タイトル未定
その魔法石は、徐々に膨らみ周辺のマナは取り込まれていくように集まり流れてゆく。
――――――叫びは、土間から外へと抜けていく。
響く声は、私達がいる建物を震わせる。この落ち着く造りの内部は、土間空間のスペースをうまく使って区切っている。ひとめで、全体の状況が見える多目的場は、大所帯で横になれるほどの広さが見受けられる。
一同が足を止め話す土間は、砂利を音を鳴らすように踏みしめている。砂利は、入り口から土間全体にかけ敷き詰められ、隅には囲炉裏やかまどが焦げ臭さを漂わせている。
木目の壁に寄りかかる道具は、外で使うための物ばかりが綺麗に立てかけられている。
私達は、玄関内で砂利を鳴らしながら声を響かせる。窓が閉じられたこの家内では、声の行き先は唯一空いている入り口へと自然に向かう。
出口に立つ女性の顔は、うるさそうに片目を少し閉じながら顔をゆがませる。首をそらすようにしている彼女へ、追い打ちをかけるように周囲の驚きを遮るレイナの声は、徐々に声量を上げる。
人差し指を向け「あなた、初めて会ったんでしょ?どうしてわかるのよ!おかしいわ!!」非常識だと言わんばかりの視線は、覗き込むような身長差をものともしない。
指を向け刺さし続ける手を掴み「人に指を向けないでもらえる?」不機嫌そうな目つきは、眉を寄せ赤髪の指を力任せに掴み続けている。
「離しなさいよ!!」
ムッとするような怒り口調での二人のじゃれ合うようないがみあいは、徐々に力を増してゆく。
引き下がることを知らない二人のやり取りは、何処かこの前の光景を思い出させてゆく。あれはちょっとした発端で、その時も隣で見守っていた今の私に重なるようにして過剰に反応してしまう。
不意に映るエルドラさんとリアの光景と重なりそうな二人の話を割るように「えっと……私が魔法を使えるのは、本当なんですか?」疑問を投げる。
二人の手は止まり、変わらないしぐさはじゃれているみたいになものだと言わんばかりに、
落ち着くように1人の首だけがこちらへ向く。
「まぁ。あなたは知らなくても仕方ないわね。私達は知ってから」素直な言葉は、徐々に疑問を吐き始める「あんな感じなのに、案外真面目なのね。てっきりあの子の事だから、とっくに甘やかして口を滑らしているとも思っていたけど」
「知らなくてもって……」言葉を出しながら『私達』といわれる言葉の正体を考える中で『旧友』そのワードが頭の中で浮かび上がる「私達って。やっぱり、叔母様も知ってたんですか?」エルフの母をさす言葉に、彼女は一度止まった顔が笑う声へと変化する。
「ふふっ。叔母様ね……いいわ。なかなか言うわね?私なんて、まだあの人達に叔母さんなんて言ったことないのに」口を隠すように笑う姿に、言われた事を反射的に「すみません」と、謝りながら目を背けてしまう。
想像で二人の旧友と呼ばれている人物を重ねながら、見た目から数える事の出来ない歳を想像する。悪い言い方をしていたわけではないけど、きっと旧友と言われるぐらいだ。言われたくないのだと思い、自分の言い方に後ろめたさを感じる。
「それより、どうしてここに。何時もなら眠られている時間では?」
レイナ小さい体を囲うように、会話が続けられる。周囲にいる身長差が明らかになるように、自分より大きな人物が大半の中で、丸い円が形作られる。
円の中心を飛び越えるような視線は「どうしてって。エルドラ。たまたま早く起きたからよ?まさか、ここに集まっているなんて思っていなかったけど」
会話の踏ん切りをするように「ところで」言葉がおかれて視線がこちらに向く「あなた。お名前は?」少し優しい口調の言葉に合わすようにして「マナって言います」委縮する言葉を重ねながら目を見合う。
繰り返すようにマナという言葉に反応する。小さく数度頷くと私の身体を再度見つめるように「自分で決めたの?」簡単に順応するような質問が返ってくる。
「そうですけど。やっぱり変ですか?」
先ほどのレイナさんとの会話を思い出すように、自分の名前に対しての批判に身を固める。
「いえ。らしくていいと思うわ」
そっけなくも感じる口ぶりは変わらないものの、名前を聞いた時の彼女の視線は当たり前の事に対して当たり前だと言っている。そんな冷たい感じがした。
納得いかないのかそれでいいのかさえはっきりとしない事で、私の中で一つの言葉を持ち上げる。それは『私らしさと』いう言葉に違和感を感じさせ続ける。
「私らしさって……」小さくつぶやく声は「あれ?てっきりマナ君の事知ってるとばかり……あれ?」ほかの疑問の声によりかき消される。
「色々あるのよ。こっちにも」
ゆったりとした口調を遮るように「ねぇ!だから、どうして知ってたのよ!本人が知らないのに知れるわけないわよね!?」視界に無理やり入ろうと、捕まっていないもう片方の手で、エルドラの身体を引っ張りながらアピールを続ける姿に子供っぽさを残して見える。
