時間 22
プラネタリウムを出てから、私達はおじいちゃんに電話をして、アイスを買って、日陰でゆっくりと食べた。
「それでさ。どうにか宿題は終わったんだよ!」
「よかったね、ケント君」
「ああ。夏休み中に終わるなんて初めてだぜ!」
「ユウト君はそう言えば宿題、終わってるの?」
「うん。宿題は7月中にね。中学になるとレポートが多いんだ。今は夏休み明けの試験勉強を少ししているかな」
「げー。やってらんねー」
シリウス君達は夏休み、どんなことをしたかを話して、その後は夏休みの宿題の話を楽しそうにしていた。
「マオちゃんは全部終わってたんだっけ?」
「……。あと、作文だけ。明日までに書き終われば大丈夫」
終わってない作文はまだ書けてない。でも、もう書く内容は決まっている。だって、『夏休みの思い出』なんて。
たくさんありすぎるよ。
シリウス君。行かないで。
「あー。明後日から学校かあ」
「あっという間だね。朝、早起きが嫌だな」
そうやって話しているとおじいちゃんが来てくれて、家に帰ってからもおばあちゃんが出してくれたスイカを一緒にだべていると、あっという間に陽が暮れてきた。
「マオちゃん。ケント君、ユウトさん」
急にシリウス君は立ち上がると、私達にゆっくりとぎゅっと抱き着いてきた。
「ケント君、マオちゃんを泣かせないでね」
「お、おう。任せろ」
「マオちゃんを守ってあげて」
「おう」
「ユウトさん、たくさん、話を聞いてくれてありがとう」
「うん、僕もとっても有意義だったよ。君のおかげで知らない事が増えたよ」
「マオちゃん」
「シリウス君」
「マオちゃん、魔法書を完成させてくれて有難う。僕と出会ってくれて有難う」
「シリウス君……。帰っちゃうの?」
「うん。時間だね」
「魔法書が呼んでるの?」
「そうだね。魔法書は、誰かの願いを書き留めたモノなんだ。僕達は、その願いのかけら。元の場所に戻らないといけないんだ」
「また…会える?」
「うん。必ず。僕はいつも見守っているよ」
シリウス君の言葉は約束みたいに優しかったけど、私達が夜空の星のように、もう届かないことを、私は分かっていた。
「ありがとう。シリウス君。またね」
大好き。
その言葉は言えなかったけど。シリウス君は小指を出して私の小指に絡めてくれた。
その小指にはまだ、あの小さな星のマークがあった。
消えちゃうのかも。でも、まだ、今は消えないでほしい。
「マオちゃん、好きだよ。大好き。またね」
シリウス君。
シリウス君の顔はだんだんぼやけてきていた。それは私が泣いているとかではなくて、シリウス君がだんだん消えていってしまっていたからだ。
「シリウス君……」
私が小さく呟くと、「シリウス!またこいよ!」「シリウス君!元気で!」とユウト君とケントも叫んでいた。
「ありがとう」
シリウス君の声が聞こえると、ゆっくりとあの霞のように消えて、星空が出て来た空に消えていってしまった。




