戦4戦目
川野誠司。
国枝が優勝候補と睨んでいた9人のうちの1人。
他の黒澤、木村、楠木、清水、水島などはすでに敗退済み。
その中でも川野は上位の実力を持っていた。
実際、川野は清水や黒澤にも勝ったことがある。
これといって個性を持たない男、川野。
彼はその事を気にしていたが、今は目の前の戦いに集中するだけだ。
川野は少しはやく席につき、精神統一をはかっていた。
川野の相手、国枝。
大会の主催者で温室育ちの秀才。川野は国枝と戦ったことはないが、奴が強い事は分かっている。
国枝の使用デッキには諸説ある。
彼は複数のデッキを使い分け、対戦相手に対策をとられないようにしていた。
川野の持つデッキはひとつ。ありふれたビートダウンデッキ。ただ高杉と戦った時より改良を加えたが。
歓声に迎えられて国枝が席についた。
川野とは違う。人気者だ。
「けっ、いけすかねぇ野郎だぜ」
相変わらず竹田からは嫌われているようだ。
高杉らもこの試合に注目していた。
あの国枝がこの観衆を前に戦うんだ。期待せずにはいられない。
じゃんけんで先攻をとったのは川野。
まずは初期手札5枚を引く。これが肝心。
初期札によっては何もできずやられてしまう。
しかし、今回の手札はまぁまぁ。
すぐに負けることはない。
川野はまっさきにカードを1枚取り出すと、場に縦向きに伏せた。
トラップか・・・!?
伏せ除去手段に乏しい環境では伏せとくだけでも牽制になる。
罠だとしたらここまで残ってるデュエリストが入れてるトラップカードとなると限られてくる。
国枝も川野のカードが罠だった場合、どんなカードかだいたいの想像はついているだろう。
落とし穴、ミラーフォース、和睦の使者。
それとも王宮のお触れか・・・?
国枝はなにを考えているのか。その表情からは伺いしれない。
そこも国枝の恐ろしいところだと川野は思った。
くそっ・・・伏せカード伏せただけなのにそこまで考えるんじゃない・・・!
「さらにモンスターを守備で伏せてターン終了だ」
最初の一手目はこんなもんだろう。
今の手札で最善の選択をしたはずだ。
来やがれ・・・国枝・・・!!
「俺のターンだ、ドロー」
国枝がカードを引いた。
さぁてどうくる。伏せカードに手をかけていかにも罠を発動する素振りでもみせるか・・・
しかし、国枝も守備モンスターとカードを伏せてターンエンド。
面白みのない布陣。
川野と全く同じか。
川野の2ターン目。
ついにあのカードがきた。
「手札からサンダー・ドラゴンを捨てて効果発動!」
これでデッキにあるサンダー・ドラゴンを2枚まで手札に加える。
この効果単体だとデッキ圧縮くらいにしかならない。
しかし、このサンダー・ドラゴンには使いみちがある。
「そして手札から魔法カード、融合を発動!手札のサンダー・ドラゴンを手札融合させる」
2ターン目で出せると思わなかったが、一気に畳み掛ける。
国枝に手加減は無用だ。
「双頭の雷龍を攻撃表示で特殊召喚!」
双頭の雷龍 攻撃力2800
ブルーアイズには攻撃力今いっぽ及ばないが、それでも十分な攻撃力を持っている。
国枝は無反応。特殊召喚に対して落とし穴は発動できない。
これは国枝を出し抜いたか・・・?
しかしミラーフォースという可能性も残っている。
下手に攻めるべきではないが、1ターン目でミラーフォースを引いてる可能性は低いと見た。
ここはガンガン攻める・・・!
「まだ俺は通常召喚権を残している。よって黒き森のウィッチを攻撃表示で召喚!」
黒き森のウィッチの攻撃力は落とし穴の範囲内だがウィッチの効果をみて発動はしなかったのか。どっちだ。
まぁいい。
「バトルフェイズに入る」
さぁ、どっちで攻撃すべきだ。双頭のサンダードラゴンなら100%破壊できる。
その後にウィッチで直接攻撃も狙える。
先にウィッチで攻撃しても攻撃力に不安があるか。
・・・・相手は国枝だ。とれる時に確実なダメージを狙おう。
「双頭のサンダードラゴンで守備モンスターを攻撃!」
その時、国枝が伏せカードに手をかけた。
このタイミングで・・・!?ミラーフォースか・・!?
「トラップカード、死のデッキ破壊ウイルス発動」