次第につかまっていた手は解かれ、子供のぐずりに呆れる母親のように「しかたないわね……内緒よ?」腰を落とし、全員が近い中でのこそこそ話は意味がない事は外野から見れば明らかで、二人の顔は近づき小さな会話が聞こえる。
「本当は、寝ている間に身体に密着させて色んな事をしてみたの」嘘を隠すことの無い声のトーンはいたずらっ子の様で「嘘でしょ」からかおうとしたその姿は、簡単に察した不信感を募らせた目は続ける。
「それに始めましてなんでしょ?名前も知らない事は何よりの証拠よ!」指は自信と共に刺し「何時もだけど、あなたやっぱり怪しいわよ!」ここぞとばかりに再点火していく熱量は、再度掴まれる。
「私に指を刺さない!!何でも素直に聞いておきなさい?」
はじめから振り払うように先ほどよりも指の動きに力を込めたようで、身体を思いっきり振るタイミングでつかまれた指が抜けた。自身の身体のバランスが悪く、近くの私に向かって勢い余って飛んでくる。
「おっと……大丈夫ですか?」身体をとっさに手を彼女の背中を支える。崩れた身体を支え、彼女の視線はさらに下がったことで極端な上からの覗き込む姿が気に食わないようで「どいてっ!」慌てたように荒げた声は離れてゆく。
体制を戻し「そんな言葉で話をごまかしてもね!」懲りずに再度指をさしそうになるが三度目の正直と言うべきか出した指はすぐに自身の元にひいていく。
引いて身体を近づけながら睨む姿勢はどこまでも強気だが「誤魔化しの嘘はいずれわかるわよ!あなた、わからない人じゃないでs……???」何かに気が付いたその時勢いが止まり始め「あなた、こんな目がはれてた?」覗き込む赤髪の顔へ、勢いよく手が迫ってくる。
!パチン!
手は、デコピンの形で赤色の髪を分け額へと不機嫌に鳴る。爪が当たり響く音をたて「イッタイ!!!何でよ!!」彼女の目に涙を浮かばせ眉間を抑えさせる。
「女の子にはもう少し気を遣わないから、そうなったの」
そうとう痛かったのか、彼女の言葉に対して「女のk」疑問を投げる途中で見せる同じ形の手に怖気づくように言葉を詰まらしてゆく。
「ひ、卑怯よ……」
音を聞いてか、入り口から新たな声が聞こえ始める。
「知らない人がいる?」
入り口の声に私達の視線は向いてゆく。日差しが先ほどより強く照らしている外は、複数の人影を入り口から入る光の形を狭め地面へと映し出す。
「あ!巫女様だ!」
「赤いねーちゃんもいるぞ」
「……エルドラ姉ちゃん」
「ミライおば……おねぇさんも」
「運ばれてた人も」
「ねぇねぇ。おばぁ、誰だと思う?」
子供の視線は囲むように杖を突いている老人に集中してゆく。老人の眼は穏やかでとても何か物申すようには見えなかった。ただ見つめたままにこやかにこちらへ微笑んでいる。
「子供とお婆さん?」
私がぽつりと残した言葉の先には、白髪の老人の背後から囲まれるように小さな子供達がのぞき込み『おばぁ』複数人の声はただじっと後押しするように年寄りに目線が向かう。杖を突きながら立っている老人は、つないでいる子供の手を外すように明るい日差しを浴びながら、こちらへと声を向ける。
その姿を見て、いの一番に反応したのは「っげ!おばば……」赤い魔法使い。少し背中を曲げたお婆さんは、ゆっくりとした話し方で「あんたたち。何を騒いでおるかね?」細く優しそうな眼はこの場の全員を映しこんでいる。
「皆おはよう。元気そうだね」
慌ててお婆さんの声に動かされるように「五月蠅かったわね。ここじゃあれだから、場所を変えましょう」私とエルドラさんの手を引きながら、声に続くように背の高い女性の手は手を引き始める。
年寄りの横を通り抜ける時お婆さんの隣を抜ける時、軽い会釈をした時にこっと笑顔を向けられた。その後は何事もないように「よいよい」と口ずさむと、後ろの二人へと視線を向ける。
私のを引きながら動く列は、声色が変わるお婆ちゃんによって後ろに続く二人の影が止められる。
「おお!巫女様。昨日は色々大変でしたな」
お婆さんは、奏の事を巫女と格付けするように、優しい言葉で接している。良く田舎でいるおばあちゃんとの会話の様にゆっくりとした話し声は、私の視線からはよき風景のように感じる。
「そうね、お婆ちゃん。村に何もなくてよかったです。今朝、獣の埋葬をお願いしててここで皆で話してたところなの。五月蠅かった?ごめんね」
「いえいえ。皆が嬉しそうに話しておりましたので、私も呑気に見ておりましたわい」
元気な声は、年寄り特有の老いのある声質に温かさを感じさせる。
二人の話の間を抜けるように、最後尾の赤色は「今のうちっ!!」小さく弾む声とともに駆け出す。エルドラの背中をせかすように後ろに引っ付きながら押しているが、渋滞している入口に通り抜けを図るが「これ!赤いの!!」すかさず伸びた杖先が足を絡め、エルドラの足にレイナは顎をぶつけていた。
