22.イベント4日目 のどかな田園
イベント四日目…今回のお散歩イベントは計五日間開催される。
そして昨日という折り返しを迎えて現在の私達のポイントはと言うと…。
何と昨日の三日目にしてようやく四桁に達しました。
いや、むしろイベントに参加していないプレイヤーをカウントしないとすると断トツのビリに近いんじゃないかなこれは?
これには深いわけがあるのですよ。
いや、全然深くないかもしれないけどわけがあるのです。
昨日の転送された先は破壊された地下鉄の駅であった。
陰鬱とした場所だったけど幸い電気は通っていたので壊れていない照明で最低限の灯りはあった。
ならば地上に出ようと思ったけど駅の中はもうあちこち化け物だらけでね、この中を突っ切って地上は無理かなと思って途中で方針を変更、そしたら駅の構内でアンズが動いていない電車を見つけたのよね。
幸い電車自体は特に修理の必要も無く動き出したのだけれど、運転席で喜ぶ私達の前に蝙蝠のような翼を付けた人の生首がガラスを突き破って飛来したのよね。
そこで私はアンズを伏せさせると駅の構内で拾っていた鉄パイプでかっこよくフルスイングを慣行して見事に生首を捉えてクリーンヒットさせて電車の外へ叩き出したのだ。
いやーいい手ごたえだったね。
バッティングセンターのホームラン級の当たりですかっとしたよ。
しかしそこまではよかったのだけれどその勢い余ったフルスイングはなんと運転席に設置されているブレーキレバーも一緒に破壊してしまったのだ。
直後、アンズのムンクの叫びような仕草からの声にもならない悲鳴は私をヒヤッとさせるのに十分だった。
その後どうにかレバーが元に戻らないか?他で代用できないか?修理できないか?等とまあ残り時間がわからない中必死でどうにかしようと頑張った。
されど結果は、暴走列車となった車両を止めることはできず数分後に壁に激突して仲良く爆発死か衝突死かを迎えた。
華々しい交通事故を遂げた後は残り短い時間を有効活用すべく不満を垂らすアンズを連れてheavenワールドをお散歩して本日に至るわけである。
さて昨日の事は忘れて気を取り直して…、四日目はどんな所へ転送されたのかな?
右手には水着姿のアンズ…いつも通りなので省略。
周りを見ると木製のフローリングに窓ガラスが付いており、部屋の中央にはお洒落な木製のテーブルや椅子が設置されている。
壁には立派な角をはやした鹿らしき動物の頭の剥製が飾られている。
ここは避暑地かキャンプ場のロッジか何かかな?
そして私達の近くには窓ガラスをしきりにしてベランダが設置されている。
木製の転落防止用の壁が付いているのでここは一階ではなく上層である可能性がある。
とりあえずは部屋の中を探索してみるかな?
安全確保のためにはこれが大事でしょうからね。
そう思って立ち上がると外からリーンリーンとやかましい音が鳴り響く。
あまりの音の大きさに両耳を押さえて身をかがめてしまったけどすぐに物音は鳴りやんだようだ。
「何の音かな?電話でも近くで鳴った?」
「ニミリ、いつの時代の電話の話ですか?…いえ、電話にしては外のあちらこちらから同時になったのはおかしいのではないかしら?」
そう言うとアンズはゆっくりと音を立てないようにガラス扉を開けてベランダに出ていく。
危険だからとりあえず止めておいたら…そう声をかけるつもりだったけど止めた。
よく考えなくてもここでやられるぐらいならさっさとやられてしまい情報収集をして仕切り直しをした方が遥かに効率がいいと思う。
…まあ確かに私も音は気になるからね。ここは追従しておこうかな?
そう決めると私もベランダに出てアンズの横に並ぶ。
そのまま私達はゆっくりと上体を上げていきながら壁の上から頭を半分出して、外の様子を観察する。
外が真っ赤な空になっているのは相変わらずであるけど周囲の景色は初めて見る光景だ。
眼下にはススキか麦かわからないけど金色にきれいに輝いており、それがの絨毯のように敷き詰められていて風に合わせてふさふさと揺れている。。
それが見渡す限り平野部の一面に広がっているのだ。
その一面の中にウッドハウスや木製のロッジみたいな建物がちらほらと点在しているのである。
私達がいるのもその中の一つという事かな?
イベント初日の酸性雨のせいで寂れたキャンプ場と比べるとのどかでとてもいい場所に思えてくる。
そして気になるのは金色の絨毯の中から飛びぬけて高い…ビルぐらいの高さがある紫色の植物かな?
少し離れた…いやまあ三キロぐらい離れた所に三、四本ぐらい生えているのだけれど、細い茎の先にはそれぞれトウモロコシの実のような物を実らせている。
いやまあ、紫色の皮に包まれているからトウモロコシとは限らないけどね?
あくまで形だけは同じという事で。
さて、ここまで見た感じのどかな田園風景だけれどもここはveryhardワールド、恐らく何かしら危ない物が山ほど設置されているに違いない。
とりあえず見る物は見たので壁の下へ身を隠そうとしたその時である。
右隣で同じように下を覗いているアンズから思いもよらない一言が寄せられる。
「ニミリ、下の草むらに誰かいるようですわよ?」
これでいいのか本当に行けるのか?
…まあ書いてみればいいかという事でとりあえず書いてみます。
詰まったり矛盾が出た場合削除する可能性があります。
ご了承ください。




