6,コミュニケーション不足かも。
素材群をつつがなく高値で売れたので、ルクはしばし引きこもることにした(バーンの件は忘れよう。たまには、道を誤ることもある。あと、ほとぼりが冷めるまでギルドには近づかないでおこう)。
我が家でひとりまったりしているときほど、歓びにひたれるときもないわけだ。
とはいえ食糧などの買い出しだけは避けられないが。で、あるとき、緊急のクエストが発生していると、市場で知る。市場で冒険者たちが話しているのを小耳にはさんだので。
なんでもとある盗賊団が、貴族のご令嬢を誘拐したらしい。冒険者ギルドは令嬢奪還のため緊急クエストを出した。
「盗賊団かぁ。冗談じゃない」
と、家に帰ってからルクは言った。人間、ひとりでいると独り言が増える。
とにかく盗賊団ということは、相手は人間。人間と戦うときには、会話というものが付き物だ。よって冗談ではないということ。
「魔物を狩るのがしょうにあっているんだよなぁ、僕は」
しばし引きこもりに戻る。
やがて玄関ドアをノックする音が響いた。ルクは首をひねる。友達がいない身としては、誰かが訪ねてくるというのは、ありえない現象。
家賃も5か月分前払いしたので、大家さんということもない。配達なども頼んでいないし(仮に頼んでも玄関前に置いてもらうようにしてある)。
敵襲、というほど敵もいない。コミュ症の、あの人べつにいなくても問題ないよね力、を舐めないことだ。
こういうときは居留守。
居留守、居留守、居留守しているのにノックが止まらない。
ルクは嫌な予感がしたので、頼りになる《王頭蓋》をかぶった。
で、出る。
表にいたのは、13歳くらいの少女。ジョブは魔導士らしく、魔杖を装備している。
「あなたが、姉を助けてくれる人ですね」
「……」
無口キャラなので、まぁ黙っていてもいいだろう。よく事情も分からないし。
この場合心配することは、性犯罪の疑いをかけられないことだ。と、いろいろと心配する。
「私の精霊占いで、『姉を助けてくれる運命』のある人を捜したんです。そして、あなたがそうというわけです。
ところで、お名前は? あと、なぜへんな被りものをしているのですか? なぜですか?」
二連続で質問されたので、ルクはパニくった。
そこで少女の腹を殴って気絶させる。どうと倒れる13歳の魔導士。どうみても犯罪行為。しかし周囲に人はいなかった。目撃者ゼロ。
ルクは腕組みして、首をひねった。
(最近、僕は頭がおかしくなってきたかなぁ。もっと人と接しないと、いけないのかもしれないなぁ。ところで、どうしようこの子?)
とりあえず気絶している少女を中に運び込んだ。
ところで彼女の姉というのは、誰だろうか。