痛そうな声は顎を抑えながら、後方で私達に手を伸ばし始める。
「せっかくきたのに、年寄りの手助けをせんか。あっちの子供たちがお主の事を好いて待っておるぞ」
伸ばした手は老人の手によって、引きずられる形で離れてゆく。年寄りとは思えないほどの元気さでレイナは、奏と一緒に話に巻き込まれるようにして引きずられてゆく。
「それにしても、巫女様。今日の野菜はご覧になられましたか?水気がだいぶ取れていいもので……」
「イタイ。痛いわよ……おばば。私はあっちで話があるの!色々聞かないといけないから」
暴れる事の無い口だけ動かしていたレイナは、次第に立ち上がりあきらめるようだった。いつもの事の様に、後ろ姿を残す形で老人に合わせる姿を残してゆく。
彼女らの行き先で、村の人達の声が増え始めてゆく。
後ろの騒ぎを見守るようにしていた私に、前方から声がかかる。
「行きましょうか?」
背の高い女性は気に留めることなく、何時もの日々を見ているように歩み出す。
引っ張られるその手は温かく、優しい声は続いてゆく「よく来てくれたわ。この村の事は少しは聞けたかしら?」こちらを気にするようにしながら話を続ける。
「名前とかなら」
「ちょうど村の案内中だったんです」
「そうなの?もしわからない事があれば、エルドラや奏に聞いてきなさい」
「主じゃないんですね……」いつも通りと言う態度は「私は基本寝てるのだから、仕方ないでしょ?」自然とした振る舞いでどことなく仲がのよさそうに感じる。
温かい手はおもむろに止まり「そういえば名前がまだだったわね」少し遠くにある神社を背に、振り向く女性「私の名前はミライ。この時をずっと待ってたの。逢えてとてもうれしいわ」両手で片手が撫でられ続けられている。
「あ……いえ。こちらこそ。マナです」
その返事に嬉しそうな表情は、何処か安心感を受ける。
「あの時。あなたの姿が見えた時と声は少し印象的だったわ」自然と会話を切り替えながら私はその瞬間を思い出してゆく「今思えば目の前に立って『逃げましょう!』って少し情けなかったけど、なかなか強い印象だったわ」その会話でどれ程情けないものか、想像したくはなかったが自分が一生懸命に行った行動の後で言われると悶えたい気持ちが湧き出てくる。
「あの後、怪我とかは無かったんですか?」
「えぇ。もともと怪我なんてする様なものでもなかったんだけど……まぁ、幸か不幸か嫌な現実になったわけだけどね」
いろいろ気になる会話ではあったが、少し細くなった目はどこか物悲しそうでありあまり思い出せない記憶は視線はそれてゆく。
「そうでしたか……」
視線の先では、花びらが1枚舞っていた。近くで見るのが珍しい綺麗な花びらは目を引くように、動きを見守るように追ってた。
「さて、神社で、貴方にちゃんとした話をしましょうか」
視線が彼女に戻った時には、後ろ姿が私の手を引いていた。その姿は振り向くことはなく「あなたがここに来る理由は、始めからあったの。それは全て教えるわけではないけど。少しづつ説明をさせて欲しいの」ゆっくりとした口調で告げる。
次第に足場は少し坂になっていく。先ほどからの疑問をまとめようとは思っていないけど、私をこの場所に居る理由を気にしすぎていた。
「なぜです?」
クスッとした笑いが聞こえたと思えば「焦らなくても大丈夫。できる順番で説明はさせてもらうわ」軽くあしらうようにして足は進んでゆく「これは順番がとても大事よ」巫女服に似た服。奏さんに合わせているのか同じように感じる服は揺れながら向かってゆく。
黙ってついていると、後方から肩に向かって引っ付く手の感触が肩をもんでいた。
「エルドラさん?何ですか?」
「強張らなくても、主はマナを食べはしないさ」
背中をぴんと張っていたのか、緊張していたと感じて気にかけてくれている。子供ではないんだからやめて欲しい。
斜面を登りおえ、凸の形で作られている社がある。真ん中手前から簡単な階段を上がるようにできた入り口を上る。左右に出る部分は、生活の場所として使わしてもらっている。形は広く奥へと作られ、どの家よりも大きく奥へ続く。
突起の様に顔を出す部屋の前にまで足を運び、エルドラは合図に従うように明かりを入れるために目の前の大きな扉が横に広げられてゆく。
その奥に目を引くものを置いて、彼女の声が続いて響く。
――――――さて……少し、長くなるわよ?
最近、前の章をいじっているんだよねぇ~。
うーん、読み返せるときだけは訂正していきたいんだよねぇ~。
マナ「……」
どうしたの?
マナ「……いえ。これが作者かと思いまして」
その顔は、不思議や興味といった感情じゃないねぇ……もっと簡単な変なものを見る目。
……失礼な。




