第23話「Cage」
読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。
2018/03/11 9:23 次回予告を追記。
「今度こそ、逃がさん!」
なに!?
こ、今度こそ……だと?
予想外の言葉に、クロノスは動揺した。
それは、真横に振られた剣を避ける為だけに、瞬間移動を使ってしまう程に。
――逃がすか!
あの時の、あの一言で、儂に付いて来ようとはな。
追いかけて来るのだから、最早、リープは無意味。
先が見えんと、こうも想定から外れるか。
仕方ない……
「喰らうとするかーッ!」
クロノスは、鷹也の居る方向へ、右手を翳す。
すると、瞬時に鷹也はクロノスの目前へと移動させられ、剣を持つ右手首を掴まれた。
「これでは、斬る事は出来まい?」
そう言って、厭らしくクロノスが笑う。
左手刀で、掴んだ左腕を斬り落とそうとしたが、左腕までも掴まれてしまう。
それならばと、蹴り上げようとしたが、両腕を内側に捻られ、足を上げる事が出来ない。
神気が奪われ始め、次第に力が抜けて行き、終に、鷹也は手にしていた剣を落としてしまう。
「神気の割には、フェリオスよりも呆気なかったな」
だが、鷹也が剣を落としたのは、態とだった。
来い!
コイツを股から、斬り裂け!
下から近づく妖気に気付いたクロノスは、鷹也の両手を離し後ろへ下がる。
メイヲール、ヤツを貫け!
再び、鷹也は剣へ命じると、剣はまるで意志を持った鳥のように、クロノスを追い回す。
また、鷹也もクロノスの死角へ死角へと移動し、攻撃を試みる。
だが、クロノスはテレポートを繰り返し、鷹也にチャンスさえ与えない。
クロノスは、ある程度距離を取ると「くだらん技をいつまでもいつまでも」と言って、左手を剣に翳し、右手を鷹也に翳した。
すると、剣にも、鷹也にも、見えない空気の壁が圧し掛かる。
風圧に押され、剣は停止し、鷹也は地面近くまで押し付けられた。
来い!
再び、剣を手にすると、その空気の壁を切り裂き、難を逃れたのだが、息吐く暇も無く、今度は右後方から右腕を掴まれる。
もう一度だ!
再び、剣を離し、操ろうと試みるが、その前に剣を足で押さえられた。
しまった!
どうする? どうすればいい?
そうだ!
俺にも、出来るんだったな!
鷹也は、クロノス諸共海中へテレポートした。
息が出来なくなり、堪らずクロノスは海上へテレポートし、鷹也もそれを追うように海上へテレポートし、剣を呼ぶ。
クロノスは、ずぶ濡れになった身を一瞬にして乾かし「考えたな」と言って厭らしく笑ったのも、束の間。
「これなら、どうだ?」
そう言って手を広げると、一瞬にして世界は、闇に飲まれた。
不味い! 神界か!
再び、光を取り戻した時、瞳に映った光景は、地平線まで広がる大草原だった。
「これで、貴様の逃げ場は無くなったな」
「元の世界へ!」
鷹也は、強く念じたのだが、戻る事が出来ない。
「無駄だ、儂を殺さぬ限り、お前はこの檻から抜け出せん」
鷹也は覚悟を決め、白き翼を広げると、クロノスへ近づくに連れ、その身は分裂を増やして行く。
神気の有る者、無い者が入り乱れ、32体にまで増えた。
それを見て、クロノスは笑う。
「フェリオスにも通じなかった技が、儂に通じると思うなよ!」
クロノスは、鷹也の本体を見切り、その右腕を触った、その瞬間。
今だ!
鷹也は、その背後へとテレポートし、間髪を容れず、剣を心臓目掛け突いた。
だが、手応えを感じた筈の身は其処に無く、逆に背後から右胸を貫かれた。
「な、何故だ……」
「愚かな、お前程度に出来る技が、儂に出来んと思ったか?」
胸を貫いた右腕を抜かないまま、その右手首を左手で掴み、鷹也を締め上げる。
「終わりだ」
読んでくださって、ありがとう。
君の名前は?
え? アルベルトだけど……
質問の意図が読めず、AIは首を傾げた。
次回「Exceed」




