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その2

前回読んでいただいた方ありがとうございます。今回は、回想メインです。よろしければどうz。

 紙飛行機をもらう前の話。僕には憧れている人がいた。その人は、一つ上の学年で話をする機会なんて全然なかった。廊下ですれ違う事があるとつい視線が追ってしまう。腰まで届きそうな髪を赤いリボンでとめている。歩く度に右に左に跳ねる。それがなんとも可愛らしくて、足を止める事が良くあった。一目ぼれだったのかもしれない。クラスメイトには、「告っちゃえ」とか「メアドぐらい聞けよ」とか結構茶化された。

でも出来なかった。

好きなのかもわからないし。話をした事もなかったし。ただ彼女…サツキ先輩が卒業する前に一回で良いから、しゃべりたいなとは思った。

 ある時、クラスメイトからサツキ先輩が転校する噂を聞いた。

僕は噂を信じたくはなかった。

「だってもう会う事がなくなるって事じゃないか。」

思わず声に出してしまった。周りを見渡すと誰もいない。ほっと胸をなでおろす。放課後だったし、僕のいる教室はいつも人がいないから、一人の時間を作るのにはもってこいな場所だった。軽く読書をして帰るのが日課だったが、噂を聞いてから、集中出来ない。本を机に置いた僕は何を思ったのか、ペンを持って紙に書く。

「がんばれ」

自分に書いた言葉なのか。いや、違う。彼女に向けて書いたのだ。家族もいるとはいえ、知らない所に放り出される事は誰でも辛くなるんじゃないのか。そう思った時、思考が、身体が熱くなった。窓を開けると風が入ってくる。カーテンがはためく。

「涼しい…」

春がそろそろ夏を連れてくる頃。夕方といえども少し暑い。だから風が吹くと少し嬉しくなる。

勢いで書いたものの一言書いたこの紙をどうしようかと考えていると、校門に向かって歩いている姿がある。赤いリボンが揺れている。今会いたい人。

「サツキ先輩」

こんな時間に珍しいと思ったけど、そんな事よりどうにか振り向いてくれないものかと考える。叫んでも良いけど、その後どうしたら良いかわからない。ふと持っていた紙を見て、思いつく。

「紙飛行機だ!」

手際良く折る。出来た紙飛行機をサツキ先輩に届くよう願いを込めて強く放つ。

タイミングが良く、追い風が吹いた。彼女目がけて飛んでいく。手に汗を握ってしまう。

「頼む、届いて」

少しづつ彼女に近づく。方向も良い感じ。

でも上手くいき過ぎている気もする…なんて考えてしまった。

するとどうだろう、風が止んでしまった。それと同時に紙飛行機も速度を落とす。

ついに地面に着陸してしまった。

「………ダメか」

届きそうだっただけに僕はひどく落胆して教室を後にした。紙飛行機のその後を見る事もせずに。


 紙飛行機が地面に着いた時、音がしたのかしなかったのか、後ろに何かあるよな気がして、サツキは後ろを振り返った。

「なんだろう? あっ紙飛行機。どこから来たんだろう」

それが飛んで来たはずの道を辿ると、一つの教室に着いた。その教室は窓が開いている。一瞬違う制服が見えた、たぶん男子。サツキはその教室を知っている。いつもカーテンのそばで本を読んでいる姿を見ていた。それが素敵に思えて、帰り際時々見ていた。そこから、紙飛行機が飛んできたとなると、何か繋がっている気がしないでもない。

 紙飛行機を手に取り眺める。ただの紙飛行機。悪戯っぽい笑顔を浮かべて、

「まさか、手紙だったして…」

なんて言いつつ、それを開く。笑顔がなくなる。思いもしないエール。胸が熱くなる。

「がんばれ」

アキトの知らないところで紙飛行機はサツキに届いていた。

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